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第四節 主人公ツトムの学校生活
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「はい、お大事に。もう入院するようなことにならないようにね」
「はい、気を付けます。今までありがとうございました」
主人公は受付に返答し、病院を出る。家路へ帰る際、主人公はふと思い出す。
(あんなことになるなんてなぁ)
(回想)
「ゾムビー達に対抗できるのは、政府公認部隊の狩人か、超能力を使えるサイキッカーくらいだ。よっぽどのことが無い限り、あんなことをしちゃあダメだぞ、少年。まぁ、狩人が駆けつけるのが少し、遅かったかな?」
淡々と話す爆破。
「いいえ、助かりました。ありがとうございます。爆破……さん?」
そう返す主人公。
「スマシでいい」
「ありがとうございます。スマシさん」
「隊長!」
狩人の隊員が爆破を呼ぶ。
「なんだ?」
「看護服を着たゾムビーが1体、ほぼ無傷の状態で生き残っていたのですが……」
「ほう」
「全くこちらを襲う気配がありません」
(尾坦子さんだ!)
ハッとする主人公。
「そうだな、奴らを知るためのいい研究材料になるかもしれん。第2研究室へ搬送しろ!」
命令を下す爆破。
「あのっ!」
「? なんだ」
爆破に話しかける主人公。続けて言う。
「尾坦子さんは……あのゾムビーはどうなってしまうんでしょうか⁉」
返す爆破。
「尾坦子と言うのか。彼女が人間だったころは、ここの看護師か何かだったのかな? 貴重なサンプルだ。我が部隊が丁重に研究所まで送る。研究所では……ゾムビーについて把握するための実験を行われるだろうな」
「そんな……実験体になるなんて……」
「まぁそう悲観的になるな。別に直ぐ殺されるわけではない」
そう軽く返す爆破に、不安を隠せない表情の主人公。
(心配だなぁ。尾坦子さん、どうなってしまうんだろう……?)
「まぁ! あらまぁ! あらあらあら!」
精神病棟の看護婦がデイケアルームにやってきた。
「これは一体全体どういうことでしょう! うっ、臭っ」
辺りにはゾムビーの腐敗臭が漂っていた。
「これはこれは看護婦さん、ゾムビーの襲来に我々が対処致しまして……」
状況を説明する爆破。一通り説明を終えたその時、
「あぁ、……ああぁ、出口」
排便が精神病棟の出口を求めてさまよい始めた。
「あー、排便さん。ここに居たんだ。ここはあなたの制限レベルでは来ちゃあいけないとこなの」
看護婦が排便に近づく。
「あぁ、……ああぁ」
「病棟から出て来ちゃったかぁ。しょうがない、排便さん、隔離室行こっか?」
隔離室――そこは精神病棟にある一室で、トイレと紙と敷布団、掛布団しかない監獄のような部屋である!
「あぁ、嫌、嫌!」
「嫌じゃないでしょ。ほら行くよ」
「ああぁ、ツトム、ツトムゥ!」
(回想終了)
(ゾムビーっていつどこに現れるか分からないな。てか、あれからデイケアルーム使えなくて暇過ぎてしんどかったよ……)
あの日の事件を思い出し、歩いている内に家に着いた。
「ただいま」
「お帰りツトム、入院生活しんどかったね。よく頑張ったね。もう、自殺したいとか言わないでね。母さん、悲しくなっちゃう」
「ツトム、お帰り。病み上がりで大変だろうが、明日から学校に通ってくれ」
母と父が話しかける。
「うん、分かった」
久々の我が家に安心しきる主人公であった。
(久々にゲームボー〇しよう)
主人公は少し夜更かしして、床に就いた。
翌日――
「ふぁあっ、まだ眠いや、でももう起きないと」
主人公は朝7時に起床した。身支度をして朝食を食べる。
「今日から学校頑張ってね」
「うん、母さん」
とりとめのない会話をしながらの朝食だった。
「行ってきます」
主人公は靴を履き、玄関を出る。主人公の通う中学校までは家から徒歩20分といったところだ。学校までの道を歩くさなか、主人公はちょっとした考え事をする。
(入院してから久しぶりの学校だけど、みんな元気にしてたかな? 第一声、どうしようか。……コガレ君、いつかまた仲良くしてくれるかな)
友出コガレ、主人公ツトムの幼馴染である。主人公と同中学校に通っている。
(回想)
かけっこをする5歳くらいの少年が二人。
「はぁっはぁっ。疲れたな、ツトム」
「うん、コガレ君」
「俺たち、親友だよな?」
「え? えーと、そっ、それは」
嬉しいのだが、気恥ずかしくなって何も言えない主人公。
「はぁ? 違うのかよ。……まっ、いっか」
(回想終了)
(あの時だって、うん、親友だよって言えてたら何か変わったかも知れないのに……あっ)
気付けば、学校の校門まで来ていた。
平々凡々中学校、主人公が通う、全校生徒の平均偏差値48.5、部活動の成績どの部活も総じて県大会ベスト32くらいといった平々凡々とした中学校である!
