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第六節 襲来、そして覚醒

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仰向けで、体育館の陰で寝ころんでいた友出。

「何だ、ツトム達か」

起き上がる友出。

「学校が終わって、眠たくてしょうがないから寝てたんだわ。じゃあな」

その場を立ち去ろうとする友出。

「コガレ君……」





(回想)

2年4組、教室――。主人公の椅子の裏に学校に来るな、うざい、死ねなどの落書きがマジックで書かれている。それを見て呆然とする主人公。その様子を見たクラスメイトの数人が、クスクスと笑っている。そこに近付いて来る友出。主人公に対して口を開く。

「お前が悪いんだからな。」

「!」

ハッとする主人公。

「遊びに誘っても付き合い悪いし、よそよそしいんだよ。なんか真面目ぶってるし……それと、あの時だって……」

「コ、コガレ君……」

何か言おうとする主人公。立ち去る友出。

「じゃあな」

(回想終了)





 歩き出す友出。

「!」



何かに気付く。

「何だ……この生き物は……!」



「ゾム……」



友出の前方に1匹のゾムビーの姿が。

「どこから湧いてきやがった⁉」

体育館の近くの排水口に、ゾムビーの体液らしきものが滴っている。

「ゾムビーだ! 危ない! コガレ君‼ 逃げて‼」

叫ぶ主人公。唖然とし、立ち尽くす友出。

「サケル君! 回避の術を使って応戦しよう! コガレ君を助け……」

振り向く主人公。しかしそこに逃隠の姿は無い。



(逃げたぁ⁉)



驚愕する主人公。一方で友出はようやく冷静になり、体を動かせるようになっていた。

「化け物め! 喰らいやがれ‼」

ゾムビーに蹴りを入れる友出。

「ガッ」

ゾムビーの顔面にヒットする。一旦、怯むゾムビー。しかし体勢を整え友出に襲い掛かる

「ゾムー‼」

「ダメだ! コガレ君、奴が出す体液に触れたらいけない! ゾムビー化してしまう! 逃げて‼」

「うるせぇ! ツトムのクセに俺に指図するな!」

主人公の忠告に、そう反論する友出。





「ゾムバァ!」

「バシャッ」





ゾムビーの口から体液が吐き出される。

「うおっ」

体液を避ける友出。

「バシャッ……ジュウゥゥウウウ」

体液が落ちた地面が軽く溶け出して蒸気を上げている。

(ツトムの言ってることは嘘じゃなさそうだな)

少し焦り始める友出。

(コガレ君を助けないと!)

ポケットに入れていた手袋を取り出す主人公。

「ギュッギュ」

手袋を手にはめる。

「やぁぁああああ‼」

走り出し、両手でゾムビーを押し倒そうとする主人公。

が、ゾムビーを押し倒せない。

(重い、病院の時とは違う!)

「ゾム!」

逆に主人公を突き飛ばすゾムビー。



「うわっ!」



4,5メートル吹き飛ばされる主人公。幸い、長袖長ズボンの学ランの制服を着ていたので体液は体に付かなかった。地面に横たわる主人公。

(病院の時のゾムビーとは、パワーが違う!)

「クソがっ‼」

ゾムビーを2,3発蹴る友出。しかし今回は腕でガードされ、ダメージが入らない。

「ゾム!」

逆に友出の脚に蹴りを入れるゾムビー。

「なっ⁉」



「すてーん」



派手に転ぶ友出、地面に横たわる。

「ゾム……ゾム……」

友出に近付くゾムビー。

「逃げて‼ コガレ君‼」

叫ぶ主人公。

「くっ」

動けない友出。

「ゾムバァアア‼」

体液が友出に襲い掛かる。

「コガレ君‼」





(回想)

「俺たち、親友だよな?」

(回想終了)





(嫌だ……絶対に……コガレ君を、死なせない‼)

瞬間、主人公の手袋をはめた両手が光り出す。そして、



「ブワッ」



謎の光が放たれ、友出に襲い掛かっていた体液ごと、ゾムビーが吹き飛ばされた。





「ガッシャン」

「ゾムァアア!」





敷地内のフェンスまで吹き飛ばされるゾムビー。

「コガレ君は! 僕が守る‼ だって、親友だから‼‼‼」

主人公の両手が更に強さを増して光り出す。





「ハァァァアアアアア‼‼‼」

「ゾムゥウウウウウウウ‼」





ゾムビーの体が、中に何かが入り込んだように変形し出す。そして、





「ゾマァァアアアアア‼」

「パァン‼」





ゾムビーの体が破裂した。フェンスのすぐ下に、ゾムビーの肉片が落ちていく。フェンスには、大きな穴が開いてしまった。

「た、助かった……」

安堵の表情を浮かべる友出。

「コガレ君、大丈夫?」

駆け寄る主人公。

「ああ、お陰様でな」

答える友出。すると、



「ツカ……ツカ……ツカ……」



前に主人公が聞いた、あの足音が近付いてきた。

「私が来たからにはもう安心だ、少年……と言いたいところだがこれは一足、いや二足も三足も遅かったかな?」

「スマシさん!」

爆破スマシが現れた。

「タタタタ、ザッ」

遅れて、狩人の隊員も到着した。

「遅いぞ、お前ら!」

「ハイ! 申し訳ありません」



唖然とする友出。



「こいつらは一体?」

「政府公認部隊・狩人の人達だよ。ゾムビーを駆除してくれているんだ」

友出の疑問に答える主人公。

「フッフッフ。俺様が呼んだんだゼ、ケータイでナ」

どこからともなく現れる逃隠。

「サケル君! どこに居たんだよ、もう」

「フッフッフ。回避の術の一つ、隠れ蓑の術で身を隠していたのダ! この隠れ蓑の術とは――」

(まるで忍者だ)

呆気にとられる主人公。

「ほう……これは…………隊員達! ゾムビーの肉片を処理しろ!」

「ハッ」

ゾムビーの残骸を確認した後、隊員に命令を下す爆破。続けて主人公に話し掛ける。

「少年、君がやったのか?」

「ええ、一応……」

答える主人公。

「ふーむ」

腕を組む爆破。

(見たところ、装備しているのは手袋のみ……か)

「少年、君の持つ超能力でゾムビーを撃退してくれたのかい?」

「いえ、超能力と言うか……両手がいきなり光り出して……ブワッてなって……僕、必死で」

あいまいに答える主人公。

(自覚症状無し。そしてたった今発現したのか……面白い)

「少年、まだ名前を聞いていなかったな。名は何と言うのだ?」

問う爆破。答える主人公。

「ツトム、主人公ツトムです」

「うん、いい名前だ。ツトム、来てほしいところがあるんだ」

ーーーー

あとがき

やっと王道展開になりました。後述しますが、主人公の超能力は、拒絶の心と呼応します。
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