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低用量ピルの服用を開始
愛とは結局何なのか
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私は頭が悪い方だから、何事も「よく分からないからやめておこう」「ややこしいからやめておこう」「できないからやめておこう」と、逃げ腰であった。「知っていこう、勉強しよう」とか「頑張ろう」とするより、「逃げよう」とすることが多いように思う。最初から面倒なことに首を突っ込まなければ、難しいことを考えなくて済むと思っていたから。
「スポーツをしなければ、スポーツのルールを覚えなくて済む」。そんな感じで、何も覚えようとか理解しようとしなかった。
ところが性というのが厄介だった。こちらは何も積極的に異性に迫っているつもりないのに(オナニーはするけど)、なぜか男性と一緒にいると、性欲を向けられるのである。私はセックスをしたいんじゃなく、仲良くしたかっただけなのに。
「え、一緒にいるだけで発情するとか、そういうものなの? 同じ社会で暮らしているんだから、そんなの避けようがないじゃん」と、異性を恐れながら生きてきた。だから、ネットで稼いで引きこもろうとか、あれこれやってみたのかもしれない。が、上手くいかない。
女性は男の心を誘惑し、狂わせる悪魔。煩悩。男性から見ればそうなのかもしれないが、こちらからすると、求めてもいないのに面倒ごとや危険を持ち込む、平穏を揺るがす悪魔や煩悩は男性の方である。
つまり人は異性……いや、性をコントロールしづらく、双方悪魔のように感じながら、振り回されつつ生きてきたのかな。
「ぬいぐるみペニス症候群」というのも、今になってちょっと意味が分かるかも。一緒にいて心地いいと思っていた男性から性欲を向けられ、「結局アンタも性欲かい……」とげんなりするような。
「すべての男性が性犯罪者予備軍だ」などと言えば「男性差別だ!」と非難されるのだろう。ただ、「人を見たら泥棒と思え」というのも、態度に出しすぎたら失礼に当たるし、誰でも彼でも銃で撃ち殺そうなどと過激な考えを持つものではないが、実際鍵をかけたり防犯カメラを付けたりはするべきなのである。「疑うのは良くない」からと言って「対策しないのも良くない」のだろう。つまり嫌悪を相手に向けることなく、差別だと思わせることなく、スマートに対策しろ、と言いたいのか。
エロ漫画ではエロばかり描かれるが、エロメインでない作品では、男性の強い性欲というのは、まるで存在しないかのように描かれる。男女が親しげに一緒にいても、一向に何も起こらないとか。現実でそんなことがあり得るのだろうか。
いやいや、男性を性欲の塊みたいに言うのは男性差別だ。そうじゃない人もいるだろう。って、「そうじゃない人もいる」かもしれないけど、「泥棒じゃない人がいる」からといって「泥棒がいない」わけではないように、泥棒への対策をしなくていいというものではないし、安易に人を信じない方がいい。見知らぬ人でも、知り合いでも……変なことを持ち込んでくるかもしれないし。
ということで、男性の抗えない本能というのは性欲である。決め付けは良くないけど、「決め付けは良くない」「差別だ」と言って有耶無耶にするのもちょっと危険。
人間の三代欲求は「睡眠欲」「食欲」「性欲」だそう。それを聞いたとき、「たしかに『眠い』や『お腹すいた』には抗えないが、それと性欲が一緒? 性欲そんなに強いか?」と思った。
が、それは女性の……あるいは私という一個人の感覚であり、男性にとってはそういうことなのかもしれない。
男性は「中出しする」のが本能であり、そのためには女性を言いくるめようとか、半ば騙すようにとか、あるいは抑えきれなくてそのまま……とか、どうもそうなりそうな雰囲気がある。止めなければ止まらない、止めても止まらないような。
「溜まる」という感覚は私には分からない。男性は、女の子の中に出したくなってしまうのが本能……。刺激されると抑えきれなくなってしまう……。そう思うと可愛いが、実際には男性は暴力的というか、強引とか力強いとか差別的というイメージがある。どうも。
避妊については、あれほど気を付けろと情報に書いてあるのに、「大丈夫だ」と言って外出しするとか、そういう人が多そうな。
性についてこちらが心配しすぎなのか? いやいや。
異性と付き合うことを受け入れるってことは、ある程度、妊娠する可能性を受け入れるってことなのかもしれない。私の理解と覚悟が足りなさすぎるのかも。だから「隙がある」なんて言われもしたのかも。危機感が足りないのかも。
私たちは人と衝突しながら、「やんわりと意思を伝えるべきだ」ということを学習する。
でもやんわりと「そういう避妊方法は不確実らしいから、こうした方が……」とか言ってみても、男性には通じないような。
ならどうする? 低用量ピルを飲む、以外分からない。それも「やったからもうOK」というものではなく、一日も欠かさず継続しなければならない。性って大変だなぁ。
