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第二の封印
スライム
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知能が低いスライム相手に時間を稼ぐのは、本当に難しい。
魔王から与えられた命令を忠実に守ろうとしているのだと思うが、あまり離れすぎると祭壇により近いセルデリカの方に戻り始めてしまうのだ。
かといって、近づきすぎると丸飲みにされる可能性が高くなる。
離れすぎず、近づきすぎず。まるで綱渡りでもするような集中力で、スライムの気を引き続ける必要があった。
とはいえ、スライムもただ追いかけてくるだけじゃない。
液体の身体を無数の触手に変えて俺を捕まえようとしてくる。その触手を聖剣で叩き斬れば足元にミニスライムが生まれ、両足を絡めとろうとしてくる始末だ。
一進一退、というよりは明らかに防戦一方。
しかも防御すればするだけ敵の数が増えるので、時間が経つに連れて加速度的に俺の限界が近づいてくる。
セルデリカ、まだか……っ?
ふとスライムから目を逸らした一瞬の隙を突かれた。
「――しまった!」
分裂したミニスライムの数匹が、突然セルデリカに狙いを変えたのだ。
すぐにミニスライムを追いかけようとするが、こんな時に限ってここぞとばかりに親玉スライムからの攻撃が飛んでくる。
くそっ、ここまでか。
「すまんセルデリカっ、何匹かそっちに行っちまった! 襲われる前に逃げてくれっ!」
ここで作戦を中止すればすべてが水の泡だが、それでもセルデリカの安全が優先だ。俺は腹の底から叫んだのだが、そこであることに気付いた。
語彙力が……、戻ってる?
「まったく。信じろなんて大口叩いておいて情けないわねっ。でもギリギリ間に合ったわよ」
聞き慣れた声。
「待たせたわね勇者。すぐに片付けてあげるからさっさとそいつから離れなさいっ! 巻き込んじゃうわよっ」
しかし聞き慣れない口調でそう言われた俺は、ほとんど反射でスライムから距離を取った。
その瞬間だった。ビュオッ! と冷たい風が吹いたかと思うと、一瞬でスライムが氷漬けになったのだ。
スライムが凍り付いたってことはセルデリカが封印解除に成功した……、のか?
急いでセルデリカが居るであろう祭壇に目を向ける。
――すると。
祭壇の上には、さらりと髪を流したスタイルの良い美女が立っていた。
魔王から与えられた命令を忠実に守ろうとしているのだと思うが、あまり離れすぎると祭壇により近いセルデリカの方に戻り始めてしまうのだ。
かといって、近づきすぎると丸飲みにされる可能性が高くなる。
離れすぎず、近づきすぎず。まるで綱渡りでもするような集中力で、スライムの気を引き続ける必要があった。
とはいえ、スライムもただ追いかけてくるだけじゃない。
液体の身体を無数の触手に変えて俺を捕まえようとしてくる。その触手を聖剣で叩き斬れば足元にミニスライムが生まれ、両足を絡めとろうとしてくる始末だ。
一進一退、というよりは明らかに防戦一方。
しかも防御すればするだけ敵の数が増えるので、時間が経つに連れて加速度的に俺の限界が近づいてくる。
セルデリカ、まだか……っ?
ふとスライムから目を逸らした一瞬の隙を突かれた。
「――しまった!」
分裂したミニスライムの数匹が、突然セルデリカに狙いを変えたのだ。
すぐにミニスライムを追いかけようとするが、こんな時に限ってここぞとばかりに親玉スライムからの攻撃が飛んでくる。
くそっ、ここまでか。
「すまんセルデリカっ、何匹かそっちに行っちまった! 襲われる前に逃げてくれっ!」
ここで作戦を中止すればすべてが水の泡だが、それでもセルデリカの安全が優先だ。俺は腹の底から叫んだのだが、そこであることに気付いた。
語彙力が……、戻ってる?
「まったく。信じろなんて大口叩いておいて情けないわねっ。でもギリギリ間に合ったわよ」
聞き慣れた声。
「待たせたわね勇者。すぐに片付けてあげるからさっさとそいつから離れなさいっ! 巻き込んじゃうわよっ」
しかし聞き慣れない口調でそう言われた俺は、ほとんど反射でスライムから距離を取った。
その瞬間だった。ビュオッ! と冷たい風が吹いたかと思うと、一瞬でスライムが氷漬けになったのだ。
スライムが凍り付いたってことはセルデリカが封印解除に成功した……、のか?
急いでセルデリカが居るであろう祭壇に目を向ける。
――すると。
祭壇の上には、さらりと髪を流したスタイルの良い美女が立っていた。
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