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ヒート sideグレイヴ
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完全に嫌われてしまった。
ほぼ初対面の相手にいきなり、それもあんなに人目のつくところで、告白なんて。
あまりいい気分はしなかっただろう。
彼にどう謝罪をしようか思案しながら歩いていた。
曲がり角を曲がった時、廊下の端に蹲る生徒を見つけた。
体調不良だろうかと近づいていくが、徐々に強い匂いが漂ってくる。
(ヒートか……)
今にも爆発しそうな欲を抑えながら、生徒の顔を覗くと、それはまさにあの彼だった。
「大丈夫か!」
この匂い、荒い息と、上気した顔を見て確信する。
「ッ……やっぱりヒートか」
それならば、どこかに移動させなければいけない。
ここからだと保健室が一番近いだろう。
「保健室に行こう」
「ぃ、やだ……」
抱き上げると、辛いのか声を上げる。
「少しの辛抱だから、我慢してくれ」
安心させるように声をかけると、彼は苦しそうに服を掴む。
「すぐ楽にしてやるからな」
保健室に着くと、一番奥のベッドに彼を寝かせる。
素早く水をとって彼の元に戻る。
「薬は持ってるか?」
Ωならいつヒートが起きてもいいように、抑制剤は常備しているはずだ。
「ない……」
「は?常備してないのか?」
昔、本で読んだ記憶が蘇った。
Ωがヒートになった時、αと性交をするため本能的に、抑制剤の類を隠すことがあるという。
「……すまない」
「……っや」
彼のジャケットの胸ポケットに手を伸ばす。
彼の手が弱々しく縋り付いてくる。
必死に理性を稼働させ、探すがありそうにない。
「は、ぁ……」
腰のポケットも上から探るが、それらしきものにあたらない。
「んん……ぅあ」
抑制剤を探す手が刺激になってしまっているのか、先程よりも顔が赤らんでいた。
「……仕方ない」
このままでは俺も彼にも限界が来る。
いっそのこと。
「ひぃうっ」
ベルトに手をかけ、ズボンを脱がす。
白く細い下肢が露わになる。
むしろこちらの方が目に毒だったと、今更思い至る。
やっと抑制剤を探し出して彼を見ると、こめかみに涙が伝っていた。
「辛いな。これを飲めば治るはずだから、大丈夫だ」
錠剤を出し口元に持っていくが、口を固く結び開けようとしない。
「お願いだから、飲んでくれ」
親指を差し込み無理矢理開けようとすると、顔ごと横に逸らされてしまった。
あまり手荒な真似はしたくなかったのだが、鼻をつまみ、息が出来なくなった彼がたまらず口を開けたところで薬と水を入れ、今度は口を押さえる。
そうすると、少々強引ではあったが飲み込んでくれる。
「ちゃんと飲めたか?」
口の中に隠していないか確認する為、舌を動かすが、無意識なのか指に舌を絡ませてくる。
すぐに手を引くと、今度は物足りなさそうな顔をする。
「……っ俺は外に出てるから、楽になったら呼んでくれ」
俺はもう堪らなくなり、保健室を出るとトイレに駆け込んだ。
ほぼ初対面の相手にいきなり、それもあんなに人目のつくところで、告白なんて。
あまりいい気分はしなかっただろう。
彼にどう謝罪をしようか思案しながら歩いていた。
曲がり角を曲がった時、廊下の端に蹲る生徒を見つけた。
体調不良だろうかと近づいていくが、徐々に強い匂いが漂ってくる。
(ヒートか……)
今にも爆発しそうな欲を抑えながら、生徒の顔を覗くと、それはまさにあの彼だった。
「大丈夫か!」
この匂い、荒い息と、上気した顔を見て確信する。
「ッ……やっぱりヒートか」
それならば、どこかに移動させなければいけない。
ここからだと保健室が一番近いだろう。
「保健室に行こう」
「ぃ、やだ……」
抱き上げると、辛いのか声を上げる。
「少しの辛抱だから、我慢してくれ」
安心させるように声をかけると、彼は苦しそうに服を掴む。
「すぐ楽にしてやるからな」
保健室に着くと、一番奥のベッドに彼を寝かせる。
素早く水をとって彼の元に戻る。
「薬は持ってるか?」
Ωならいつヒートが起きてもいいように、抑制剤は常備しているはずだ。
「ない……」
「は?常備してないのか?」
昔、本で読んだ記憶が蘇った。
Ωがヒートになった時、αと性交をするため本能的に、抑制剤の類を隠すことがあるという。
「……すまない」
「……っや」
彼のジャケットの胸ポケットに手を伸ばす。
彼の手が弱々しく縋り付いてくる。
必死に理性を稼働させ、探すがありそうにない。
「は、ぁ……」
腰のポケットも上から探るが、それらしきものにあたらない。
「んん……ぅあ」
抑制剤を探す手が刺激になってしまっているのか、先程よりも顔が赤らんでいた。
「……仕方ない」
このままでは俺も彼にも限界が来る。
いっそのこと。
「ひぃうっ」
ベルトに手をかけ、ズボンを脱がす。
白く細い下肢が露わになる。
むしろこちらの方が目に毒だったと、今更思い至る。
やっと抑制剤を探し出して彼を見ると、こめかみに涙が伝っていた。
「辛いな。これを飲めば治るはずだから、大丈夫だ」
錠剤を出し口元に持っていくが、口を固く結び開けようとしない。
「お願いだから、飲んでくれ」
親指を差し込み無理矢理開けようとすると、顔ごと横に逸らされてしまった。
あまり手荒な真似はしたくなかったのだが、鼻をつまみ、息が出来なくなった彼がたまらず口を開けたところで薬と水を入れ、今度は口を押さえる。
そうすると、少々強引ではあったが飲み込んでくれる。
「ちゃんと飲めたか?」
口の中に隠していないか確認する為、舌を動かすが、無意識なのか指に舌を絡ませてくる。
すぐに手を引くと、今度は物足りなさそうな顔をする。
「……っ俺は外に出てるから、楽になったら呼んでくれ」
俺はもう堪らなくなり、保健室を出るとトイレに駆け込んだ。
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