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Dom
7.
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でも最近、やっぱりなんか変なんだ。こないだのウィダニー、ほんとはヤだったのかな、とか。一応オレなりに反省はしたはずなのに。それなのに今日も結局、むしろこないだより、海老沢を苦しませるプレイになってしまった。
だってオレはDomだから。
好きな子は、いじめたい。
耐える顔が見たい。オレにされることならって、信頼されて全てを任されたい。その後で褒めて、甘やかして、とろけさせたい。
そんなふうに思うのは、海老沢だけなんだ。
オレは海老沢に会うまで、いつだってイライラしてた。小5からいろんな子とつき合ったけど、何かが足りないって、いつも満たされなくて。それがなんだかわからないことに、余計にイライラした。
オレが「残念なイケメン」って呼ばれるようになったのは、今みたいなエロ丸出しなキャラだったからじゃない。いつも不機嫌で感じの悪いガキだったからだ。暴れて校長室送りになったことも、1回や2回じゃない。
誰かに愛されて、信頼されて、オンリーワンだと言われたい。今までの彼女たちにそれが欠けていたわけじゃないのに、なんでか満たされなくて。
この子だけを守りたい、守って、支配して、オレだけのものにしたい。そんな風に思える子に、巡り会えなくて。
中学3年の保健体育の授業で、DomとSubが共依存関係にあると知って、オレはやっとイライラの原因がわかった。
そうかオレは、自分のSubを見つけないと、精神が安定しないのかって。
オレだけに全てを委ねる、オレだけのSub。そのたった一人とパートナーになれる日を、オレはずっと待ってたんだ。
海老沢に初めて会ったときも、正直、ビビッときたりはしなかった。なんとなくつるむようになった友達の一人で、本当にただの友達。Subだってことはすぐ分かったけど、別にだからどうというわけじゃなかった。
でも、いつからかなんて分からないけど、だんだん、いいなと思うようになったんだ。
海老沢といるとき、オレは楽しくてしょうがない。テンポのいい会話。同じ目線で見る景色。気兼ねなく過ごせる距離感。そういうのが全部、「好き」につながった。
父親のいるニューヨークに遊びに行った高2の夏休み、オレは確信した。
入国審査の長蛇の列に並ばされて、オレは不機嫌の極致だった。それでも、「ここに海老沢がいれば、3時間だって並んでいられる」って思ったんだ。それからは滞在中ずっと、オレはそこにいない海老沢と旅行してた。
映画で観たブルックリン橋が目の前に開けてちょっと感動したときも。
人気だと勧められて行った店のカップケーキが激甘で食えたもんじゃなかったときも。
海老沢が一緒なら、こうだろう、こう言うだろうって、考えるだけで2倍楽しくて。
同時に、早く会いたくてたまらなかった。
海老沢はSubだ。オレはDomだからそれがわかる。生まれつきの性質だから、本人の趣味嗜好とは関係ない。本能的に、Subらしい特徴を持っているというだけなんだ。
海老沢は自分がSubだとは気付いていないけど、オレの要求には基本的にNOと言わない。頭をなでてやるとすぐにぽわんとなるし、セックスの最中に、無防備な身体を差し出すような行動をとる。それは、Subが服従を示す代表的な行為のひとつだ。
無意識のうちに、身体が本能に従っているんだ。
だってオレはDomだから。
好きな子は、いじめたい。
耐える顔が見たい。オレにされることならって、信頼されて全てを任されたい。その後で褒めて、甘やかして、とろけさせたい。
そんなふうに思うのは、海老沢だけなんだ。
オレは海老沢に会うまで、いつだってイライラしてた。小5からいろんな子とつき合ったけど、何かが足りないって、いつも満たされなくて。それがなんだかわからないことに、余計にイライラした。
オレが「残念なイケメン」って呼ばれるようになったのは、今みたいなエロ丸出しなキャラだったからじゃない。いつも不機嫌で感じの悪いガキだったからだ。暴れて校長室送りになったことも、1回や2回じゃない。
誰かに愛されて、信頼されて、オンリーワンだと言われたい。今までの彼女たちにそれが欠けていたわけじゃないのに、なんでか満たされなくて。
この子だけを守りたい、守って、支配して、オレだけのものにしたい。そんな風に思える子に、巡り会えなくて。
中学3年の保健体育の授業で、DomとSubが共依存関係にあると知って、オレはやっとイライラの原因がわかった。
そうかオレは、自分のSubを見つけないと、精神が安定しないのかって。
オレだけに全てを委ねる、オレだけのSub。そのたった一人とパートナーになれる日を、オレはずっと待ってたんだ。
海老沢に初めて会ったときも、正直、ビビッときたりはしなかった。なんとなくつるむようになった友達の一人で、本当にただの友達。Subだってことはすぐ分かったけど、別にだからどうというわけじゃなかった。
でも、いつからかなんて分からないけど、だんだん、いいなと思うようになったんだ。
海老沢といるとき、オレは楽しくてしょうがない。テンポのいい会話。同じ目線で見る景色。気兼ねなく過ごせる距離感。そういうのが全部、「好き」につながった。
父親のいるニューヨークに遊びに行った高2の夏休み、オレは確信した。
入国審査の長蛇の列に並ばされて、オレは不機嫌の極致だった。それでも、「ここに海老沢がいれば、3時間だって並んでいられる」って思ったんだ。それからは滞在中ずっと、オレはそこにいない海老沢と旅行してた。
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人気だと勧められて行った店のカップケーキが激甘で食えたもんじゃなかったときも。
海老沢が一緒なら、こうだろう、こう言うだろうって、考えるだけで2倍楽しくて。
同時に、早く会いたくてたまらなかった。
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無意識のうちに、身体が本能に従っているんだ。
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