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性被害に遭う男性

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 この間「性的グルーミング」の記事を見ていたが、子どもが性被害に遭うとき、被害者は男子であることも多いらしい(ただ加害者は男性が多い模様)。
 性被害を扱った表現で、被害者が男性というのはあまり見たことがない。私がそういうものを選んで見ていないからか、女性の被害ばかり取り上げられているせいか。

 女性には「性被害=妊娠」という脅威があり、男性にはその脅威はないと思うのだが、男性が被害に遭う場合はやっぱり怖いのか、悔しいのか。
「男性は妊娠しないし、力も強いから大丈夫では?」「男性といえば性被害の加害者」という私の考えも、ひどく差別的なのかもしれない。


 ウェブ記事「(フォーラム)男の子の性被害:1 実態は」を読んだ。
 やっぱり人間、嫌なものは嫌なのだ。人としての感覚は男性も女性も似ているんだなと、少しホッとしてしまった。

 私は弱い女だから、男性への加害などしようがないと思っていたが、気を使ってあまり強く思いを訴えない人間も多い中で、自分が加害の態度を取ったこともたくさんあったのだろうなと思った。人は暴力だけでなく、発した側にとっては些細なつもりの言葉にも、傷ついたり引きずったりする。

「人としての感覚は男性も女性も似ているんだなと、少しホッとしてしまった」という私の発言も、「男性も女性と同じ心を持っているんだな」というような主旨の発言であり、とても差別的だと思う。
 が、やはり私には差別と事実の違いが分からない。男性はこちらにとって予想外な言動をする。いや、女性の言動も十分予想外だけど……(職場の先輩に創価学会の集会に連れて行かれて、書類にサイン書かされそうになったり)。

 本当に、人間というものがまだよく分からないのだ(自分の本心や、行動の方向性や意図もブレまくっていて、よく分からん)。
「暗黙の了解」をお互い黙ったまま察することができるなら良かったが……。表で語られないことは何も分からない。


「(フォーラム)男の子の性被害:1 実態は」には、「実母や継母などからの性暴力についての相談が顕在化してきた」という衝撃の事実もあった。「女性が無理やり」という言動については「(やられた側が)男の子だから良いじゃん」と軽視され、もみ消されている節も感じた。また、男性自身が自分を被害者と思いたくないことも多いのだとか。

「父から娘への加害ならすぐに性虐待と判断されるが、男子の場合はそうならない」「男子の性被害が珍しくないことに加え、いかに声が上げにくいかを社会はまず知るべきだ」といった話も印象的。電車やトイレなどで痴漢に遭った男性も多い模様。


 よく考えたら、女性の性器は主に体内にあるけれど、男性のは体外に出ているのだから、被害の危険性も高いのでは? 嘘か真かは知らないが、「彼氏の◯玉蹴ってみたら動かなくなってびっくりした」というような投稿もあったような。女性だと「胸を触られた」とかで十分性被害として訴えられるイメージだが、男性の性被害の実態は、あまりに知られていないということなのか……?

 男性の性被害について「警察は毎回『男の子だからねー』と言います」というコメントもあった。男性の被害だと取り合ってもらえない? そういう法律がない?


 知恵袋で、女性の多い職場で理不尽な扱いを受けた男性が、女遊びをするようになったと書いてあった。投稿者は、彼女がいるのに女遊びをする男友達と、喧嘩になったとも。

 けっこう前の投稿だったのだが、女性の扱い方で絶交レベルの喧嘩をするほどに、男性が女性という存在に対して真剣に考えてくれているなんて。やはりそういう人もいるのか。

 なるほど、制度の偏りというか、理不尽・不平等に怒っている男性も多いのかも。そしてその矛先が女性に向く事件も起こっている可能性がある。「理性を失って暴れた」だけじゃなく、「男女の不平等さに怒って」の犯行もあり得るかもしれない。


 もっと男性の被害の実態や、男性ならではのしんどさに丁寧に向き合い、「男だから」と見過ごされたり押し付けられたりする概念を除去していくべきなのだろう。
 で、もうちょっとオープンに語られるべきこともいっぱいあるのでは……。表に出てこない暗黙の了解(?)は分かりづらい。

 とはいえ双方、踏み込みすぎるとセクハラで怒られそうだから怖いな……。怒りを伴う不満をぶつけられるのも怖い(こっちは言ってるくせに)。

 女性のことを理解されたければ、男性のことも理解していった方がいい。当たり前のような言葉だが、意外とよく知らないまま「男性ってこうなんだな」と結論付けてきたことも多いかも。まだ女性視点で感情的になってしまうが、少しずつ気をつけていこうと思う。
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