玄関、廊下、階段と歩いていく。3階の廊下を歩いていても知り合いとは出会わなかった。2年4組、主人公のクラスの教室の前まで来た。
(緊張するな……とりあえず、おはようと言って入ってみよう)
「ガラッ」
「おはよう……」
教室の中にはそれぞれにグループを作り、会話している生徒が。誰も主人公に気付かない。
(…………)
ふと、右奥のグループに目をやる。友出コガレの姿がそこにはあった。
(コガレ君!)
明るく談笑している友出がふと主人公に目をやる。主人公と目が合った。が、友出はすぐに目をそらしてしまった。
(当たり前だよな。あんなことがあった後だもの)
主人公はそそくさと自分の席である教室全体から見て真ん中やや後ろの席に座った。ポツンと一人、朝礼の時間を待った。
「ガラガラ」
担任教師が教室にやってきた。
「うおーい。お前ら、朝礼始めるぞ」
「起立、気を付け、礼……着席」
クラス一同、挨拶を済ます。担任が話す。
「ツトムゥ、しばらくの間大変だったな。勉強、しっかりついていけよ。ところで今日は、大事なお知らせがある。転校生だ。みんな、仲良くしてやってくれ」
ざわつく教室。
「ささ、入ってくれ」
「ガラッ」
戸が開く。そこには小柄な男子生徒が立っていた。
「ひとまず、簡単な自己紹介でもやってくれ」
担任の言葉にぺこりとお辞儀をし、転校生は教壇に立つ。
「俺の名前は逃隠サケル‼‼‼ 俺の夢……いや、目標は! 世界中のゾムビー共を駆逐することダ‼‼‼」
ーーーー
あとがき
逃隠サケル、とうとう現れましたね。彼の、『体は身を表す』的な、名前の通りの活躍が、期待されます。今作の、タイトルにも関わってくる、そんな展開にも目を通していただけたらと、思います。
「はい、気を付けます。今までありがとうございました」
主人公は受付に返答し、病院を出る。家路へ帰る際、主人公はふと思い出す。
(あんなことになるなんてなぁ)
(回想)
「ゾムビー達に対抗できるのは、政府公認部隊の狩人か、超能力を使えるサイキッカーくらいだ。よっぽどのことが無い限り、あんなことをしちゃあダメだぞ、少年。まぁ、狩人が駆けつけるのが少し、遅かったかな?」
淡々と話す爆破。
「いいえ、助かりました。ありがとうございます。爆破……さん?」
そう返す主人公。
「スマシでいい」
「ありがとうございます。スマシさん」
「隊長!」
狩人の隊員が爆破を呼ぶ。
「なんだ?」
「看護服を着たゾムビーが1体、ほぼ無傷の状態で生き残っていたのですが……」
「ほう」
「全くこちらを襲う気配がありません」
(尾坦子さんだ!)
ハッとする主人公。
「そうだな、奴らを知るためのいい研究材料になるかもしれん。第2研究室へ搬送しろ!」
命令を下す爆破。
「あのっ!」
「? なんだ」
爆破に話しかける主人公。続けて言う。
「尾坦子さんは……あのゾムビーはどうなってしまうんでしょうか⁉」
返す爆破。
「尾坦子と言うのか。彼女が人間だったころは、ここの看護師か何かだったのかな? 貴重なサンプルだ。我が部隊が丁重に研究所まで送る。研究所では……ゾムビーについて把握するための実験を行われるだろうな」
「そんな……実験体になるなんて……」
「まぁそう悲観的になるな。別に直ぐ殺されるわけではない」
そう軽く返す爆破に、不安を隠せない表情の主人公。
(心配だなぁ。尾坦子さん、どうなってしまうんだろう……?)
