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友達がいないからネットで情報収集するしかない、客観的意見に触れる機会がない

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 私は「女性は陰口が多い」「男性は性的に興奮しやすい」という偏見を持っており、女性不信+男性恐怖症なのか、女性恐怖症+男性不信なのか……まぁとにかくそこは「対人恐怖症」で良いんじゃないかと思ってきた。
 ……と、いう一面があるが、自分のことを性的マイノリティの類(タグイって言ったら失礼なのか?)であるとは思っていなかった。

 が、「性の多様性」が認められることで、結果的に私の感覚も「何それおかしいよ」じゃなく「そういう人もいるんだねぇ」と言ってもらえるならば。マイノリティについて少し考えてみようと思った。
 で、少し調べてみて、すごい共感できる部分もある気がしてきた。

「気がしてきた」というのは。私はバーナム効果? 思い込み? が強く、何を見ても「私もそうかも」と思ってしまう癖があるからである。

「あなたは隙があれば人を殺そうと考えます」と言われても「そうかも」。「あなたはまわりの人をとても大切に思っており、傷つけたくないと考えます」と言われても「そうかも」。「あなたは人との関わりを求めます」と言われても、「あなたは人と関わりたくありません」と言われても「そうかも」。
 仮に「あなたは二重人格者です」「あなたは犯罪者になる素質をすべて持っています」と言われ続ければ、いとも簡単に洗脳されてしまい、第二の人格を顕現させたり、悪に手を染めたりするかも。


 私はASD(自閉スペクトラム症。過去にアスペルガー症候群と呼ばれた症状も含む?)のセルフチェックをすると「あなたはASDの可能性があります」と出るが。これも、「私はコミュニケーションが苦手だ」と強く思い込んで、自分をそちらへ誘導しているのかもしれない。私が「全然会話できていない」と言っても、傍目に見れば「いや、別に。まぁまぁ普通に会話できてるけど?」と思われているかもしれない(逆かもしれないが)。

 よく「私は仕事ができない」と言っているのも、自分のイメージが何年か前のまま止まっているからであり(10年前は確実に仕事できない人だった)、現在は「いや、たしかに遅いけど、できていないってことはないよ」と思ってくださる方もいるかもしれない。自分としてはだいぶ改善したのだ。休日に名指しで呼ばれたりすると、「私でもちょっとは役に立てるのかな」とホッとする。


 こんな感じなので、性的マイノリティについて聞いても「私もそうかも」と思ってしまう。何にでも「そうかも」と思うのだ。色んな矛盾する感覚を持っており、「あなたはこうですよね」と言われたら、そちらに引っ張られ、誘導されてしまう感じがする。

 こういったズレがあるのはそもそも、私が引きこもりメンタルであり、リアルな経験が少なく、頭の中で思い描いたイメージを元に考えてしまうからかもしれない。想像と現実の区別がつかないのだ。
 現在も基本的に、生活圏というか行動範囲がめちゃくちゃ狭いし(職場が近いから)。関わる人間が限られている。
 するとこちらが思っている内容と実態が傍目にはかけ離れている可能性がある。つまり自分を客観的・俯瞰的に見られていないんじゃないか。

 だからたとえば「あなたの恋愛対象は男性ですか? 女性ですか?」と聞かれても。
 私はたしか二度……いや、四度かな。女性に対して特別な感情を抱いたことがある、気がする。ということから、迷ってしまう。
 で、それ以前の私は「自分には恋愛感情がないんだ」と思ってきた。つまり「異性にドキドキする」「素敵な異性と出会いたい」とかいう感覚が分からなかった。さらに性被害以前は性欲もなかった、というか単純に性について知らなかった、目覚めていなかったとも言えるかも。


 今は恋愛対象が男性のような気がするが、恋愛経験がないのに恋愛対象もへったくれもないとも思う(小学生の頃に年下の男子とキスしたりしていたことは、ほぼ忘れかけているらしい)。
 たまたま、今気になる人が全員男性であるから、男性が恋愛対象のような気がするが、以前は気になる男性がいないか、いても友達のように思っていたから(その相手からは性的なことをされたので友達カウント0になった)、私には恋愛感情自体がないと思っていた。

 女性に対してドキドキしたアレが何だったのかも分からない。ただの対人恐怖症の延長かも。
 あと、カッコ良かったり美しかったり賢かったりと魅力的な同性にドキドキしてしまうのは、多かれ少なかれみんなそうじゃないかと思うし。

