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低用量ピルの服用を開始

恋愛とはやはり繁殖準備……?

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 恋って何のためにするのだろう。
 動物番組などで「恋の季節……」といえば、当然繁殖期のことであり、オスメスの駆け引き(?)のあとに交尾。その後は、オスメス協力して子育てを行ったり、メスだけが子育てしたり。

 そういえば、「動物のメスはあんなに有能なのに、人間の女は何故あんなに無能なのか」みたいなコメントを見たような。それって、動物はメスだけで子育てできるほど強くてたくましい種族が多いのに、ってこと? そう言われてもなー……。


 さて、動物の恋は繁殖期。では人間の恋は?

 当然繁殖……の延長線上のはずなんだけれど……。人間のは、友情やら仕事やら、人間関係もゴチャゴチャになっていて、その中で仲の良い人と距離が近づいたり離れたり、あっちとこっちがくっついたり、今度は別の人に惹かれたり。社会性というものがあって(社会性は他の動物にもあるけど……)、単純に繁殖だけというわけでもなく、さらに性の多様性もあり、つまり「恋とは?」というと……。何なのだろう。私は知らない。

 と、このような複雑でややこしい……複雑でややこしいと感じているのは私だけ? な感じなので、人間関係というものが分からない。どこまでが健全な関係で、どこから線引きすべきだったのか。

 もしかしたら私は私のキャラ設定を間違えたのかもしれない。


 避妊して……それでも妊娠してしまう確率ってどのくらいなのだろう。低用量ピルの避妊率が、正しく使えば99%以上といっても、低用量ピルだけで避妊し、さらに中出しを続けた場合とか、それでも99%なのだろうか。
 低用量ピルを服用するような避妊意識の高い人は、他の避妊方法も併用しているかも。中出しなんかしていないかも。ちゃんとした人が集まった結果のデータが「避妊効果99%以上」なら、それがピルの実力かどうか分からないのでは。

 ピルの服用。それでも生涯で一度や二度は妊娠してしまう可能性があるのだろうか。


「水子供養」で検索してみた。「己の身勝手で中絶してしまった水子さんには懺悔の心を込め、ご供養すべき」というような一文もあった。

 そりゃそうだ。子どもからすれば親の身勝手だ。
『なぜセックスしたの? なぜ私は産んでもらえなかったの? 他の子は産んでもらえて、お祝いしてもらえて、名前をつけて可愛がってもらえて……。なのになんで私はゴミとして捨てられたの?』と思うだろう。

 12週以上の中絶胎児は火葬・埋葬されることになっているそうだが、それ未満の子は、廃棄物として処理されていた実態があるらしい。


 妊娠しておいて中絶するのは身勝手なのか。
 妊娠したら産むこと前提なのか。
 なら、妊娠を望まないのにセックスするのは、やはりおかしいのか。
 つまり子どもを産む気がないなら恋愛もすべきじゃないのか。


 当たり前かもしれない。でも恋愛観も人間関係も多様で、頭の中がなんだかゴチャゴチャ。

 人と仲良くなるにはどうしたらいい? 寂しさのために恋するなんて間違っている?

 セックスしなくたって、人と人は仲良くなれる。
 ……いいや、一線を越えないよう、異性とはそもそも仲良くなるべきじゃないのか。
 いやいや、「セックスしよう」という雰囲気やら予兆があれば、断固として拒否すればいいだけだ。あとは普通に、距離感を保って、健全な範囲で仲良くすればいい。


 寂しい。寂しい。
 けれど寂しさのために殺人、それも幼い子どもを……なんて、非人道なのか。そんなこと望んでいないけれど、結果的にそうなったら。


 恋は結婚相手を選ぶためのもの。結婚は、子育てのためのもの。
 恋は結婚への道のりの出だし。ここで相性を確かめて、子育てに向かったり別れたり。

 なんて、子どもだけがすべてじゃない。「当たり前」の価値観に「NO」と言いたかった。けれど。

「子どもを産みたくないから恋も結婚もしない」は選べる。「セックスしているけど妊娠したくない」は、生物として矛盾している。「セックスしない」ことは選べても、「セックスしたいけど妊娠したくない」は選びきれないのか。


「子どもを産みたくないから恋も結婚もしない」。私はこの年になるまで、それをできていた。というよりモテないから、「誰かと雰囲気に流されてセックスしてしまったらどうしよう。あるいは性暴力とか」という不安は少しあったものの、そんなものはほとんど妄想上の不安であり、心配はいらない……はずだった。

 でも私も女である。昔とはいえ性被害に遭っているし、他の人からも性的なことをされたところを見ると、私に性的魅力を感じる人もいるということだ。良くも悪くも。

 なら、女として生きる以上、「受け入れる」か、そういうつもりはないと「断る」、いずれかのアクションはせねばならなかったということ。この先もしないといけないかもしれない。閉経まで、可能性はゼロではない。

 誰も拒絶したくない。傷つけたくない。優しい人に対してはそう思う。けれど、もはや空想上のモンスターみたいになった、私の感情によって歪められた男性像と、それに対するミサンドリーは残っている。それで表向きは柔らかく、裏にはトゲがあるという、裏表ある性格になった。


「子どもを産みたくないから恋も結婚もしない」を今まで選べていた。選んでいたというか、恋する機会もなかった。けど選び通せなくなった。

 彼に捨てられたら、また「あちら」に舞い戻るかもしれない。でもどうなるか分からない。異性のぬくもりを知ってしまったことで、孤独感が増すかも。


 恋をして、結婚して、子どもを産んで。
 そんな価値観にNO。

 でも恋に足を突っ込むなら。妊娠の可能性があるなら。「完璧に避妊するけど、万が一できてしまったら産むよ」と。潔くそう言うべきで、それを受け入れられないのが「身勝手」なことだったのか。


 私の恋は身勝手で、無責任で。恋でもないのかもしれない。

 けれど、この年でやっと初めて、女として正当に見てもらえた。温かく接してもらえた。特別扱いしてもらった。
 大切な時間。大切な思い出。嬉しい、楽しい。本当に。


 まだこの段階。身勝手というか本当に、ずっと自己中心の、幼いままだなぁ。
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