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異世界プロレス篇
【女神降臨】
しおりを挟むここは・・・・・・
どこだ?
さっきまでの中世な部屋じゃない。
夕焼けに彩られた部屋には、夥しい量のマンガがあり、窓の外には見覚えのあるビル群が。
まさか・・・・・・さっきまでのは夢!?
背筋が凍った。
「安心してよ。全部本当だよ?」
ええい!!
さっきから誰だ!?
「アァ!?」
振り向くとーーーー
美少女が。
単なる少女じゃない。
真っ赤な髪が夕日のせいで燃え上がるようだった。
タレ目で幼顔。
Tシャツを着ており、下は・・・・・・
「おまっ!?」
まさかの下着!!
「なんつー格好してんだ!!」
「あれれ? 悪役レスラー・ハイエナのキョウヘイが女の子のパンツひとつで大騒ぎだね?」
「うっせえ!!」
少女がペロリとシャツの裾をめくる。
「ああっ!! だから・・・・・・」
おや?
黒い・・・・・・ピチッとしたショートパンツ?
「ざんねんでした~♪ 見せパン♪」
キャッキャッと意地悪く笑う少女。
これから国を救うと意気込んでいる自分が、小娘の手のひらでコロコロと・・・・・・
「このガキっ・・・・・・!」
「まーまー座ってよー」
ポンポンと床を叩く。
ン?
そこには大量のお菓子の空き箱に袋・・・・・・
しかも全て甘い物。
「・・・・・・糖尿病になっちまうぜ嬢ちゃん」
よっこらしょと、恭平はあぐらをかいた。
格好は眠っていたまま、タンクトップに黒いショートタイツ。
「・・・・・・君の格好の方がよほど恥ずかしいけど」
「うるせえ。お前は誰だ? ここは?」
死んだ上に異世界転生・・・・・・もう驚くことはないと思っていた。
だからこそ、単刀直入に訊いてみた。
「私の部屋」
「部屋ねぇ・・・・・・」
妙な点に気がついた。
この部屋・・・・・・確かに散らかっていたり、マンガやお菓子が乱雑に置かれている。
いるが・・・・・・生活臭というものがまるで無い。
なぜかって?
ドアが無いのだ。
それだけで、大問題である。
「・・・・・・何者だ?」
「うふふ・・・・・・ウカよ」
「うか?」
「私の名前。『ウカ』って呼んでね♪」
ポッキーを咥えながら、ニコッとスマイル。
「・・・・・・ウカ」
「本当の名は『宇迦之御魂神』って言うんだ~でも、長いし古くさいでしょ? だから、ウカって呼んでもらっているの」
「なんだそりゃ?」
「あんまり勉強得意じゃなかったのね」
「ンだと?」
「一応、日本の古来からの神様よ」
ポリポリ・・・・・・
今度は小分けにされたチョコを食べ始めた。
「・・・・・・神様らしくねぇな」
「2000年近く神様してたら、こうなっちゃうよ」
「そんなもんかねぇ」
「そうだよぉ・・・・・・あっ! この新発売のコンビニスイーツ美味しい」
また食べてる。
「ストレスでも溜まってるのか?」
「むー! 私は別名『食べ物の神』だよ? 食べるのが好きだっておかしくないじゃん!」
「食べ物の神?」
「パパとママ・・・・・・ああ、言っておくとどっちも神様なんだけど、二人がお腹ペコペコの時に産まれたからね」
「そんなに単純なものなのか?」
「海外の神様見てみなよ~『頭痛がするから頭を斧で割ってみました。その中から神様誕生~!』なんてざらだよ?」
「マジか・・・・・・イカれてらぁ」
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