 今は女性に対し、みんな友達のように思っているから(相手からすれば「月澄狸さんとそんなに喋ったことないよね?」って感じでは……)、私が同性愛者であるとは思えないが。また、女性とセックスすることを想像して興奮したりもしないが。今後また、特定の女性にドキドキするようなことが起これば「あれっ?」となるはず。


 で、男女両方が好きな人というのも、どうも男性への思いと女性への思いが若干違うらしく、「肉体的には男性に惹かれるが、女性とロマンチックな恋愛関係になりたいと思う」といったパターンも存在するようなのだ。
 となると、私がレズセックスに興味がないからといって女性に恋しないとは限らない。タイプの女性に出会って、急に目覚める可能性もあるんじゃないか。

 などと考え出すと、現在の感覚は一時的なものである可能性があり、その先は分からないのである。生涯「男性への片思い」だけで終わるかもしれないし、急に男性恐怖症を克服してヘテロセクシュアル(異性愛者)になるかもしれない。または女性に片思いするかも。


 片思い以上が怖くてできない、また性的な話や恋愛の話に抵抗があることから、現在は「リスロマンティック」「リスセクシュアル」に共感を覚えるが、それも完全に当てはまるかというと、引っかかる部分がある。

 リスロマンティックもリスセクシュアルも、性的な触れ合いを求めない。嫌悪する、あるいは興味がないらしい。
 しかし私は現状「性が怖い」が、それは例のトラウマ(?)のせいであって、本質的にそうか、これからもずっとそうかと聞かれれば、違うかもしれないのである。実際、今何かされることを考えると恐怖しかないが、性欲はある。


 また、私は男性への加虐趣味……はないけど(=実現できないけど)、そういうことへの願望はある。S女向けの情報はあまりないので、「M男向け」で検索したりしている。
 ただこれは「女は男に虐げられてきた」という鬱憤からくる復讐心に近いのかもしれない。男が屈する、情けない姿を見せる、あるいは「男が女に甘える」程度でもいい。「女が男を縛り付けて襲う」などの逆転に興奮するのだ。

 となると、表面上「性的な関係を望まない」という私本人の意思と、奥底に眠る欲求みたいなものはまた食い違うのである。機会があれば相手を虐げたいという欲求に火が付くかもしれない。
 でもどっちも性被害によって生まれた感情に基づくものであり、それがなければ本来の私は違うかもしれない。

 現実においては、女が男を虐げるプレイをするとしても、あくまで「男より女が強いごっこ」をしているだけだろう。実際は男の方が強いのだから、マゾのフリをして近づいてきて、S女に乱暴することで興奮する性癖のヤツがいたらどうしようとか、マゾが途中で加虐趣味に目覚めることはないんだろうかとか思ってしまう。


「男が女を襲う、屈服させる」という状況や描写は大嫌いだと思いつつも、そういうシチュエーションに興奮しないわけではない。
 これは映画とかゲームとか夢の感覚に近いんじゃないだろうか。現実で誰かと戦ったり、殺されるのなんて絶対嫌……だけど、戦う映画を見たり、戦うゲームで敵を倒したり殺されたりするのはわりと平気、みたいな。
 悪夢も見るけど、夢の中で火事が起こったりしても、そこまで本気で夢恐怖症になってはいない。若干軽く受け止めている気がする。現実で火事のことを考えると(バッテリーや扇風機や暖房器具が発火するかもとか)、恐怖で眠れなくなったりするが。


 じゃあ本来の私とはなんぞ? と深堀りしていっても、唐突に空しくもなる。「これが本来の私だ!」と発見したところで、誰も私に興味など持つはずがないし。

 しかし近年やっとコミュニケーションが成立するようになったことで(10年前までコミュニケーション成立していなかったような。最近もやんわりと「月澄狸さんって大方『はい』『そうですね』『すみません』だけで会話してるよね」って見抜かれていた気がする)、人との距離が近づいてきたのも事実。

「で、あなたは?」と急に踏み込んでこられると焦るだろう。やはり予習・イメトレしておいた方がいいかも。今は空しいけど。


 ってことで、全然客観的になれていない、思い込みだらけだけど、次回セクシュアリティ診断やってみよう。
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