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一章 聖女と守護者達

二十八話「風の商人」✳

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  パクレットとの交わりは嵐のように始まった。彼の忍耐は、とうに尽きていたんだろう。

 御子の様子を確認したタリーが戻り、聖女の間に顔を出してパクレットに頷いた途端。
「きゃぁっ」パクレットが秘所を弄っていた指を抜いたと思うと、両足を曲げて肩に担ぎ、私を一気に貫いた。蜜が滴るほど濡れてはいたけど、突然の衝撃に悲鳴をあげる。

「聖女ごめん。余裕がない」痛みに耐えるようなパクレットの声に、その手を撫でた。
「大丈夫。激しくして」待たせてごめんね。
「ぁぁあん」パクレットが中で膨れ上がるのに声を上げる。花の香りが広がった。発情した私の香りは、日に日に甘くなっている。

 パクレットが呻きながら腰を動かし始めた。中が蠢いて彼の動きを悦んでいるのが分かる。
「パクレットも気持ちいい?」学院で会ってからずっと好きでいてくれたという、朗らかで飄々とした人。空色の目はいつも澄んでいるけど、この半月でどんどん熱を帯びてきた。

「あぁ。聖女に包まれてる」うわ言のように呟き、抱えた足に口付けながらゆっくりと味わうように抽送される。反応する度、そこにぐっと押し当てられて喘いだ。

 周囲の人達が大きいから小柄に見えてたけど、パクレットやパースランが特に小さい訳じゃない。百六十センチ弱の私をすっぽり抱き込めるから、百七十五センチくらいだろうか。それに、車も電車もない世界で、男性は徒歩か馬で長距離を移動するから、誰でもかなり運動している。武闘派ではない守護者達も、いわゆる細マッチョだ。つまり、私を持ち上げるくらい簡単にできる。

「ぁ、んっ」パクレットが、入れたまま私の上半身を抱き起こして、太股の上に座らせて片胸を強く揉みしだいた。片胸に吸い付かれ甘噛みされて、あっという間にイく。
 抱かれるのが仕事のようなこの半月で、口も胸も中も後ろも、全身で感じるようになった。

「気持ちいい?」腰を軽く上げては落としながら中を抉られ、嬌声を上げる。
「イくよ」パクレットの切迫した声に答えることもできず、迸りを受けながら、私もイった。
 パクレットと抱き合って目を瞑り、ゆっくりと体に広がる温かさを感じる。温泉に浸かってすっかり体が解れた時のような、穏やかな気持ちになった。

 脳裏にゲーム画面が浮かび、『最高難度・逆ハーレムルート、パーフェクトクリア』と標示される。今更感が半端ない。というか何がクリア? 体の力が抜けそうになる。

「あぁ、加護が強くなったね、風になってこの国を駆け回っているようだ。色んな気配が感じられるよ」顎を掬われて口付けられる。なるほど、全員に抱かれて最高の加護が貰えた、ということなのね。

「聖女のお陰でぼくの心も経験も、世界まで広がっていくよ、ありがとう」そうかぁ、それならクリアできた意味があるわ。本当に良かった。パクレットの笑顔を見て、涙が零れる。

 風属性の人は一ヶ所にとどまらないことが多いそうだ。商人でもある彼が守護者にならなければ、きっと世界中を旅していたろうと思うと、後悔はしないかと不安を感じていた。
 精霊達とその加護に深い感謝を捧げる。心の中で、風の精霊の種も生みます、と誓う。

「精霊がありがとう、聖域で会えるのを楽しみにしてる、って」パクレットが笑った。もう。内緒にしたかったから、口に出さなかったのに。
 パクレットの頭を抱えて顔を隠すと、胸への愛撫が再開された。乳輪を唇で包み、乳頭を舌先で突っつく。

 胸を揉みしだかれながら、ゆっくりと向きを変えてうつ伏せに寝かされる。
「やっとスタートラインに立てた。楽しませてあげるね」腰から背中を撫で上げ、首筋に口付けられて啼く。

 そう、クリアしてからが始まりなのね。タリーの顔が頭に浮かぶ。彼が私の為に作ってくれた道筋はここまで。これからは自分で選ばなくちゃいけないんだ。

 実母やその仲間達のその後を思う。イーストフィールドの聖女は、伴侶と結ばれた時に『純情ルート・推しメンクリア』と標示されたのかしら? 彼女は幸せだったろうか? 残されたマジョラムや姫巫女のことが頭に浮かぶけど、今は。

「聖女、愛してるよ」体中を撫でられ、口付けられて息が上がる。中でどんどん大きく固くなる彼が愛しい。
「パクレット、私も愛してるわ」姫豆を弄られて花の香りを振り撒きながら、二人で達した。
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