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告白 sideグレイヴ
しおりを挟む今日一日、朝会った彼がどうにも頭から離れず、ついに寮まで来てしまった。
ちょうど授業が終わり帰ってくるころに間に合ったようで、ロビーには生徒が集まっていた。
しかし、彼の姿は見えない。
「あ!」
キョロキョロと探しているとちょうど横を通った。
「良かった。会えた」
もう会えないかと思った。
「どちら様ですか」
「あれ?今朝会ったのは君だろう?」
記憶違いだったか?いや、そんなはずはない。確かに彼だ。
「目が、合っただけだろ……」
ぼそっと呟いたのを俺は聞き逃さなかった。
「やっぱり君だ」
彼は一瞬嫌そうな顔をして、こちらに向き直った。
「何の用ですか」
「俺は二年のウェイン・グレイヴ。———君に一目惚れした」
とりあえず名を名乗った後、焦った俺はあらぬことを口にしてしまった。
「はあ?」
訳が分からないという顔をしている。
当たり前だ。
急に告白され戸惑うのは、至極真っ当な反応だ。
しかし、俺は別に今すぐ付き合いたいわけじゃない。
友達からはじめたいんだ。
「よければ……」
「断る!」
一緒にランチに行かないか、その言葉は続くことなく、彼の鬼気迫る声にかき消された。
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