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ハシボソガラスとの出会い、ブトさんボソさんの違い(ハシボソガラス・ハシブトガラス)
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ある日の夕方、建物の陰になっているところに、一羽のカラスの姿があった。ちょうどカメラを持っていたのでそっと近づいてみる。
カラスって人間が近づくと逃げてしまうので、意外と撮れないのだ。
私がカラスに逃げられやすいだけだろうか。とにかく「何もしないから撮らせてください」と念じつつカメラを向けてみる。
するとカラスも安心したのか逃げずに行動を続けた。
建物横の、花壇のようなところへ向かっていく。
カメラでズームしつつ液晶画面を見ると、カラスの向かう先には赤い実の付いた植物(鳥除けネット等はない)があった。……なんか嫌な予感。
するとカラスは植物に近づき、赤い実をとった。
なんと、栽培されているプチトマトだ。
カラスは「何もしないって言ったよね?」と確認するようにこちらを振り返る。私は「はい、言いました……」と心の中で答える。
カラスはプチトマトを食べ始めたようだった。
カラスってプチトマト食べるんだ……。というか黙って見守った上に写真を撮っている私は共犯者になるのだろうか……。
でも確かこの建物はJA(農業協同組合)だ。
私は農業協同組合が何かは知らないのだが、農協が鳥除けネットも付けずにプチトマトを育てておられるということは何か考えあってのことかもしれない。
観賞用 or 農業ピーアール用で食べるつもりはないとか。
人通りのある場所で作った野菜を食べるのはやめたとか。
忙しくてトマトにまで手が回らなくて放置しているとか。
ここで私が農協に「鳥対策しないと野菜がとられますよ」なんて言うのは、運動オンチがスポーツ選手にスポーツのアドバイスをしようとするほどトンチンカンなことだと思われる。
何にせよ、むき出しでプチトマトを育てていたら食べられるのは時間の問題だろう。仕方がない。ということでカラスの邪魔はしなかった。
カラスはプチトマトを食べ終え、優雅に歩いて去っていく。
あとで写真を確認してみると、このカラスはくちばしがシュッと細くておでこが出っ張っていなかった。ハシボソガラスだろうか。
身近なカラスは大抵、ハシボソガラスとハシブトガラスに分かれるらしい。ハシブトガラスの方がやや体が大きいとか。
私はカラスの違いについて興味を持ち、調べてみた。すると、ガアガア鳴くのはハシボソガラスで、カアカア鳴くのがハシブトガラスだと書いてあった。
鳴き声に違いがあるとは知らなかった。
また、ハシボソガラスは雑食だがどちらかというと植物質のものを好み、ハシブトガラスも雑食だがハシボソガラスより肉食寄りらしい。
それも知らなかった。ハシボソガラスがプチトマトに惹かれて来たのも納得だ。
そして、ハシボソガラスの歩き方はウォーキング(普通に歩く)で、ハシブトガラスの歩き方はホッピング(ピョンピョンはねる)らしい。ハシブトガラスはあまり地上を歩かないとか。
見つけた餌の食べ方にも違いがあり、ハシボソガラスはその場で食べることが多く、ハシブトガラスは安全なところに運んで食べることが多いそうだ。
なるほど、プチトマトに寄ってきてその場で食べて、歩いて去ってゆくというのはすごくハシボソガラスらしい行動だったのだ。
調べて納得、見て納得。ハシボソガラスとハシブトガラスの行動面の違いを知れて面白かった。
このことでカラスに興味を持ったので、その後も色々読んでみた。
どこかで聞いたことのあるような話も見かけた。
カラスは記憶力が良く、自分をいじめた人間に仕返しをすることもあると言われているらしい。
ネットにはそう書いてあったが、信じる派と信じない派の人間に分かれるようだ。私は学校の先生から、実際カラスに復讐されたという話を聞いた気がする。
でもカラスって高いところにいるのにどうやっていじめるのだろう。
いや、とにかくいじめはいけないことだ。場合によってはやむを得ず敵対することになるかもしれないけれど。
あと、カラスってトンビとよく喧嘩しているイメージだけれど、「トンビ カラス」で検索すると出てくる画像はハシブトガラスが多い気がする。
トンビの敵はハシブトガラスなのだろうか。ハシボソガラスもトンビにちょっかいを出したりするのだろうか。そのあたりも気になってきた。
カラスは賢いとよく聞く。カラスを追いかけていれば、驚きの場面に遭遇できるだろうか。いつかカラスのすごい行動を写真や動画に撮ってみたいものだ。
*
その後、得た情報を元にカラスを見分けようとしているのだけれど、時々難しい。
