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第十三節 爆破VS.主人公

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「(スマシさん……ごめんなさい……!)うぉおおおお‼ リジェクトォオオ‼‼‼」

主人公は爆破に向けてリジェクトを放つ。



「‼」



「ドッガァア‼」

「‼ ツトム、なんてことをしてくれたんだ‼」

「ガッ」

身体は主人公の胸ぐらを掴んで言った。

「副隊長……」

主人公はそう言い、リジェクトを打った方向を指差した。



「! ……」



その方向を向く身体。すると、

「ゾ……」

爆破が居た。無傷だった。

「! そうか、リジェクトによる衝撃波を、隊長の付近の空間にだけ放ち、隊長を機内から外へ吹き飛ばしたのか!」

「正解……です。てか、放してください……」

「ああ、悪かった」

身体は主人公に向けた手を放した。続けて身体は言う。

「これで心置きなく戦えるという訳だな? ツトム」

返す主人公。

「はい。機体が破壊される危険性を少なくできました」



「よし! やってこい!」



主人公の背中を叩く身体。

(いったー……でも)

「キッ」

眼差しを鋭くする主人公。



(ロケットが地上に着陸するまで、機体を守らなければ‼)



主人公は覚悟を新たに爆破と対峙する。穴の開いたペイロードベイ、その穴の入り口まで、主人公は移動した。そして、

「バースト……」

爆破がバーストを放ってくる。それに対し、

「リジェクト‼」

主人公はリジェクトで応戦。

「ドガァッ‼」

攻撃は相殺した。

「よし、それでいい、ツトム。着陸までの時間を稼いでくれ」

身体が主人公に伝える。



「はい!」



主人公は答える。

「……」

「ボッ」

爆破がバーストの爆風を利用して主人公の近くまで進んできた。

「! リジェクトォ‼」

主人公もリジェクトの衝撃波で爆破を押し返した。

『どうした?』

主人公に聞こえてくる謎の声。

「!」

その声は脳に直接聞こえ、伝わってきた。



『殺す気で来ないと、私に殺されるぞ?』



「⁉」

主人公にしか聞こえてこない声は、爆破のものであると、主人公は確信した。

確信せざるを得なかった。

今戦っている相手は、他の何者でもない、爆破スマシのみだったからだ。

そこへ、

「こちらコックピット! 燃料がギリギリになるまでとばして、今、地球の軌道上に乗りました! 点検や動作確認ができていませんが、ここから更に速度を上げて地上へ向けて進んでいきます‼」

トランシーバーを使い、コックピットから連絡が入った。

「分かった(どうか、持ってくれよ……ツトム)」

身体はそっと思う。



「……」

「リジェクトォオオ‼」

「ボッ‼」

「ドッカァ‼」



終始、バーストとリジェクトの撃ち合いになる。



何度撃ち合いが行われただろうか……幾らかの時が過ぎ去ったのちに、とある一報が届いた。



「後数分で、大気圏内に突入します‼ 早くコックピットへ‼」



「!」

「⁉」



反応する身体と主人公。

「く……リジェクトォオオ‼」

「ぶわっ‼‼」

主人公はリジェクトの衝撃波で爆破を遠くへ飛ばす。

「副隊長! 早く移動しないと!」

「うむ、しかし……(隊長は……ゾムビー化しているとはいえ、大気圏内では無事だろうか……)」

主人公が言葉を発するも、コックピットへと移動するのを躊躇する身体。

「早く‼」

「‼」

「ここで皆死んでしまったら、スマシさんも悲しみますよ!」

「あ、ああ……分かった」

涙目で言う主人公に、漸く答える身体。二人はコックピットへ移動した。

「副隊長! 大気圏へ突入します」

隊員は言う。物凄いGがパイロット達を襲うと同時に、ロケットは高熱に包まれた。

(隊長……)

