クラッシュゼリー

さほり

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Sub

9.

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でも結局、本人たちが幸せならそれでいいんじゃん、てなる。
他人の俺が口を出すことでもないし。

だから、つまり。
そういうDomとSubを見て、変だと思う俺は、Normalなはずなんだ。
Subじゃない。
だって俺がもしSubなら、DomとSubを見て、変だとは思わないだろう。たぶん。

本郷はいつから、自分がDomだと気付いたんだろう。教科書には、遺伝性ではなく、思春期頃に自覚するものだと書いてあったけど。

本郷と同じクラスになったのは、高2の春。
俺が1年の時から仲良かった加古と、本郷が同中おなちゅうだってことで、自然につるむようになった。
誘われて2人で出かけたりするようになったのは、夏休み明けからだ。

たぶんあの頃から、俺をSubだと勘違いしていたんだろう。

身近にSubを見つけたって思い込んで、Normalな俺を自分のパートナーだとか思っちゃったのかもしれない。
それだったら早く、あいつに教えてやった方がいいのかな。

俺はSubじゃないって。

そしたらあいつ、もう俺に興味なくすのかなぁ。
しつこいくらいに誘ってくるエッチも、変なプレイも、もう全部なしで。
ちゃんと懐いて可愛いSubを見つけて、乗り換えるのかな。

俺のこと、自分のSubだと思ってるから、かまってくるんだろうな……
好きだから、とかじゃ、ないんだよな……

「おやすみ、俺のSub」

その声が、耳の奥に残ってる。

違うんだよ、本郷。
俺はSubじゃない。
なんで勘違いさせたのかはわかんないけど、俺は、おまえのパートナーにはなれないし、…… なりたいとも、思わない。

だって、首輪つけられて、誰かに支配される人生なんか…… いやだ。

本郷は俺に、そういうのを求めてんのかな。
そのうち、だんだんエスカレートして、俺を足元にひざまずかせようとしたり、すんのかな……
俺はそんなのには、応えられないのに。

全部、勘違いだったんだ。

あぁなんか……
ただのエロ目的だって思っていられた時の方が、よかったな……

俺はなんだか悲しくなって、保体の教科書の上に頭を乗せた。

窓の方を見ると、本郷に持たされたゴーヤ茶の向こうに、黄色い三日月が浮かんでいた。

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