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男女云々というかもう、日記?
現在進行形
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社会というものが怖くて、人が怖くて、男性が怖くて、でも弱いばかりでは襲われると知って、いじめられっ子には戻りたくなくて、「憎んでいるのだ」と強がった。男性不信や男性恐怖症というよりミサンドリーなんだ、と。
もちろん現実で強がることなどできず、震えながら、引きこもりながら、ネットで強がった言葉を書き連ねるばかりだった。
行いが悪いなどとは百も承知……なんて、そんな覚悟すらできていなくて。何が跳ね返ってくるかも予想できぬまま、投げつけ続けている。
偽ることが上手くなったと自惚れた。実際のところどうだろう。ちっとも化けられてなどいないのに、上手く化けたものだと、自分だけが鼻高々なのではないか。ああ恥ずかしい。
何も分からなかった。知ったかぶりして、的外れで、井の中の蛙だった。人の心が分かるとっかかりなどなかった。同年代のことすら分からず、年上や年下の人の気持ちなど、なおさら分からない。
同期……先輩……後輩……上司……駅で仕事の電話をしているような人……。そんな社会人の人たちの心など、おもんぱかれるはずがなかった。
しかし彼の股間の膨らみに触れ、荒くなる呼吸や喘ぎ声を耳元で聞いていると、生き物であるとしか言いようがない。
たしかに違う生き物かもしれない、けれど同じ生き物でもある。「男と女は違う生き物だ」と言う人もいる中、彼自身が「同じ人間やん」と言ってくれたのだ。男性に「女と男は違う」と言われて引っかかってきたのに、男性から「同じだ」と言われて引き戻された。
さらに彼は子どものように無邪気に接してくれるものだから、「社会」や「上司」や「会社」や「人間」といったものが、今まで得体の知れないお化けや、立ちはだかる壁のように見えていたのが、いい意味で崩れ落ちた。
人間というのは生き物で、男性というのも、力は女性より強いだろうけど、同じように脆い生き物なのだ。心身ともに、傷つけることもできれば、快感を与えることもできる。急所を触らせてもらっているということは、それほどまでに信頼関係を築いたということなのかもしれない。
宝物を手に入れたが、宝物の価値を私はまだ分かっていない。人の気持ち、人生、社会の在り方……何も分かっていない。何も知らない。それは変わらないかもしれない。
けれど残念ながら、刻一刻と体は衰えるということは、例外なく基本的条件であるらしい。分かろうと分からなかろうと、いつまでもこのままの状態ではない。歩くことも難しくなるかもしれないし、その前に性機能だって衰えるかもしれない。ならば。
……性は軽いことではない。妊娠の可能性が、常にゼロではないからだ。だから、自分の意志もなしに、無闇やたらと体を差し出してはいけない。性病というものもあるらしい。
性についても私は分かっていない。捉え方が軽いかもしれない。しかし。
彼にこの瞬間、幸せを感じてもらいたい。男としての快楽、絶頂を味わってもらいたい。気持ちよくなってくれればいい。
一瞬のことかもしれない。やがて過ぎ去り、思い出も薄れるかもしれない。彼に釣り合う女になりきれなくて、私のあまりの生活力のなさに彼が嫌気差すかもしれない。大喧嘩で別れるかもしれない。それでも。今、気持ちよくなってもらいたい。
快楽は一瞬。子どもができたらその事実は永遠。性は、命は、重いんだぞ。分かっているのか? と自分に問いかけ、時には彼にぶつけつつも。「重いからこそ」と夢見心地で酔いしれつつも。「どうして彼にもっとしてあげられなかったんだろう」と後悔しないように。味わってもらいたい。
いつか薄れたとしても。「満たされた」経験は消えないかもしれない。
子どもの頃、お菓子を食べられなかったとか、ゲームを取り上げられたとか、マンガを捨てられたとか、無念だったことは覚えている。満足だったことはちょっと忘れかけてしまう。けど、美味しいものいっぱい買って食べられたら、落ちついて、「もういいかな」となる。満足する。それが満たされるってことで。満たされないうちは、欲しくなる。
むしゃぶりつきたくなるようなゾーンを越えて、それでもずっと持っていたいと思うもの、残るものが、「好き」ってことなんだと思う。一過性のマイブームは終わるけど、ずっと好きなものは続く。人間関係もおそらく……。
いずれにせよ、満たされれば。やりきれば良いんじゃなかろうか。「もういいかな」となるか、ずっと続いていくかは知らない。宝物の形もまだ知らない。プレイ方法の分からないゲームのように、手探りで楽しい日々が続いていく。