本能は本能でしょうがない。といっても、男性が女性に「本能だから仕方ないだろ!」と言うのはちょっと……。それに女性が女性に「男性はそういうものなんだから仕方ないでしょ」と言うのもちょっと。
精子が作られて溜まってしまう、孕ませたくて疼いてしまう、一生懸命性器を刺激して出そうとする……。そう考えると可愛いというか萌えるというか興奮するが、夢見心地で理性を吹っ飛ばしたら、本能の思うツボ。
「子どもができてもいいし、できなくても幸せだよ」とかいう状態だったら一番不安がないんだろうけど。私はそんな「何でもOK」と受け入れる派じゃない。昔から「いつか素敵な彼と結婚……」と思い描いていたとかじゃなく、恋愛も結婚も面倒だから避けてきた。そして、避けるまでもなく私など選ばれもしないだろうという安心感もあった。
でもそれに「私などどうせ誰からも愛されやしない」という劣等感や、誰かに認められたいという承認欲求、寂しさもついて回り、思考が混濁していた。ハッキリとした意志・選択が足りていなかったんだろう。
本当に私が「恋愛しない」と決めたならば、「どうせ私はブサイクだし」とか「真実の愛なんて存在しないんだ」とか関係なかったはずだ。恋愛「できない」と「したくない」、そしてその他あれこれ、ゴチャゴチャになっていた。
彼には片思いしていた。振り向かれるはずもないと思っていた。けれど職場でずっと構ってもらえて(あと随分手伝っていただいた)、幸せな時間だった。そう遠い昔のことじゃないのに、あの距離感がなんだか懐かしい。
彼とプライベートで過ごし始めた頃。嫌われやしないかとか、何かされるんだろうかとか、一喜一憂していたな。
彼は、この先恋愛関係になるかもしれないし、そういうこと(体の関係)なしで友達でもいいと言った。
そう、彼は逃げ道を与えてくれていたが、私が突っ込んでいったのだ。流されたとかいうレベルではない。人のせいにしちゃいけない。
正直、この世では体の関係が「最高」なんだろうと思っていた。体の関係に至らなかったら、そこまで仲良くなれず終わるような。友達以上を拒否したら、遠い存在のままであるような。
近づきたいと思ってしまった。チャンスだと思った。せっかく片思いの人が振り向いてくれたのに(片思いではなかったのかな?)、浅い関係で終わらせるのは悲しかった。それに、一歩踏み出せば男性恐怖症も治る気がした。
優柔不断の極み。結局、一進一退。というか、覚悟も理解もないまま、ここまできてしまった。
性の世界のことは何も考えてこなかった。やらないこと、できないことは知らなくていいと。だから何も知識がない。恋バナとか、情報交換するような友達もいない。
体を求められるということは「愛してる」ということかもしれない。けれど興奮することが愛ならば、レイプだって愛ということになってしまう。無責任な性欲は愛じゃない。
性が怖い。重大なことなのに、有耶無耶に、当たり前のような顔をして世間に転がっていることが怖い。そんな軽いことじゃないだろうに。でも「知ろうとしない」ことも含め、選択したのは私。
……人を見る目がなくて、見誤って、驚いたり傷ついたりしてきた私だけど(多分、傷つけてきた方が多かっただろうけど)、今、愛してくれているかいないかくらいは分かるつもりである。
でも「愛を感じる理由」を上手く説明できないな。「私のために時間を割いてくれる」「私を喜ばせようと、私が好きだと言ったものをくださる」「私のためにお金を使ってくださる」、こんなんじゃ、人を利用しているみたいじゃないか。
彼が私の体を、私が彼の財力や行動力を利用する? そんなんじゃないはず。けれどこの世ではお金も時間も大事だから、忙しいはずの彼がお金や時間を私に使ってくださった重みは分かりたい。
彼との思い出。大切にしたい。「嫌だったこと」カテゴリーに入れたくない。不安に塗りつぶされたくない。全部大事にしたい。
けれど何もかも受け入れるには器が足りず、未来が心配だ。
子どもができるか、できないか、できても中絶するか、なんて。それによってまったく未来が違う。中絶してしまっても、産んでしまっても、もう前には戻れない。
彼との思い出を嫌なことにしたくない。せっかくの楽しかったことを、「嫌だった」と考えたくない。
けれど夢見心地で、性を薄らぼんやりと考えていては危険。
産みたくないならヤらないのがいい。つまり私は「産みたくないから人と付き合っちゃいけないんだ」とちゃんと分かっていなきゃいけなかった。なのに「恋愛」と「子ども」が脳内で完全に結びついておらず、ぼんやり生きてきた。
性が怖い、けれどせっかく、人生で初めて両思いになれた彼と、「もう性的なことはしません」と言って離れるのも嫌。
妊娠していない今は、毎日楽しい。主に彼に頼りきりで、自発的にあまり何もできていないし、職場での振る舞い方はこれで良いのかとか(親密すぎても怪しく見えるだろうし、公私混同はいけないだろうから、最近私は職場でよそよそしく振る舞いがち。でも以前は職場でも仲良くしていたのに、これはこれで不自然だし寂しいような)。
じゃあどうする?