「まぁ! あらまぁ! あらあらあら!」
精神病棟の看護婦がデイケアルームにやってきた。
「これは一体全体どういうことでしょう! うっ、臭っ」
辺りにはゾムビーの腐敗臭が漂っていた。
「これはこれは看護婦さん、ゾムビーの襲来に我々が対処致しまして……」
状況を説明する爆破。一通り説明を終えたその時、
「あぁ、……ああぁ、出口」
排便が精神病棟の出口を求めてさまよい始めた。
「あー、排便さん。ここに居たんだ。ここはあなたの制限レベルでは来ちゃあいけないとこなの」
看護婦が排便に近づく。
「あぁ、……ああぁ」
「病棟から出て来ちゃったかぁ。しょうがない、排便さん、隔離室行こっか?」
隔離室――そこは精神病棟にある一室で、トイレと紙と敷布団、掛布団しかない監獄のような部屋である!
「あぁ、嫌、嫌!」
「嫌じゃないでしょ。ほら行くよ」
「ああぁ、ツトム、ツトムゥ!」
(回想終了)
(ゾムビーっていつどこに現れるか分からないな。てか、あれからデイケアルーム使えなくて暇過ぎてしんどかったよ……)
あの日の事件を思い出し、歩いている内に家に着いた。
「ただいま」
「お帰りツトム、入院生活しんどかったね。よく頑張ったね。もう、自殺したいとか言わないでね。母さん、悲しくなっちゃう」
「ツトム、お帰り。病み上がりで大変だろうが、明日から学校に通ってくれ」
母と父が話しかける。
「うん、分かった」
久々の我が家に安心しきる主人公であった。
(久々にゲームボー〇しよう)
主人公は少し夜更かしして、床に就いた。
翌日――
「ふぁあっ、まだ眠いや、でももう起きないと」
主人公は朝7時に起床した。身支度をして朝食を食べる。
「今日から学校頑張ってね」
「うん、母さん」
とりとめのない会話をしながらの朝食だった。
「行ってきます」
主人公は靴を履き、玄関を出る。主人公の通う中学校までは家から徒歩20分といったところだ。学校までの道を歩くさなか、主人公はちょっとした考え事をする。
(入院してから久しぶりの学校だけど、みんな元気にしてたかな? 第一声、どうしようか。……コガレ君、いつかまた仲良くしてくれるかな)
友出コガレ、主人公ツトムの幼馴染である。主人公と同中学校に通っている。
(回想)
かけっこをする5歳くらいの少年が二人。
「はぁっはぁっ。疲れたな、ツトム」
「うん、コガレ君」
「俺たち、親友だよな?」
「え? えーと、そっ、それは」
嬉しいのだが、気恥ずかしくなって何も言えない主人公。
「はぁ? 違うのかよ。……まっ、いっか」
(回想終了)
(あの時だって、うん、親友だよって言えてたら何か変わったかも知れないのに……あっ)
気付けば、学校の校門まで来ていた。
平々凡々中学校、主人公が通う、全校生徒の平均偏差値48.5、部活動の成績どの部活も総じて県大会ベスト32くらいといった平々凡々とした中学校である!
玄関、廊下、階段と歩いていく。3階の廊下を歩いていても知り合いとは出会わなかった。2年4組、主人公のクラスの教室の前まで来た。
(緊張するな……とりあえず、おはようと言って入ってみよう)
「ガラッ」
「おはよう……」
教室の中にはそれぞれにグループを作り、会話している生徒が。誰も主人公に気付かない。
(…………)
ふと、右奥のグループに目をやる。友出コガレの姿がそこにはあった。
(コガレ君!)
明るく談笑している友出がふと主人公に目をやる。主人公と目が合った。が、友出はすぐに目をそらしてしまった。
(当たり前だよな。あんなことがあった後だもの)
主人公はそそくさと自分の席である教室全体から見て真ん中やや後ろの席に座った。ポツンと一人、朝礼の時間を待った。
「ガラガラ」
担任教師が教室にやってきた。
「うおーい。お前ら、朝礼始めるぞ」
「起立、気を付け、礼……着席」
クラス一同、挨拶を済ます。担任が話す。
「ツトムゥ、しばらくの間大変だったな。勉強、しっかりついていけよ。ところで今日は、大事なお知らせがある。転校生だ。みんな、仲良くしてやってくれ」
ざわつく教室。
「ささ、入ってくれ」
「ガラッ」
戸が開く。そこには小柄な男子生徒が立っていた。
「ひとまず、簡単な自己紹介でもやってくれ」
担任の言葉にぺこりとお辞儀をし、転校生は教壇に立つ。
「俺の名前は逃隠サケル‼‼‼ 俺の夢……いや、目標は! 世界中のゾムビー共を駆逐することダ‼‼‼」
ーーーー
あとがき
逃隠サケル、とうとう現れましたね。彼の、『体は身を表す』的な、名前の通りの活躍が、期待されます。今作の、タイトルにも関わってくる、そんな展開にも目を通していただけたらと、思います。
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