男女について考える(ほとんど憶測と偏見とヒステリー)

月澄狸

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女の機能は終了に向かっても、女性の人生と思考は続く

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 昔から、男性の性欲に恐怖してきた。
 女子高生がいくらセックスだなんだと騒いでいても、それは「こちら側」に近かったのだろう。女性はどこか「受ける」側。逆転することのない力関係。

 何も知らない私に何が言えるのか。なんて、「スポーツは詳しくないので」とか、そういう類のと同じ問題ではない気がする。性別というのは、避けては通れない……いや、避けていては身を守れなかった。

「男と女」というのは、間接的に社会の考え方だのシステムだの、隅々にまで影響していると思う。私にはそういうことがよく分からない……平和ボケしているからか。

 私が「若く美しい女」ではなくても、女であるという事実は残る。「女だった」という過去形ではなく、死ぬまで女性だ。すると、男性が性欲を剥き出しにするような表現に今後も恐怖するかもしれない。もはや自分には関係ないであろう、過去のことなのに。


 そもそも男性の性欲とはどれほどのものなのか? 個人差はあるだろうが。
 それが女には分からないから(いや、男心を完全に把握している女性もいるだろうが)、こちらの基準で何の気なしに振る舞ってしまう。

 女には女で、無意識に男性の性欲を刺激してしまう本能が組み込まれているのだろうか。それで男には「誘っている」ように見える。女は自分の本能に恐怖し、男性を「誘う」ことに怯え、「誘われる」側を排除しようとする。


「花は好きだけど虫は嫌い」と言うのにちょっと似ているような。虫媒花は虫を誘うために咲いているのだが、花の外見を愛でるために虫を排除するなど、人間の言動はやはり歪んでいるのかもしれない。

 よく、「ファッションは男のためにやっているんじゃない。自分のため」と女性が言うが、この「外見を整える行動」も、オスを誘う無意識の行動であるとしたら。そりゃ女は「そんなつもりはない」と言いながら、胸や太ももを露出するだろう。本能だ。

 で、それに欲情する男の本能を嫌悪し、封じ込め、直接的表現が表に晒されることを防ぎ、「社会には概ね美しい恋心しかない」と思わせるようなドラマやアニメやマンガばかりが目に付く。


 男性同士で下ネタなど言っているようだと、猛獣の群れに見える。本能の片鱗に怯え、「性的表現を見たくない」と、私も一時は徹底的に逃れようとしたが……。相手を「封じ込める」ことは女の力では難しいので、「フタをして見ないようにする」ことしかできない。そうなると、いざというときに危険性を忘れてしまっており、状況に気づかないかもしれない。

 今は「下ネタを言っている人なら逆に大丈夫かも」という謎の捉え方をしている。下ネタを避けるなど無謀だし、一々ピリピリしたり冷や汗をかいたりしていては心臓に悪い。もう自分など蚊帳の外なのだから、ムッツリとやり過ごせばいいのだ。


 ゴキブリが現れた途端殺していたら、ゴキブリとは何か、ほとんど知らないままだろう。触角を揺らしながら歩く姿も、あごひげを動かしながら食事する姿も、翅脈や顔や色合いも、できるだけ目に入らないよう、一瞬で処理しようとするだろう。

 性欲というのも、見ないように顔を背けられることが多い。街中で股間を晒すだけで罪になるように、性欲の存在はほとんど包み隠されて、踏み込まなければ目に見えない。

 性的表現を抑え、微塵切りにされた「恋」などという言葉でほとんどが塗り潰され、本来の素材がどのようなものであったのかは結局分からない。知らないままだと、「今のは何だったんだ?」と得体の知れない恐怖だけが残る。

 幽霊なんかも、大抵「見た」というところ止まりでキャーキャー言っているから、それ以上先……死後の世界の探求とか、幽霊の存在証明とか……に話が進まないのかもしれない。

 男性向けの作品を見ていると、嫌な気持ちになって閉じてしまうことがある。
「なんとなく不快」または「怒り」「恐怖」で終わるから、「理解」にまで進まない。進もうとしない。
 まだゴキブリを見たくなくて、興味もないし理解などしたくもない、根っから汚らわしいと信じているだけ。そんな感覚に近いのだろうか。


 情欲は「恋」という言葉に変換され、「会いたい」だの「好きだよ」だの、ロマンチック、ファンタジックな表現で美化されてゆく。本質は「交尾したい」だけじゃないかと思うのだが、そこに夢を見させようとする。「会いたい」「好きだよ」は交尾のおまけに沸いた友情だったりして。

 男性は交尾がしたい。女性は男性の力や、男性が無責任である可能性に怯え、「受け入れたい」と「拒否」を繰り返す。そんなところだろうか。人によるだろうけど。
 子どもを絶やさないために、恋心も絶えない……すごいシステムだなぁ。