もちろん現実で強がることなどできず、震えながら、引きこもりながら、ネットで強がった言葉を書き連ねるばかりだった。
行いが悪いなどとは百も承知……なんて、そんな覚悟すらできていなくて。何が跳ね返ってくるかも予想できぬまま、投げつけ続けている。
偽ることが上手くなったと自惚れた。実際のところどうだろう。ちっとも化けられてなどいないのに、上手く化けたものだと、自分だけが鼻高々なのではないか。ああ恥ずかしい。
何も分からなかった。知ったかぶりして、的外れで、井の中の蛙だった。人の心が分かるとっかかりなどなかった。同年代のことすら分からず、年上や年下の人の気持ちなど、なおさら分からない。
同期……先輩……後輩……上司……駅で仕事の電話をしているような人……。そんな社会人の人たちの心など、おもんぱかれるはずがなかった。
しかし彼の股間の膨らみに触れ、荒くなる呼吸や喘ぎ声を耳元で聞いていると、生き物であるとしか言いようがない。
たしかに違う生き物かもしれない、けれど同じ生き物でもある。「男と女は違う生き物だ」と言う人もいる中、彼自身が「同じ人間やん」と言ってくれたのだ。男性に「女と男は違う」と言われて引っかかってきたのに、男性から「同じだ」と言われて引き戻された。
さらに彼は子どものように無邪気に接してくれるものだから、「社会」や「上司」や「会社」や「人間」といったものが、今まで得体の知れないお化けや、立ちはだかる壁のように見えていたのが、いい意味で崩れ落ちた。
人間というのは生き物で、男性というのも、力は女性より強いだろうけど、同じように脆い生き物なのだ。心身ともに、傷つけることもできれば、快感を与えることもできる。急所を触らせてもらっているということは、それほどまでに信頼関係を築いたということなのかもしれない。
宝物を手に入れたが、宝物の価値を私はまだ分かっていない。人の気持ち、人生、社会の在り方……何も分かっていない。何も知らない。それは変わらないかもしれない。
けれど残念ながら、刻一刻と体は衰えるということは、例外なく基本的条件であるらしい。分かろうと分からなかろうと、いつまでもこのままの状態ではない。歩くことも難しくなるかもしれないし、その前に性機能だって衰えるかもしれない。ならば。
……性は軽いことではない。妊娠の可能性が、常にゼロではないからだ。だから、自分の意志もなしに、無闇やたらと体を差し出してはいけない。性病というものもあるらしい。
性についても私は分かっていない。捉え方が軽いかもしれない。しかし。
彼にこの瞬間、幸せを感じてもらいたい。男としての快楽、絶頂を味わってもらいたい。気持ちよくなってくれればいい。
一瞬のことかもしれない。やがて過ぎ去り、思い出も薄れるかもしれない。彼に釣り合う女になりきれなくて、私のあまりの生活力のなさに彼が嫌気差すかもしれない。大喧嘩で別れるかもしれない。それでも。今、気持ちよくなってもらいたい。
快楽は一瞬。子どもができたらその事実は永遠。性は、命は、重いんだぞ。分かっているのか? と自分に問いかけ、時には彼にぶつけつつも。「重いからこそ」と夢見心地で酔いしれつつも。「どうして彼にもっとしてあげられなかったんだろう」と後悔しないように。味わってもらいたい。
いつか薄れたとしても。「満たされた」経験は消えないかもしれない。
子どもの頃、お菓子を食べられなかったとか、ゲームを取り上げられたとか、マンガを捨てられたとか、無念だったことは覚えている。満足だったことはちょっと忘れかけてしまう。けど、美味しいものいっぱい買って食べられたら、落ちついて、「もういいかな」となる。満足する。それが満たされるってことで。満たされないうちは、欲しくなる。
むしゃぶりつきたくなるようなゾーンを越えて、それでもずっと持っていたいと思うもの、残るものが、「好き」ってことなんだと思う。一過性のマイブームは終わるけど、ずっと好きなものは続く。人間関係もおそらく……。
いずれにせよ、満たされれば。やりきれば良いんじゃなかろうか。「もういいかな」となるか、ずっと続いていくかは知らない。宝物の形もまだ知らない。プレイ方法の分からないゲームのように、手探りで楽しい日々が続いていく。
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【うだつの上がらないエッセイ集】
生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。
【良くも悪くも、星の回転は止まらない】
詩集です。すぐ読める短いものが多いです。20編で完結しました。
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