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「子どもを増やせ」の前に「人格を高めろ」では?

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 初めて入ったお店に、嫌な感じのお客さんが群れていたら、「なんかこの店、雰囲気悪っ!」と、お店のイメージが悪くなるかもしれない。
 旅行に行った先で嫌な人に出会ったら、その県自体のイメージが、自分の中でダウンしてしまうかもしれない。

「以前こういう状況で右を選んで失敗したから、今度は左を選ぼーっと」と学習する。
 でも「以前こうしたら嫌な目に遭った」というのはただの運かもしれない。懲りずに同じ選択をしてみれば、今度は良いことが起こるかもしれない。


 たとえば、私は以前虫好きであることを話して「そんなの変」と言われてしまったことを引きずって、リアルでは虫好きを隠しているが、そこまで隠すことないかもしれない。

 虫アピールすると嫌がる人もいるかもしれないけど。アピールでもなく、隠すでもなく。ナチュラルで良いんじゃないか。あとは「私、虫嫌いなんだよね」とか「キモーイ」とか言われても過剰反応しなければ。


 そんなこんなで。
 頑なに「あれは良くない、最悪だ」「もう二度と◯◯しない」などと激しく思い込むことが、偏見や差別や争いに繋がる……かも。

 たとえば、SNSでフォローしてくる外国人さんがいつも怪しいDMしてくるから、「外国人は詐欺師ばかりだ」と思うとか。


 私は男性へのイメージが悪くなる出来事が多かった。

 母は祖父に殴られ虐待されたと、よく言っている。酒に酔って暴れ、ボコボコになるまでものすごく殴るんだ、と。今みたいに虐待された子を守ろうというシステムもなく、「体罰(や暴力)はいけない」という概念もなく、救いはなかったようだ。

 私は殴られてはいないが、母と父は仲が悪く、私が幼い頃もよく言い争っていて、不安になったのを覚えている。
 さらに父が私を「堕ろせ」と言った事件とか。
 母と父がデート中に、母がおなかが痛くなってトイレに籠もっていたら、「いつまで入っとんじゃ!」と父がトイレのドアを蹴った、とか。父がエアガンでハムスターを狙って遊んだとか。
 正直、父のエピソードは人格を疑うようなものが多い。


 で、世の中を見渡しても、私が女性だからか、「父親がロクでもない」とか、「父に虐待された」とか、「夫が家事を手伝わない」とか、そんな話ばかり印象に残ってしまう。
 そうなると、男性的な「~だろ」といった話し方すら高圧的に感じ始める。話し方だけでなく性格も、「女なんか力づくで言うこと聞かせりゃいいんだよ!」みたいな強引な意見ばかり目に留まってしまう。

 男性が女性に優しくする場合があっても、基本的に「自分の彼女に対して」とかだろう。あるいは下心か(「男は下心しかないよねー」って、男性自身が書いていそうなコメントが多いので)。
 誰の彼女でもなく、魅力もなく脈もなければ、守ったり助けたりする理由なんてないだろう。
 歌でよくある「僕が君を守る」系も。「俺のメスを他のオスから守る」って感じでは。核を以て核を制す、みたいな。


 生き物好きな男性なら、優しいだろうと思っても。「動物好きに悪い人はいない」って言うけど、私に性的なことをしてきた二人は、生き物が好きな人たちで、それで私は嬉しくなって意気投合(?)したのだった。

 意気投合しておいて、肉体を求められて不快になる私がいけないというのか? 「優しい=性欲がない(または抑えられる)」みたいな、女性特有の(?)理想論みたいな、解釈や考え方がおかしいのか?