 しかし生んだ後育てるのは何年もかかる。子育て話を聞くと大変そうなことばかり。


 男性は交尾に夢中で、交尾が終わりメスが妊娠に至ると、また別の発情メスを探してどこかに行ってしまう……そんなイメージ。

 私が見てきた男性といえば、群れながら暴言吐いてくるヤツ(小学生の頃の)と、性的なことをしてくるヤツと、怒鳴ったり暴れたり気分屋な身内。それらの印象が強い。
 男性は交尾のためにマメに女の子の機嫌を取り、「好きだよ」と言うくらいはできそうだが、よく「家事を手伝わない」と言われるように、子育てには無関心なイメージ。

 女性は動物的にも、子どもを必死に守るイメージ。オスとメスで協力して子育てする動物もいるけど、オスは大抵交尾したらどっか行って、メスだけ子育てしているようなイメージが強い。
 人間は猿だろうけど、猿にしても……交尾してどっか行くようなオスの性質が強いんだろうか。私の思い込みが、世界をそのように見せているだけか。


 私が小さい頃、父は私たちを公園に置いてどこかへ行き、1~2時間だったか……放置した。それを私が母に言うと、母はカンカンだった。ちょうど子どもを狙った殺人事件が続いており、同一犯と見られる犯人が捕まっていない状態だったのだ。母になぜ放置したかと聞かれた父は「まわりのお母さんがちゃんと見てくれていると思った」と答えたそう。ちなみに公園に知り合いはいなかった。
「他人の母親が見ず知らずの子どもを見守っているわけないでしょ」母はさらに激怒した。

 まぁ「子どもができたとき堕ろせと言われた」だの「借金をして詐欺に貢いだ」だの「ハムスターをエアガンで撃った」だの、父に関するエピソードは首を傾げるようなものが多い。ちなみにそういうのもネットで愚痴ると、「でも稼いで育ててもらったんでしょ」と返された。なるほど、育ててもらった身で文句など言える立場じゃないか。

 しかし私は男にいじめられ、性犯罪に遭ったことをネットの人から「隙があるお前が悪い」と言われたことで、もう「男性とはそういうものだ」とイメージが固定された。

 ネットで他の男性から「男と女は別の生き物であって、分かり合うことはできないんだと思うよ」と言われたことも何だかショックで、記憶に残っている。


 もちろん親切にしてくれる人はたくさんいる。が、彼らに襲われるかもしれないと思わなくはない。汚らしい私は女として見られていないだろうが、性的なことでなくても、男性に弱者を虐待するような本能はあるかもしれない。男性は性欲だけでなく闘争心、残虐性……そういうものも強いイメージだ。

 非常に差別的な考えだとは思う。時代に逆行している。恋バナだの何だの浮つく女子たちの中で馴染めなかったのは、私の男性差別が強いからかもしれない。「男尊女卑」といった言葉……昔の作品など、見るからに女性の地位が低い描写……(女はずっと敬語で、静かに男性に従っていたり)。
 私はどこか、向ける先のない復讐心を抱き続けている。前世で嬲り殺しにでもされたんだろうか。


 本能とは、理性とは、何だろう。理性や努力は本能に勝てない、気がする。

 我が身を子どもに食わせる生き物は、皆当然のようにそれをするだろう。飲まず食わずで子育てする生き物も。
 私はそんな自己犠牲、絶対無理だ。それでも本能で彼女らはそれを続けるのだろう。敵わない。

 オスとメスで協力して子育てする種族は、大概そうするもので、それをしない者はしない。もう決まってしまっているのだろう。穴を掘る動物は掘るし、掘らない動物は掘らない。光る生き物、泳ぐ生き物、飛ぶ生き物……できる者はできるし、できない者はできない。種族によって大方決まっているのだろう。それを理性やしつけや努力でどうこうするなど、無理があるのではないか。


 インコ(セキセイ)のオスにインコのヒナ(オス)を見せたら育て始め、立派に育て上げたそうだ。血の繋がりはない。
 彼の鳥格がすごいのだとは思う。が、鳥格とか愛とか以前に、インコの本能がそれを可能としているのだろう。自分が産んだわけでもないヒナをポンと目の前に置かれて、育児書も読まずに、成鳥まで育て上げるなんて。

 できる者はすごくて、できない者は劣っているのか。我が身を子どもに食わせる生き物は崇高で、我が子を食ってしまう生き物はアホなのか。
 いいやしょうがないだろう。できるものはできる、できないものはできない。そこに意味やら理屈やら、すごいやらひどいやら、誠実やら不誠実やら、勝手に感情を乗せているだけだ。


 しかし、人間の女が子を産み育てる者と定められているなら、女の方が体格が強く大きく、パワーもあれば良いのに。
 女性は弱いし、性的に嬲りものにされる描写が人気のようだし。男は出すだけ出して逃げることも昔は可能だっただろうし。女性は「男の子を産め」だの「ちゃんと育てろ」だの命令されたり捨てられたり。なんか不平等だなぁ。
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