爆破の身を案ずる身体。



数十分の時が過ぎた。







「ザッパァアアン」







主人公らを乗せた機体はインド洋近海に不時着した。

「ガチャ」

機外へのドアを開ける狩人隊員。

「ひどい有様だ……ペイロードベイがこんなにも」

ペイロードベイには爆破が開けた穴があった。大気圏突入の際に、その穴から熱気が内部まで入り込んだ為、内部は所々溶け出していた。



「良くここまで持ったもんだ」

「ああ、奇跡に近いな」



もう一人、隊員が出て来て言う。

「隊長は⁉」

身体も中から出てくる。

「見たところ、居ませんね」

「まだ宇宙に居るとか?」

隊員達は素っ気なく答える。



「! アレは何だ⁉」



何かに気付く隊員。見上げた空にはオレンジ色をした球体が!

「ゾ……」

その正体は、爆破スマシ。いや、かつて爆破スマシだった者だった。海上へ落下してくる。

「ジュゥウウウウ」

海面へと達した爆破。海面の水分が蒸発していく。

「た……隊長……?」

愕然とする身体。機体から逃隠と主人公も出て来た。



「何じゃありゃァー?」

「ス、スマシさん……?」



「……スト」

「ボッ!!!!!!」

海底に向けてバーストを放つ爆破。海の水分と言う水分が、一定範囲内、全て蒸発し、海底から海上にかけての道ができた。







「ザッパァアン!」







道ができた事によって着水したロケットにも波が打ち寄せられた。

「(この機体が沈む可能性も出て来たな……)ツトム! サケル! 皆!」

身体が呼び掛ける。



「は、はい!」

「ハイアイサー」

「ハイ!」



各々、応じる。

「まずは安全の確保が大事だ。各自、救命胴衣を着用するように」

「ラジャー‼」



「……スト」

「ボッ!!」

「ツカ……ツカ……ツカ」



そうこうしているうちに、爆破が海に道を造って歩いて来る。救命胴衣を着用しきる最中、

「……スト」

「ボボン‼」

爆破がロケットを爆発させた。



「‼‼‼」

「ぐあっ‼」

「わー‼」



身体、主人公、そして逃隠らを爆発が襲う。ロケットは炎上し、メラメラと炎を上げていた。





「皆! 無事か⁉」





声を上げるのは身体。



「ツトム、無事です‼」

「こちらサケル、回避の術をつかったんだい!」

「こちらも大丈夫です‼」



各々、点呼をとる形で返事していく。

「そうか……良かった……!」

身体の目に映ったのは、変わり果てた姿の爆破だった。爆破が、海に道を造ってすんでのところまで辿り着いていた。

「隊長……」

爆破を想う身体。





しかし、

「バースト……」

爆破は手をかざしてバーストを放って来た!



「リジェクト‼」

「ボッ‼」

「ッドガアッ‼」



主人公はリジェクトを放ち、放たれたバーストを相殺した。





「副隊長!」





「はっ!」

身体を呼ぶ主人公。

「気を確かに!」

「!」

「スマシさんは! 今は、敵同士です‼ 気を抜いていたら殺されますよ⁉」

「しかし、ツトム‼」

身体は何か言おうとした。それを遮る主人公。



「スマシさんは! 必ず、僕が元に戻します‼」



覚悟を決めた主人公の顔に圧倒され、納得する身体。

「……頼んだぞ、ツトム!」

「やるんだい! ツトム‼」

逃隠からもエールを贈られつつ、爆破の方を見つめる主人公。

「(スマシさん……)はぁぁあああああああああ‼」

両手をかざし、気合を入れる主人公。

すると、

『そうだ……。それでいい。本気で……来い』

頭に直接、声が聞こえて来た。

(ま……まただ……。宇宙に居た時と同じ……)

頭を抱える主人公。

「? どうした、ツトム」

身体が問い掛ける。

「こ……声が……」

「声がどうしたんだ?」

主人公に更に問う身体。そうしていると、

「……バースト」

「ボボン‼」

主人公を、バーストが襲った。







「ツトム‼」
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