「男って下心がある人ばかりですよね」という問いかけに対し、「そんな決めつけは良くない」「そういう人ばかりじゃない」と答えている人がいても、その答えている人が女性っぽいと、疑ってしまう。「女性の目から見た解釈なんか、合っているのだろうか? 下心なく優しい人も実際いるのだと、思い込みたいだけじゃない? 心の内、性欲の有無とかは、男性自身にしか分からないじゃない?」って。


 私にネットで話しかけてくる人は詐欺師が多い。なぜなら私は現在、交流に積極的じゃないし、人気作家でもないから。割合的に、「グイグイ来る人」は詐欺師が多くなる。

 電話でも。電話をかけてくる友達が多ければ、「友達からの電話」の割合が多くなるだろうが、友達がいないので、かかってくる電話は、何か怪しいビジネスとか押し売りみたいなのばかり。

 すると私に魅力や交友関係がないと、寄ってくるのは宗教勧誘の人とか、セックス目当ての男性ばかり、というイメージになるのだろうか。自分から社交的に、まともな人と付き合わないから。まともな人は、私みたいな面倒そうな人間を見たら離れるから。


 「人を大事にしたい」じゃなく「君だけを大事にしたい」が恋愛、それによって発生した家族を守るのが家族愛。
 疎外感が募り、私は恋愛も家族愛もあんまり好きじゃなくなってきた。
 友情ものが一番いい。友情だけが清らかで、計算も欲もない、純粋な「愛」って気がする。

 でも相手が異性だと、友情なのか何なのか、どういうつもりか分からない。しかも告白されたときのフり方を間違えると、恨んだり怒ったりするヤツが多いだなんて。「告白されたらOKしろよ」「なんで仲良くなったのにヤらせないんだ」あるいは「唐突に告られても動揺もせずに、非常に丁寧に断れ」ということ? 憂鬱になる。
 フるときはハッキリ言わないと、「まだいけそうかも」と執着される、とも聞いた気がするけど。正しい断り方とは。


 一度疑心暗鬼になるともう、戦争も独裁も、世界の暴力的なことのすべては男がやってんじゃないか、って心境になってくる。
 女が産み育てる一方、男は戦争を始めて、苦労して育てた子を兵士にしてどんどん殺す。命を無駄に杜撰に駒扱いする。
 こんなの、いくら産み育てたってまた、戦争の時代になったら国に殺されるんじゃないか。人が増えれば戦争だ、人が減れば少子化対策だと。今だって、個人の夢や希望や金銭・心理・時間的自由より、もっと税金、もっと税金って。

 個人でも、当然のように暴力的なことを言い、「なぜ女はセックスさせないんだ!」みたいなことを平然と言ってのける。そういうこと言ってるヤツはネットでしか見たことないけど。表では取り繕っているんだろう。
 こんなんじゃ、子ども増やすより少子化の方がマシかもしれない。増やしたって雑に扱われ、戦争でも始めるんだ、どうせ。

 でもこんなこと表で叫べば、「なんだと!」と暴力的に制圧されるだろうし、嫌われるだろうし、言ったところで世界が変わるわけでもなく、メリットもない。

 私は小学生の頃から男子の集団にいじめられ(からかいで罵られ?)、男友達だった人には性的なことをされ、近所のおじさんからは性被害に遭い。
「人から聞いた話」じゃなく「自分の目で見たことしか信じない」にせよ、証拠(?)は十分にある。


 知恵袋見ていても「男は下心……」と書いてあるばかり。誰も「そんなことない!」とは言わず、同調してばかりに見える。
 ああそうですか、それしかないんですか。マジで?


 こうなってくると「なぜ人は恋をし、結婚するのか?」と、恋愛や結婚のイメージが悪くなるのも、男性不信になるのも、ミサンドリーに堕ちたのも、私のせいだけとは思えない。

「結婚しました」「おめでとう」とかいう話を聞いても、妬みやら反感やら色々沸いて、「ふん、何が結婚だ。なにがおめでとうだ」と内心でぼやく始末。すっかり性格悪くなってしまった。


 みんなこんな感じで荒んで少子化になったんだとしたら、「今時の若いモンは」と責められるのもお門違いな気がする。

 相手が善人かどうかなんて。見分けられるものだろうか。
 良い人ぶることはけっこう簡単で、欲望のためなら、わりと長期間良い人のフリをして騙すことだってできるのでは。


