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二章「結婚の儀」

三十一話「聖女の秘密」前編✳

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 精霊の情報もあって、巫女姫が親子関係やこの国を疑っていると分かった。その疑惑を晴らして御子を受け入れて貰わないと、話が始まらないのね。

「うーん。イーストフィールドが加護を失うのは困るね」パクレットが腕を組んで唸った。
「自業自得なのに?」パースランは怒りをくすぶらせてる。折角マジョラム達と和解したのに。

「もう既に食糧難で、非公式に援助を続けてるんだ。国境を越えて、徐々に人が流入してきてるし」この国の人達は基本のんびりしてるものね。難民問題なんて考えてもいないわ。

「そっか、この国も困るんだ」パースランがパクレットに頷いた。
「難しいね。考えるだけで疲れちゃったよ」欠伸をしながら、大きく伸びをしている。

「そろそろ寝るか。気になる事は多いが、また明日だな」パースランを引き寄せて抱きしめるコレウスの言葉に、各々が動き出す。

 イオが侍女を呼んで食卓を片付けてくれるから、私はタリー、タッカと伴侶の間に移った。ヒビスクスはまだ戻って来ない。

 先日、伴侶の間の模様替えをして、四人で使うことが多いタリーの部屋を大きくした。ヒビスクスとタッカの部屋は、殆ど聖域への出入りと私物の収納にしか使っていない。

 タリーの部屋と聖域を跨ぐ命の樹は大きく育ち、天井をすっかり覆ってしまった。食べきれない程実った枝が垂れて、カーテンの様に部屋と聖域を仕切っている。

 部屋の端に書類机と化粧台、椅子、タンスがあるけど、中央にでん、と置かれているのは大きなベッド。運び込めずに中で組み立てるのを見た時には驚いたわ。

 この国は気温が高い事もあって、裸で寝るのが一般的だ。シャワーを浴びて、裸のままベッドに入るのだから、ほぼ毎晩このベッドが大活躍している。

 タリーが私に軽く口付けて、いつもの様に樹の実を採ろうとするのをタッカが止めた。
「ヒビスクスが、もう少しで帰るから待っててくれと言ってます」

 それなら、と三人でただくっついて、ゆったりと横たわった。たまには、こんな時間もあっていいわね。
 でも、気になっている事がある。

「ねぇ、タリー」静かに声をかけた。
「巫女姫の命の守護者はフィルよね? 巫女姫はこれまで、命の加護がなくても大丈夫だったの?」

「うん、やっぱり気付くよね」タリーは苦笑している。
「巫女姫は凄く特殊なんだ。コレウスとイオも首を傾げてたね。明日また説明するよ」

 タリーは頭の回転が速く、周りは付いていけない事がある。面倒臭がりの彼は問題が起きた時でも一人で解決してしまい、報告もしない。時々、私や家族に怒られていた。

「もう、今日は終わりにしましょう?」タッカに優しく口付けられた。微笑みながら、触れているかどうかも分からないくらいの距離で、指で私の輪郭を辿り始める。

「……ぁ、ん」ふわっと花の香りが広がったのに、タリーが目を丸くする。
「マジョラム達が御子を引き取ってくれて良かった」タッカが嬉しそうに呟いた。

「そうだね、タッカには我慢させちゃってごめんね」タリーが申し訳なさそうに言ってから、タッカの動きを見つめて、同じようにしようと手を伸ばす。

「大丈夫です。ちょっと寂しかったけど、ヒビスクスとも仲良くなれたし」そうね、従者でもあるし、伴侶同士だし……一緒に寝てるんだし。
 話しながらも、二人の手は止まらない。

「ヒビスクスは大きな犬みたいです。可愛いですよね」タッカが笑った。
「あ、そんな感じ。頭や体を擦り付けたり、お腹に抱え込んだりもするよね」タリーも笑う。

「やぁ、あ……」タリーの手はしっかり触れてしまっているけど、それでも擽ったいくらいの感触で気持ちいいし、タッカの指の緻密な動きを際立たせる。

「あ、ぁあ……」腰をくねらせてよがる私を、二人が楽しそうに見つめている。
「タッカは凄いね」タリーが感服した、という声音で囁く。

 タッカの身長は百六十五センチくらい。守護者の中では一番小柄で、私より少し大きいだけ。手も小さい筈なのに、全身を同時に触られている様に感じる。

「もう、入れ、て……」息を切らして頼んでしまった。
 タッカが固く立ち上がった自身を宛てがって、ゆっくりと押し入って来る。

「ヒビスクスが帰ってくるまでは、イけないんですけど」クスクスとタッカが笑う。
「……そんなの無理」すがるようにタリーを見たけど、笑顔で命の樹の実を差し出された。

「僕もこれからだし。頑張ろうか」ひっ、と鳴る喉に口付けられて、樹の実を飲み下す。
「……っ!」タリーの口付けを受けながら、中を探るタッカの蠢きでイく。

 ヒビスクスが帰って来た時にはもう、くたくたになってたけど。また樹の実を含まされて、激しく揺さぶられながら眠りに落ちた。
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