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ウィダニー
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本郷ん家は、父親が単身赴任、母親はバリバリの管理職だそうで、実家なのにいつ来ても誰もいない。
この半年、俺は平日に何度も来てるけど、一人っ子で2階に8畳の一室を与えられている本郷は、まるで一人暮らしみたいだった。
その部屋に鎮座するセミダブルのベッドから掛け布団をはがし、本郷はさっき買ったレジャーシートを広げた。
白いシーツを覆う、水色のレジャーシート。敷き終わるとさっとカーテンを閉め、コンビ二の袋から出したコンドームの封を切る。その袋にはなぜか、味の違うゼリー飲料が3つも入っていた。
てきぱきとした本郷の動きを見ながら、俺は部屋の入り口で立ちつくした。
「よし、準備完了。」
一仕事終えた、みたいにつぶやいた本郷が、戸口に立つ俺を迎えに来る。
「海老沢、おいで。」
童話の王子様みたいな笑顔で、俺を誘う。レジャーシートを敷いたその背景は下衆極まりないのに。
この部屋に来て、「何もしない」ことなんかないのはわかってる。
半年前、この部屋で一緒にアダルト動画を見て、なぜかこいつの手で抜かれてからというもの、ここは俺らのやり部屋なんだ。
去年のクリスマス、俺はこの部屋で本郷の用意したシャンパンを飲み、酩酊して童貞より先に違うものを失くしてしまった。
本郷は「残念な中身」を隠しておけばイケメンなのだから、俺なんか相手にしなくてもいくらでも可愛い子が寄ってきそうなのに。
女の子がダメな性癖なら、そういうエリアとか店にいけば、男にだってもてそうなのに。
なんで俺のことなんか、こんなかまってくるんだろうって、いつも不思議に思う。
「それ…… なんかスカ●ロみたいで嫌だ…… 」
レジャーシートから目をそらして言うと、本郷は俺のネクタイをほどきながらくつくつと笑った。
「そういうのが好きなら、また今度な。」
反論しようとしたが、どうせ無駄な抵抗だ。
本郷は俺の服を脱がせながら、ベッドに誘導する。されるがままパンイチになった俺が端に座ると、裸の腿がシートに触れてヒヤリとした。
「何、する気だよ…… 」
俺を見下ろしながら自分も脱いでいく本郷に、俺は言葉だけで抵抗を試みる。
「うん?花見だよ。そのためのシートだろ?」
Tシャツ姿になった本郷が、俺の肩を押して仰向けに倒す。その手を俺のボクサーブリーフにかけると、するりと足から抜き取った。
そのまま両膝を胸につけるように、片腕で膝裏をグッと押さえられたから驚いた。
「ちょ…… っ!」
カーテンを閉めた部屋は薄暗いとはいえ、遮光ではないので恥ずかしいところが丸見えだ。
「離せバカ!何すんだよ!」
そりゃあもう何度もこいつに抱かれたけれど、こんな女の子みたいな格好をさせられたことはない。俺はいたたまれなくなって悪態をついた。
「だから花見だって。ほらここ、おまえの菊。すげえピンクできれいだよ。」
本郷は指を舐めて濡らし、あらぬところをくりくりと指先で撫で回した。
「や…… っ! やだ…… っそんなとこ触んな!見んなぁ!」
身をよじる俺を見る目が、なんとも楽しそうだ。
「せっかくの花見なのになぁ…… ?」
「言うことがオヤジくせぇんだよ!やめろ!」
この半年、俺は平日に何度も来てるけど、一人っ子で2階に8畳の一室を与えられている本郷は、まるで一人暮らしみたいだった。
その部屋に鎮座するセミダブルのベッドから掛け布団をはがし、本郷はさっき買ったレジャーシートを広げた。
白いシーツを覆う、水色のレジャーシート。敷き終わるとさっとカーテンを閉め、コンビ二の袋から出したコンドームの封を切る。その袋にはなぜか、味の違うゼリー飲料が3つも入っていた。
てきぱきとした本郷の動きを見ながら、俺は部屋の入り口で立ちつくした。
「よし、準備完了。」
一仕事終えた、みたいにつぶやいた本郷が、戸口に立つ俺を迎えに来る。
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本郷は「残念な中身」を隠しておけばイケメンなのだから、俺なんか相手にしなくてもいくらでも可愛い子が寄ってきそうなのに。
女の子がダメな性癖なら、そういうエリアとか店にいけば、男にだってもてそうなのに。
なんで俺のことなんか、こんなかまってくるんだろうって、いつも不思議に思う。
「それ…… なんかスカ●ロみたいで嫌だ…… 」
レジャーシートから目をそらして言うと、本郷は俺のネクタイをほどきながらくつくつと笑った。
「そういうのが好きなら、また今度な。」
反論しようとしたが、どうせ無駄な抵抗だ。
本郷は俺の服を脱がせながら、ベッドに誘導する。されるがままパンイチになった俺が端に座ると、裸の腿がシートに触れてヒヤリとした。
「何、する気だよ…… 」
俺を見下ろしながら自分も脱いでいく本郷に、俺は言葉だけで抵抗を試みる。
「うん?花見だよ。そのためのシートだろ?」
Tシャツ姿になった本郷が、俺の肩を押して仰向けに倒す。その手を俺のボクサーブリーフにかけると、するりと足から抜き取った。
そのまま両膝を胸につけるように、片腕で膝裏をグッと押さえられたから驚いた。
「ちょ…… っ!」
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そりゃあもう何度もこいつに抱かれたけれど、こんな女の子みたいな格好をさせられたことはない。俺はいたたまれなくなって悪態をついた。
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