気の荒いハシブトガラスらしき集団に会ったのだが、喧嘩で顔まわりの羽が抜けたらしく顔つきが変わっている者がいて、なんだか猿みたいだった。また、ハシブトガラスらしきカラスの中にもシュッとした顔つきの者がいた。
まだまだ私にはカラスの見分けは難しい。
カラスって人間が近づくと逃げてしまうので、意外と撮れないのだ。
私がカラスに逃げられやすいだけだろうか。とにかく「何もしないから撮らせてください」と念じつつカメラを向けてみる。
するとカラスも安心したのか逃げずに行動を続けた。
建物横の、花壇のようなところへ向かっていく。
カメラでズームしつつ液晶画面を見ると、カラスの向かう先には赤い実の付いた植物(鳥除けネット等はない)があった。……なんか嫌な予感。
するとカラスは植物に近づき、赤い実をとった。
なんと、栽培されているプチトマトだ。
カラスは「何もしないって言ったよね?」と確認するようにこちらを振り返る。私は「はい、言いました……」と心の中で答える。
カラスはプチトマトを食べ始めたようだった。
カラスってプチトマト食べるんだ……。というか黙って見守った上に写真を撮っている私は共犯者になるのだろうか……。
でも確かこの建物はJA(農業協同組合)だ。
私は農業協同組合が何かは知らないのだが、農協が鳥除けネットも付けずにプチトマトを育てておられるということは何か考えあってのことかもしれない。
観賞用 or 農業ピーアール用で食べるつもりはないとか。
人通りのある場所で作った野菜を食べるのはやめたとか。
忙しくてトマトにまで手が回らなくて放置しているとか。
ここで私が農協に「鳥対策しないと野菜がとられますよ」なんて言うのは、運動オンチがスポーツ選手にスポーツのアドバイスをしようとするほどトンチンカンなことだと思われる。
何にせよ、むき出しでプチトマトを育てていたら食べられるのは時間の問題だろう。仕方がない。ということでカラスの邪魔はしなかった。
カラスはプチトマトを食べ終え、優雅に歩いて去っていく。
あとで写真を確認してみると、このカラスはくちばしがシュッと細くておでこが出っ張っていなかった。ハシボソガラスだろうか。
身近なカラスは大抵、ハシボソガラスとハシブトガラスに分かれるらしい。ハシブトガラスの方がやや体が大きいとか。
私はカラスの違いについて興味を持ち、調べてみた。すると、ガアガア鳴くのはハシボソガラスで、カアカア鳴くのがハシブトガラスだと書いてあった。
鳴き声に違いがあるとは知らなかった。
また、ハシボソガラスは雑食だがどちらかというと植物質のものを好み、ハシブトガラスも雑食だがハシボソガラスより肉食寄りらしい。
それも知らなかった。ハシボソガラスがプチトマトに惹かれて来たのも納得だ。
そして、ハシボソガラスの歩き方はウォーキング(普通に歩く)で、ハシブトガラスの歩き方はホッピング(ピョンピョンはねる)らしい。ハシブトガラスはあまり地上を歩かないとか。
見つけた餌の食べ方にも違いがあり、ハシボソガラスはその場で食べることが多く、ハシブトガラスは安全なところに運んで食べることが多いそうだ。
なるほど、プチトマトに寄ってきてその場で食べて、歩いて去ってゆくというのはすごくハシボソガラスらしい行動だったのだ。
調べて納得、見て納得。ハシボソガラスとハシブトガラスの行動面の違いを知れて面白かった。
このことでカラスに興味を持ったので、その後も色々読んでみた。
どこかで聞いたことのあるような話も見かけた。
カラスは記憶力が良く、自分をいじめた人間に仕返しをすることもあると言われているらしい。
ネットにはそう書いてあったが、信じる派と信じない派の人間に分かれるようだ。私は学校の先生から、実際カラスに復讐されたという話を聞いた気がする。
でもカラスって高いところにいるのにどうやっていじめるのだろう。
いや、とにかくいじめはいけないことだ。場合によってはやむを得ず敵対することになるかもしれないけれど。
あと、カラスってトンビとよく喧嘩しているイメージだけれど、「トンビ カラス」で検索すると出てくる画像はハシブトガラスが多い気がする。
トンビの敵はハシブトガラスなのだろうか。ハシボソガラスもトンビにちょっかいを出したりするのだろうか。そのあたりも気になってきた。
カラスは賢いとよく聞く。カラスを追いかけていれば、驚きの場面に遭遇できるだろうか。いつかカラスのすごい行動を写真や動画に撮ってみたいものだ。
*
その後、得た情報を元にカラスを見分けようとしているのだけれど、時々難しい。
気の荒いハシブトガラスらしき集団に会ったのだが、喧嘩で顔まわりの羽が抜けたらしく顔つきが変わっている者がいて、なんだか猿みたいだった。また、ハシブトガラスらしきカラスの中にもシュッとした顔つきの者がいた。
まだまだ私にはカラスの見分けは難しい。
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