低用量ピルを飲み続ける。
この間、飲み忘れて寝そうになってヒヤッとした……たまたま偽薬だったけれど。怖いなぁ。
飲んだ日付を記録しているのだけど、それも最後噛み合わなくて焦った。どうも飲み忘れたわけではなく、飲んだ後、日付を書き忘れた日があっただけだったようだけど……。書き忘れるってことは、飲み忘れそうで怖い。
こないだ外出先のトイレで、折り畳み傘の忘れ物を見た。あのように大きなもの、視界に入っているであろうものでも、人は忘れてしまうんだなぁ。
私はまだ一応若いが、ただでさえ忘れっぽい。それがこの先、年を重ねていったら……もう薬のことなんて覚えていられないんじゃないか。
職場でも、お客様が置き忘れたらしい薬を時々拾う。薬の存在って忘れがち。薬に頼るのは怖い。が、今はこれしかない。
あとは、女性の体のつくりとか調べていくか。
恋は夢見心地でできるかもしれないけど、妊娠後は寝ぼけ眼じゃいられない。夢を夢のまま見続けられるか、望まない現実を呼び込むか。今はまだ分からない。
「スポーツをしなければ、スポーツのルールを覚えなくて済む」。そんな感じで、何も覚えようとか理解しようとしなかった。
ところが性というのが厄介だった。こちらは何も積極的に異性に迫っているつもりないのに(オナニーはするけど)、なぜか男性と一緒にいると、性欲を向けられるのである。私はセックスをしたいんじゃなく、仲良くしたかっただけなのに。
「え、一緒にいるだけで発情するとか、そういうものなの? 同じ社会で暮らしているんだから、そんなの避けようがないじゃん」と、異性を恐れながら生きてきた。だから、ネットで稼いで引きこもろうとか、あれこれやってみたのかもしれない。が、上手くいかない。
女性は男の心を誘惑し、狂わせる悪魔。煩悩。男性から見ればそうなのかもしれないが、こちらからすると、求めてもいないのに面倒ごとや危険を持ち込む、平穏を揺るがす悪魔や煩悩は男性の方である。
つまり人は異性……いや、性をコントロールしづらく、双方悪魔のように感じながら、振り回されつつ生きてきたのかな。
「ぬいぐるみペニス症候群」というのも、今になってちょっと意味が分かるかも。一緒にいて心地いいと思っていた男性から性欲を向けられ、「結局アンタも性欲かい……」とげんなりするような。
「すべての男性が性犯罪者予備軍だ」などと言えば「男性差別だ!」と非難されるのだろう。ただ、「人を見たら泥棒と思え」というのも、態度に出しすぎたら失礼に当たるし、誰でも彼でも銃で撃ち殺そうなどと過激な考えを持つものではないが、実際鍵をかけたり防犯カメラを付けたりはするべきなのである。「疑うのは良くない」からと言って「対策しないのも良くない」のだろう。つまり嫌悪を相手に向けることなく、差別だと思わせることなく、スマートに対策しろ、と言いたいのか。
エロ漫画ではエロばかり描かれるが、エロメインでない作品では、男性の強い性欲というのは、まるで存在しないかのように描かれる。男女が親しげに一緒にいても、一向に何も起こらないとか。現実でそんなことがあり得るのだろうか。
いやいや、男性を性欲の塊みたいに言うのは男性差別だ。そうじゃない人もいるだろう。って、「そうじゃない人もいる」かもしれないけど、「泥棒じゃない人がいる」からといって「泥棒がいない」わけではないように、泥棒への対策をしなくていいというものではないし、安易に人を信じない方がいい。見知らぬ人でも、知り合いでも……変なことを持ち込んでくるかもしれないし。
ということで、男性の抗えない本能というのは性欲である。決め付けは良くないけど、「決め付けは良くない」「差別だ」と言って有耶無耶にするのもちょっと危険。
人間の三代欲求は「睡眠欲」「食欲」「性欲」だそう。それを聞いたとき、「たしかに『眠い』や『お腹すいた』には抗えないが、それと性欲が一緒? 性欲そんなに強いか?」と思った。
が、それは女性の……あるいは私という一個人の感覚であり、男性にとってはそういうことなのかもしれない。
