クラッシュゼリー

さほり

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ウィダニー

3.

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放課後に寄ったコンビニで、本郷は迷わずゼリー飲料を手に取った。

「ちょ、待ってそれなんで買うの?」

おののいた俺が訊くと、さも楽しそうにニヤッと笑う。

「それなんで聞くの?オレがこれ買うの、なんか変?」

本郷は銀色のパッケージを手の中でフニフニと弄ぶ。

「海老沢はさ、何味がいい?グレープフルーツ?マスカット?それともヨーグルト?」

「…… それなんで俺に訊くの?」

「できるだけおまえの好みに合わせたいと思ってるからに決まってんじゃん?」

「の……  飲むのはおまえ…… だろ?」

つい、確かめなくてもいいことを聞いてしまう。ちゃんと笑えている自信がない。

本郷は「残念なイケメン」と仲間内で評される整った顔を、チェシャ猫みたいに不吉に歪めた。

そして、通りすがりにコンドームを籠に放り込んで、恥ずかしげもなくレジに向かう。
その同じ籠には、俺の烏龍茶も入っているのだが。

「あ、そうだ!あのぉ、レジャーシートってありますか?」

店員に聞く声がデカイ。

「海老沢ぁ!そこの、雑誌の向かいの棚だって!そこにレジャーシートあんだろ?それ取って!」

確かに、言われた通りの場所には、水玉柄のレジャーシートが置いてあった。

…… ためらわずにはいられない。

「おーい!早くしろよー!」

わざとかと思うほど、呑気な本郷の催促が響く。
でもここで、「何に使う気だ、お前!」って、「友達」に詰め寄る方が変じゃん?

レジの人に、絶対変に思われるじゃん!?

「 花見ならベンチでも、できんじゃねぇの?まだ満開じゃねぇし。は、はは…… 」

俺はレジャーシートを持ってレジに向かいながら、精一杯の演技で「俺たちはこれから花見に行くんだ」感を強調した。

残念なイケメンは、白い歯を見せてにやにやと笑っていた。

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