 現に私は「お金が欲しくて働いている」だけでも、職場でけっこう上手に化けられているようで、「おとなしい」「怒らなさそう」と言われた。
 目に見えて対立したりしている人もいるが、私は一応誰とでも喋れて、優しくしてもらえるポジションのはず。

 こうやって「表」を取り繕って「穏やかだね」と思われるんならば。
 たまにニュースで、「あんなおとなしい人が、こんな事件を起こすなんて信じられない」と言われているのも。普段「おとなしい」とか「礼儀正しい」と思わせるように振る舞うことなど、ある程度簡単なのかもしれないなと感じる。
 表でニコニコしてりゃ「良い人だ」と言われるんなら、心の闇など抱え放題だ。

 なんか近年「誰でもいいから殺したかった」みたいな言葉の方が、窮屈な正論より共感できてしまう。
 まぁ私は弱いから、相当計算しないと人殺しなどできないし、今のところそんな強い殺意もなく、上手にストレス発散したいと思うだけだが。

 余計なことを言わず、人の陰口を言うことも、他人の悪口に同調することも避け、不快さを出さないように気をつけ、笑顔と挨拶を心がければ、自動的に「おとなしい人」になるのかもしれん。人は案外表面のみの印象で判断するのでは。


 男女双方こんな感じだと、パッと見、常識人だからといって、裏側に何が潜んでいるか分からない。
 表と裏は、切り離せる。表裏が激しくなる。ネットで過激なことを言い、表では小心者でおとなしいキャラを演じるネット弁慶とか。

 目標達成のために欲望を隠すこともわりと容易いかも。
 それで定期的に、児童にわいせつ行為をする教師とか出てくるのかも。


 彼に無理やり中出しされただの。男友達に乱暴されただの。親に虐待されただの。そんな話を耳にしながら、「差別は良くないわ。人を信じなきゃ」と、誰かを信じるリスクを取らなければならないのか?

 私は虐待されていないが、虐待された人は虐待しがちとも聞く。嘘か誠か、虐待された人は、似たような虐待野郎と結婚しがちとも聞いた気がする。「普通」の感覚を知らないから、異常な世界から抜け出せないのだ。


 もちろん私が男性だったら、女性の嫌な話が耳に入ってくるのだろう。で、女性不信になっただろう。
 女は無能のくせに高飛車で、文句とワガママばっかり言って自分は何もしない、とか。男を選別し、気があるフリをして、力仕事や汚れ仕事ばかりさせようとしたり、お金を払わせようとする、とか。男女平等とか言って男性の権利や立場をどんどん奪いにかかるとか。


 とにかく性ってのは厄介なものだという印象になってしまう。
「男性が……」「女性が……」とかいうより、性というものが存在するから面倒なのかもしれない。
 国がなければ「◯◯人」とかいう偏見も減ったかもしれないように(単一民族でも、血液型占いとか、星座占いとか、人は人をタイプ分けするのが好きだというけれど)。


 事実色々ある、でも「差別は良くない」と。
 私のこのモヤモヤは「男性差別」なのか? 私は男性差別主義者なのか?


 人生いつからでもやり直せるって言うけど。私が四苦八苦してこのゾーンを抜けた頃にはもう、男性も女性も、誰も私に寄りつかないかも。
 で、せっかく夢叶うチャンスや才能があったとしても(あるいは技術力が上がってその域に達したとしても)、人格に問題があるようでは、声をかけられることはなさそう。

 今の時代、ヤバい人を雇ってヤバい問題を起こされたり、過去の問題行動とか発掘されたら大変だ。
「男女平等」を目指すんだから、今後は男性差別に対しても意識が高まりそう。そうなりゃ私はどうなることか。

 今も自分の夢が叶う可能性を、自らの手で叩き潰しているのかもしれない。


 いつかは性と弱肉強食がない世界へ行きたいもんだ。
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