男性は「中出しする」のが本能であり、そのためには女性を言いくるめようとか、半ば騙すようにとか、あるいは抑えきれなくてそのまま……とか、どうもそうなりそうな雰囲気がある。止めなければ止まらない、止めても止まらないような。
「溜まる」という感覚は私には分からない。男性は、女の子の中に出したくなってしまうのが本能……。刺激されると抑えきれなくなってしまう……。そう思うと可愛いが、実際には男性は暴力的というか、強引とか力強いとか差別的というイメージがある。どうも。
避妊については、あれほど気を付けろと情報に書いてあるのに、「大丈夫だ」と言って外出しするとか、そういう人が多そうな。
性についてこちらが心配しすぎなのか? いやいや。
異性と付き合うことを受け入れるってことは、ある程度、妊娠する可能性を受け入れるってことなのかもしれない。私の理解と覚悟が足りなさすぎるのかも。だから「隙がある」なんて言われもしたのかも。危機感が足りないのかも。
私たちは人と衝突しながら、「やんわりと意思を伝えるべきだ」ということを学習する。
でもやんわりと「そういう避妊方法は不確実らしいから、こうした方が……」とか言ってみても、男性には通じないような。
ならどうする? 低用量ピルを飲む、以外分からない。それも「やったからもうOK」というものではなく、一日も欠かさず継続しなければならない。性って大変だなぁ。
本能は本能でしょうがない。といっても、男性が女性に「本能だから仕方ないだろ!」と言うのはちょっと……。それに女性が女性に「男性はそういうものなんだから仕方ないでしょ」と言うのもちょっと。
精子が作られて溜まってしまう、孕ませたくて疼いてしまう、一生懸命性器を刺激して出そうとする……。そう考えると可愛いというか萌えるというか興奮するが、夢見心地で理性を吹っ飛ばしたら、本能の思うツボ。
「子どもができてもいいし、できなくても幸せだよ」とかいう状態だったら一番不安がないんだろうけど。私はそんな「何でもOK」と受け入れる派じゃない。昔から「いつか素敵な彼と結婚……」と思い描いていたとかじゃなく、恋愛も結婚も面倒だから避けてきた。そして、避けるまでもなく私など選ばれもしないだろうという安心感もあった。
でもそれに「私などどうせ誰からも愛されやしない」という劣等感や、誰かに認められたいという承認欲求、寂しさもついて回り、思考が混濁していた。ハッキリとした意志・選択が足りていなかったんだろう。
本当に私が「恋愛しない」と決めたならば、「どうせ私はブサイクだし」とか「真実の愛なんて存在しないんだ」とか関係なかったはずだ。恋愛「できない」と「したくない」、そしてその他あれこれ、ゴチャゴチャになっていた。
彼には片思いしていた。振り向かれるはずもないと思っていた。けれど職場でずっと構ってもらえて(あと随分手伝っていただいた)、幸せな時間だった。そう遠い昔のことじゃないのに、あの距離感がなんだか懐かしい。
彼とプライベートで過ごし始めた頃。嫌われやしないかとか、何かされるんだろうかとか、一喜一憂していたな。
彼は、この先恋愛関係になるかもしれないし、そういうこと(体の関係)なしで友達でもいいと言った。
そう、彼は逃げ道を与えてくれていたが、私が突っ込んでいったのだ。流されたとかいうレベルではない。人のせいにしちゃいけない。
正直、この世では体の関係が「最高」なんだろうと思っていた。体の関係に至らなかったら、そこまで仲良くなれず終わるような。友達以上を拒否したら、遠い存在のままであるような。
近づきたいと思ってしまった。チャンスだと思った。せっかく片思いの人が振り向いてくれたのに(片思いではなかったのかな?)、浅い関係で終わらせるのは悲しかった。それに、一歩踏み出せば男性恐怖症も治る気がした。
優柔不断の極み。結局、一進一退。というか、覚悟も理解もないまま、ここまできてしまった。
性の世界のことは何も考えてこなかった。やらないこと、できないことは知らなくていいと。だから何も知識がない。恋バナとか、情報交換するような友達もいない。
