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男女云々というかもう、日記?

人類皆平等

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 こないだ、乗ろうとした電車が来なかった。たった今まで時間通りに動いていた電車が、急に来なくなったのだ。5分、10分、やがて1時間程度……。人身事故かもしれなかった。

 人身事故。自殺なのか、事故なのか。ちょっとは死んでも良いと思っていたのか、死にたくなかったのか。人が死んだのか、実はそれほどでもなかったのか。詳しい状況は、無知な私にはよく分からない。

 死にたい人がしょっちゅう死ぬのか。それによって、明日も生きるつもりのみんなが待たされるのか。それを「迷惑」と呼ぶのか。

 死にたい人が死ねない。そのために、生きるための交通手段を死への交通手段として使おうとする。
 なら安楽死スペースでもあった方が、電車の遅延も減るのか。生きる人を待たせずに死ねるのか。
 って、そんな殺伐とした世界、嫌だ。……けど、誰かが飛び込み自殺しても、その電車はまた何事もなかったかのように走り、人々も何事もなかったかのように乗り込む……って、既に異常じゃない? 家だったら事故物件なのに、電車だったら事故車両じゃないよね?

 どっかに散らばっているんだろうか。見つけきれなかった、人の欠片。カラスがおやつに食べたりするんだろうか。


 死って、イメージ的に重い。あんまり見たことないけど重い。
 人間の葬式は一回だけだけど、路上で動物の死骸を見た回数は多い。ヘビを動物に含めると、ヘビが一番多くて、その次猫かな。その次、鳥か。鳩の死骸、二回ほど見たなぁ。

 死は怖い。得体が知れないから怖い。なんか雰囲気が重苦しいから怖い。

 それで半出生主義に惹かれる。「生」も「死」のように重苦しいけど。「生まれない」「生まない」って楽そう。

 けど中絶は怖い。本来命を産み出すはずの行為であるセックス。それを子作り以外の目的で行い、望まぬ妊娠をし、「生」が始まろうとしたところで中断するのは怖い。怪談とかで赤ちゃんの呪いも定番か。


 命。生。平等。ナチュラルに重いことを、軽く扱われ、自身も偏っていく、そんな日々。
 死ぬのは怖い、重い。死なれるのも怖い。生きるのも重い。ならば。

 半出生。滅び。甘美な響き、というやつか。滅びの上に本当の平等とやらが実現する気がする。生まれなければ国籍も学歴も性別も、優秀も無能も、何もないのだ。


 殺すことも死ぬことも恐ろしいが、発生すらしないというのは、どこかお気楽でいい。ただ、そんな哲学じみたことは世の重さに敵わない。半出生とかぬかすなら、公共のサービスを利用するんじゃねぇ、とか言われるかもしれない。ただの机上の空論なら現実に影響しないけど、実際半出生の思想というのは、多くの人の人生に影響し、すなわち社会に影響するから。絵空事ではない。


 けどもうちょっと自由な空気の中で生まれりゃハッピーかもだけど、なんか年々世知辛く感じるのは私だけだろうか。老いの始まりにより、今まで何てことなかった重力も、さらに重く感じるのか。

 ジェンダー平等。性は自由。でも少子高齢化だからもっと産め、産め。
 言っとることが矛盾しとる。性が自由なら「出生率を増やせ」「少子化対策」なんて言葉は人権侵害ちゃうんかい。


 つまり私の結論。
 ポンコツ。夢叶わない。性の制御不能。紆余曲折だか何だかんだで、今のところ半出生主義寄り。

 でも社会様の反感を買えば生きていけないから、これも不完全であり、正解ではない。半出生主義が正解ならば、出生主義に頼らずとも機能するシステムを生み出せるはずだが、次の世代を産まずに自分たちの最期までの人生、どうするのよ? 分からない。私には今のところ子孫がいないが(できちゃうか、中絶するかも。最低)、次の世代も、少子高齢化の社会でどうするんだか。


 結局、争うんだ。老人の寿命が延びたから悪いだの。最近の若いもんが恋愛に興味なく、子どもも産まないからいけないんだとか。

 飛び込んだら飛び込んだで電車の遅延。こんな世界もう、生きてるだけでうんざりだ。

 別に私は悲劇のヒロインじゃない。恵まれ、甘やかされ、ぬくぬくと。
 でもその恩恵を、子を産むサイクルによって還元しろって? 私は「女」であり「人材」だか「労働力」であり、それで?


 なんかもう、語彙力、言語化能力がないせいで、この鬱屈をアーティスティックに表現する術もないのだわ。

 せめてこの鬱屈をアーティスティックに表現する、言語化能力あるいは他の表現方法があれば……。

 ムンクの叫びの詳細は知らないけど、ああいう芸術的な。魂の表現。そこまで煮詰めて到達して昇華して。圧倒的な何かを……。


 子どもを産むとか産まないとか、女であるとかないとか、ポンコツだとか、働く・働かないとか、こんな次元を超越するような、圧倒的なパワー。怒りも悲しみも越えたような何か。服従でも支配でもない、この社会の現実でも理想でもない、もっともっと超越した何かを……どこかへ……。

 なーんて、そんなパワーナッシング。な、うちは、負のエネルギーを追い求め、究極を探した、とりあえずの結果が半出生主義、というところに収まったままなのであるが、このままだと口論でも負けるし、手厳しく批判されてしまう。


 性は自由なら出生率最低も自由。奇麗事と本音、個人と社会……矛盾しない、あるいは白濁併せ持つ理想……

 ああ、何を聞いても刺さらないんだわ。

 もっと違う、もっと完璧な、もっと圧倒的な、もっと居心地のいい、非日常の何か……。それでいて懐かしく、当たり前のように納得でき、しっくりくる何か……。

 そういうのが欲しい。
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