ただΩというだけで。

さほり

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終章

4.

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「汚ねぇとか言うんなら、もう触んな。俺にも、俺の服にも」
「え…… っ」

  乾が目を丸くして言葉を失くす。

「ちょ…… っ、違いますよ」

  テーブルを回り込んだ彼は、自然な動きで津田の腰を抱いた。

「汚いなんて、言ってません。汚れてた、と、汚いは違うでしょう?」

  傷ついたような顔で覗き込まれ、つまらないことで突っかかった自分が恥ずかしくなる。顔をそらした津田の耳の後ろに、乾がそっと唇を寄せた。

「ん…… 」
「昨日、つらいって言わせてしまいました。すみません。身体、大丈夫ですか?」
「大丈夫…… てゆうか、むしろ身体軽い。お前の…… 」

  精子、いい働きするから、と、津田は続けなかった。朝からする話でもないし、彼のαとしての機能性を褒めるような言い方をしたくない。乾は何かを察したのか耳元でクスリと笑い、大きな暖かい手でつがいの腰を撫でた。

「昨日俺、寝落ちした……?」

  津田が聞くと、乾は「よかった」と言い、上体を少し離して笑顔を見せた。

「俺が津田さんに乗っかったまま寝落ちたのかと思ってました。収まるの待ってるうちに、気持ちよくてそのまま寝ちゃったみたいです」

  繋がったまま、いつのまにか二人とも眠ってしまっていたということだろう。酒も入っていたし無理もないが、「それ」が抜けても目覚めないほど熟睡していた自分がなんだかおかしい。

「あの後、律君が泣いたんですよね?気づかなくて…… 俺だけグースカ寝ててすみません」

 グースカ、という言い方に津田が口角を上げると、そこに乾の唇がチュッと触れた。腰を抱かれたまま何度もついばむようなキスをされ、密着した股間の居心地が悪くなる。

「ちょ、ちょ…… っと、待てって、ん…… っ」

  律の寝ている部屋にちらちらと視線を送る津田の唇を、乾は名残惜しげに離した。互いに帯びた熱をこすり合せるように動く彼の腰を、津田は慌てて押し戻す。

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