体を求められるということは「愛してる」ということかもしれない。けれど興奮することが愛ならば、レイプだって愛ということになってしまう。無責任な性欲は愛じゃない。
性が怖い。重大なことなのに、有耶無耶に、当たり前のような顔をして世間に転がっていることが怖い。そんな軽いことじゃないだろうに。でも「知ろうとしない」ことも含め、選択したのは私。
……人を見る目がなくて、見誤って、驚いたり傷ついたりしてきた私だけど(多分、傷つけてきた方が多かっただろうけど)、今、愛してくれているかいないかくらいは分かるつもりである。
でも「愛を感じる理由」を上手く説明できないな。「私のために時間を割いてくれる」「私を喜ばせようと、私が好きだと言ったものをくださる」「私のためにお金を使ってくださる」、こんなんじゃ、人を利用しているみたいじゃないか。
彼が私の体を、私が彼の財力や行動力を利用する? そんなんじゃないはず。けれどこの世ではお金も時間も大事だから、忙しいはずの彼がお金や時間を私に使ってくださった重みは分かりたい。
彼との思い出。大切にしたい。「嫌だったこと」カテゴリーに入れたくない。不安に塗りつぶされたくない。全部大事にしたい。
けれど何もかも受け入れるには器が足りず、未来が心配だ。
子どもができるか、できないか、できても中絶するか、なんて。それによってまったく未来が違う。中絶してしまっても、産んでしまっても、もう前には戻れない。
彼との思い出を嫌なことにしたくない。せっかくの楽しかったことを、「嫌だった」と考えたくない。
けれど夢見心地で、性を薄らぼんやりと考えていては危険。
産みたくないならヤらないのがいい。つまり私は「産みたくないから人と付き合っちゃいけないんだ」とちゃんと分かっていなきゃいけなかった。なのに「恋愛」と「子ども」が脳内で完全に結びついておらず、ぼんやり生きてきた。
性が怖い、けれどせっかく、人生で初めて両思いになれた彼と、「もう性的なことはしません」と言って離れるのも嫌。
妊娠していない今は、毎日楽しい。主に彼に頼りきりで、自発的にあまり何もできていないし、職場での振る舞い方はこれで良いのかとか(親密すぎても怪しく見えるだろうし、公私混同はいけないだろうから、最近私は職場でよそよそしく振る舞いがち。でも以前は職場でも仲良くしていたのに、これはこれで不自然だし寂しいような)。
じゃあどうする?
低用量ピルを飲み続ける。
この間、飲み忘れて寝そうになってヒヤッとした……たまたま偽薬だったけれど。怖いなぁ。
飲んだ日付を記録しているのだけど、それも最後噛み合わなくて焦った。どうも飲み忘れたわけではなく、飲んだ後、日付を書き忘れた日があっただけだったようだけど……。書き忘れるってことは、飲み忘れそうで怖い。
こないだ外出先のトイレで、折り畳み傘の忘れ物を見た。あのように大きなもの、視界に入っているであろうものでも、人は忘れてしまうんだなぁ。
私はまだ一応若いが、ただでさえ忘れっぽい。それがこの先、年を重ねていったら……もう薬のことなんて覚えていられないんじゃないか。
職場でも、お客様が置き忘れたらしい薬を時々拾う。薬の存在って忘れがち。薬に頼るのは怖い。が、今はこれしかない。
あとは、女性の体のつくりとか調べていくか。
恋は夢見心地でできるかもしれないけど、妊娠後は寝ぼけ眼じゃいられない。夢を夢のまま見続けられるか、望まない現実を呼び込むか。今はまだ分からない。
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【うだつの上がらないエッセイ集】
生き物の話や夢の日記、思い出や星占いの話など、思いついたことを色々詰め込んだ連載です。
【良くも悪くも、星の回転は止まらない】
詩集です。すぐ読める短いものが多いです。20編で完結しました。
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