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低用量ピルの服用を開始

次の世代

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 子どもが生まれるのは「性欲があるから」。それを正当化されるのはイヤ。子どもというのはもっと崇高な存在で、崇高な理由で求められてほしい。

「性欲のため」の次に「社会のため」は……自分が社会のために生み出され、「あなたもいつか子どもを産むのよ」とか言われるのは、イヤだなぁ。私だったら自由にさせてくれと思う。


 今は少子化の時代。テレビで少子化少子化言うもんだからか、みんな少子化少子化言い始めた。
 人間って言われないことは気づかないけど、言われたらみんな言う。以前はニートや引きこもり叩きが盛んだったけど、ニート云々に変わって「それより少子化がヤバい」と言われている気がする。

 以前ニートを叩いていたヒマな独身子なしも、急に自分が叩かれる側に回ったようでヒヤヒヤしているだろうか。別に自分が叩かれているとは感じないか。


 少子化対策時代に生まれた子ども、「あなたも子どもを産むのよ」みたいな圧を感じるのだろうか。初めから産みたい人、「分かった」と納得できる人は良いだろうけど……いや、それでも体質とかで産めない人もおられるんだろうけど。

 今の子どもたちは何世代(ゆとりとかさとりとか)になって、何を感じながら生きるんだろう。
「あなたが歯車を回すのよ」と、少ない若者にプレッシャーを向けられているようで、何やかんや大変そうだ。
 プレッシャーをかけている、生産性のない大人世代としては申し訳ないから、こちらも「なぜ産まないんだ」とプレッシャーかけられているくらいで丁度いいのか。


 10年前とかのネットの書き込みを見たら、「できちゃった結婚」が話題になっていた頃のようで、「『できちゃった』なんてはしたない!」とか論じられていたけど。

 今は頭でっかちになって「私に子育てなんてできない」って諦める人が増えたんだろうから。「もう『できちゃった』でも何でもいいから、一人でも多く産んでくれ!」「考えすぎたら産めなくなるから、若さと勢いで突っ走れ!」って風潮になってるのかな。どうだろう。


 でも世間的にはフェミニストの皮を被ったミサンドリストが、性的なことを叩きまくっているし、半出生主義寄りの人もウジャウジャいるから、考え方は両極端、またはグレーになっていっているのかも。だから「ジェンダー自由(ってことは産む・産まないも自由だよね)」と「子どもを増やそう」が混在している。

 けど問題は「産みたい人」「産みたくない人」とかじゃなく、生活が苦しすぎて、本来子どもが欲しかった人まで諦めてしまう、というところなんだろうか。「産みたくない」という発想自体をどうにかしたいのか。結局どうなんだろう。


 私が若い頃感じたのは、「子どもを産みましょう」というより「恋愛」の圧だったような。「恋愛」のその先に「子ども」があるかどうかは知らない、また別の話だけれど、とにかくみんな恋愛、恋愛、みたいな。

 どうしてこんな世界なんだろうと思ったけど、社会的には、恋愛を経験した人がステップアップ的に「じゃあ子ども」と考えたりするだろうから、まず恋愛があるので丁度良かったのかもしれない。別に恋愛をした人のすべてが子どもを産むわけじゃないけどそれで良い、と。

 恋愛すらしない、興味ない、ではその先に行きようがない。……のか。段階だもんね。

 中島みゆきさんの「糸」の「織りなす布は いつか誰かを あたためうるかもしれない」だって。別に「出会う」話をしているだけであって、それが恋愛や結婚であるかどうか、「誰か」というのが子どものことであるかどうかは限定されないけど。ふわっとしていて押し付けがましくなく、それでいて希望もあって「出会いはいいこと」という空気があって、暖かい。

 それが現代じゃバンバン「子どもを産みましょう」なんだから(そうは言っていないんだろうけど)、下世話というのか。なりふり構わずというか。


 私は性被害を受けたときショックだったけど、「そんなの当然だろ」みたいに言われたのがさらにショックだった。男は若い女に欲情するのが当然で、女の子も「身を守りなさいよ」と教わる。そんな異常な世界が当たり前だなんて。

 もし私が女の子を産んだら、彼女はセクハラや望まぬ妊娠に怯えつつも、いつか子を産まなきゃと使命感を持って生きるか。男の子なら、本能と葛藤しながら生きるか。
 あるいはグレるか。

 いや、身内は癖の強いヤツが多いし、障がいがあって人格がおかしいのもいるので(この発言も差別に聞こえるだろうけど)、まともなものの考え方をしない、とんだ変人の子が産まれるかもしれない。

 そんなの、まともだろうがまともでなかろうが、社会不適合者の私が何をどうできるというのか。


 性犯罪があるなんて当たり前。そうならないためには風俗へ行く、オナニーをする。そういう男性の性欲の質を私は未だに飲み込めず、優しくされる意味も、いじめられた意味も、性被害に遭った意味も分からない。そして世間的にも女性は男性のことをよく分からないまま、なんとなく誤解して、なんとなく警戒しながら生きているように見える。

 こんな社会を継続する意味なんてあるだろうか、と言ったって。継続しないという態度も怒りを買いそう。「半出生主義だなんて迷惑だ。税金を食い潰すだけだ。過激論者は死んじまえ! 公的支援もサービスも何も受けるな!」とか言われそう。


 こないだ、同性愛の人が異性愛者に喧嘩を売ったような投稿に、同じ同性愛の人のコメントが付いていて、「ポリコレだなんだと過激にギャーギャー騒ぐ一部の同性愛者のせいで、同性愛者のイメージが悪くなるから、もっと言動について考えてほしい」というようなことをおっしゃっていた。

 私も未婚子なしとして。ただ穏やかに謙虚にしていれば、「まぁ、結婚する人しない人、子どものいる人いない人、色んな人生や考え方があるわな」と大目に見てもらえるところを。「結婚とか子どもを産むとか、意味が分からない。性欲のコントロールもできないくせに」などと下手に過激に騒ぐから、「こういう未婚子なしのせいで世の中がおかしくなる」と一部の人に思わせてしまったかもしれない。


 現代を生きる私たちは、個人でありつつカテゴリーである。良くも悪くも、私たちの言動は、それぞれのカテゴリーに影響を与える……。

 それでも黙りもせず、死ぬこともできない私は、迷惑なのか。人間なんて意外とそんなもんなのか。
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