ほの明るいグレーに融ける

さほり

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月曜日の夜

2.

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「ありがとう、会いに来てくれて。」

和臣がそう言うと、綾人は不安げな目を上げた。

「い…… 嫌じゃなかった?オレに、会うの…… 」

「嫌なわけないだろう。」

「そっか…… よかった…… 」

「でも、できれば、もとの綾人の姿のままで来てほしかったよ。」

「それは…… オレ、和臣がオレのこと怒ってると思ったし、拒絶されるよりは、違う人になってでも一度、抱いてもらえたらって思って…… 」

そんなことを言うなんて。意外に思って顔を見ると、綾人は恥ずかしそうに目を逸らした。

「綾人のままがよかったよ。ずっと会いたかったのに。」

和臣は目を細め、綾人の頬をなでた。その頬は日に焼け、カサついている。

「この姿どうやったの?もとの綾人に戻れない?」

「髪は黒く染め直せば直るし、肌の色は一年くらいで自然に戻るみたい。ピアスはあけたばっかりだから、外せばふさがると思う。目だけは整形したから、戻らないけど…… 」

一年くらいで戻る。そんな時間は、綾人にはもう残されていないのに。

「ら、来年の今頃には、ほとんど戻ってると思う…… 」

「来年…… ?」

その日が来ると思っているかのような綾人の言葉に、違和感を覚えた。
彼が自分の置かれた状況を理解していれば、来年の話などするはずもないのに。

和臣は身体を離して、綾人の顔を覗き込んだ。すっかり目が慣れたために、彼が困惑した顔で見つめ返しているのがわかる。今はナギサの姿に、綾人が内側からダブって見えるようだった。

「綾人おまえ、わかってないのか…… ?」

綾人が黙ったまま、首をかしげる。まっすぐに和臣を見つめる瞳が、言葉の続きを待っていた。

「…… まいったな…… 」
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