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第九節 騒がしいクリスマス

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秋頃――、

主人公達生徒はスイートピーやネモフィラなどといった春に咲く花を植える授業を受けていた。主人公はせっせと苗を土に入れ、堆肥や腐葉土を混ぜ、水をやる等して植えていった。



「植物は二酸化炭素を吸収して成長する!! ってね!」



巨房が顔を乗り出して、話し掛けてきた。

「小学校の時に習う内容だけどね……」

「ね! 花って偉大だね!!」

たじろぐ主人公お構いなしに、巨房は話を続ける。

「二酸化炭素を吸収するコトで、温室効果をちょこっと防いで、春になったら花を咲かせて、皆を癒してくれる……。私も、誰かにとって花みたいな存在になりたいな!」

「ははっ、素敵なコトだね」

主人公はこの巨房の発言の真の意味を、また分かり兼ねていた。季節は風の様に過ぎていき、冬――、

主人公は12月を迎えていた。はぁーっと、両手に息を吹きかけて通学路を歩く主人公。空からはちらほらと雪が降り、息は白くなっていた。

(夏は暑かったけど、冬は特段寒いや。今年も異常気象が続く……。地球環境ってどんどん悪くなってるのかな?)

と、そこへ――、



「ブーブーブー」



携帯が鳴りだした。

「!? 尾坦子さんから……だ……」



『今月の24日、イヴにデートできるかしら?』



(ん!? !! ――)



『できます! 喜んで!!』



『じゃあ、聖なる夜に――、愛シ合イマショウ』



「!!!? どういうコトなんだろう……?」



3日後――、

「主人公隊員!!」

「!?」

〇×高校の教室で巨房が主人公に話し掛けてきた。

「どうしたの、ミノリちゃん?」

「ホントに申し訳ないんだけど! 申し訳ないんだけど!」

「なっ何が!?」

「クリスマスイヴの日、ちょっと手伝ってほしい用事があって、校舎の裏庭で、待ち合わせしてほしいんだけど!!」

「校舎の裏庭? 用事? クリスマスイヴ……! っは!!」

「ダメ……かな……?」

「ゴメン!! その日はえっと……どうしても外せない用事があって……」

「じゃあその次の日! 25日は?」

「25日……なら……(手伝ってほしい用事って何なんだろ?)」

「良いんだね!?」

「えっと……」

「じゃあ決まり! 25日の放課後、校舎の裏庭で、待ってるからね!!」

ピューと、巨房は教室からダッシュで走り去ってしまった。

「え……あ……」

主人公は、教室内なのにヒューと風が吹いた気がした。

主人公が一抹の不安を持ったまま、日々は過ぎ去り……



12月24日――、

クリスマスイヴの日がやってきた。主人公は精一杯のおしゃれをして、待ち合わせの公園へと向かう。

(一昨年はブレスレット、去年はネックレスと来て今年は! ……ネタ切れ気味だから、尾坦子さんが欲しいと思う料理を奢るぞ!!)

世の女性達を敵にしそうな考えを持ってしまっている、主人公だった。公園に辿り着くと、尾坦子は既にそこに居た。

「ごめっ! 尾坦子さん!! 結構待ってた!?」

「あー、ツトム君。全然ヘーキだよ。私、人を待たせるの嫌だから、何時も早めに来るようにしてるの。後、社会人だから20分前行動が常識!」

「に……、20分!?(5分前では?)」

主人公は尾坦子の衝撃の感覚に対して驚愕した。しかし尾坦子はマイペースに淡々と語り掛けてくる。

「とりあえず、メリークリスマス! ツトム君」

「メリークリスマス、尾坦子さん。今年のプレゼントは……ご飯……」



「あー、プレゼントね。私から先にあげるよ」



「!?」

『ご飯を奢るよ』

その一言が出る前に、尾坦子は主人公の言葉を遮って言った。完全に尾坦子のペースである。

「プレゼントは、ワ・タ・シ」



「へあっ!?」



虚を突かれた主人公、謎の声を上げる。

「あはは! 変な声。じゃあ行こっか」

「行くってどこに!?」

「行ってからの、お・た・の・し・み」

「! ――」

主人公は、全く自分の土俵で勝負できていない。



――、

「着いたよ!」

「ここは……?」

主人公はその場所に辿り着いた意味を全く理解していない。

「ホテル?」

「ほっ……! ホテッ! ホテ……」

「行きましょ。ツトム君、高校生になったんだから、大人の恋愛もしなくちゃね!」

二人はラブホに足を運ぶこととなる。
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