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”VSジル公爵篇”
【王の本音】
しおりを挟む涙まで出して大笑いをしている恭平に、国王が詰め寄った。
「なんのつもりじゃ! どういう頭をしてたら、こうなるんじゃ!!」
「こんな頭さ」
コンコンと叩く。
「シャレなどどうでもよいわ! やっていることが分かっておるのか!? 貴族の中でも最上位である公爵を陵辱するなど・・・・・・」
「・・・・・・これでいいのさ」
アゴをしゃくって無駄なあがきを続けているジルを見やった。
「あの手のタイプはな、どんだけ痛めつけても効かねえ・・・・・・復讐の機会を考えて、リベンジマッチまで燃え続ける」
「なにを・・・・・・」
「だがな、無傷で恥をかく。そんな子供の思いつきのみてぇな罰が、いっっっっちばん効く!」
「なっ!?」
「いいやられっぷりだろ? 流石は俺の相棒だな」
それに・・・・・・と、親衛隊員がジル公爵へ意識を向けている隙に国王へ近づいた。
「アンタの命もこれでひとまずは心配なし、だ」
「!!」
「知ってるぜ? 親衛隊はジルの手中にあったンだろ?」
「それは・・・・・・」
「いつでも寝首を掻かれる・・・・・・だが、もうアレにはそんな力も根性も残っちゃいねえよ」
見上げると、とうとう精神が限界に達したようで、よだれを垂らしながら笑っているような怒っているような表情になっていた。
「ま・・・・・・ママのパンケーキだーいすき・・・・・・アハハ・・・・・・アハハハハ・・・・・・」
幼児退行までしてしまった。
もう元には戻らない。
「殺すより効果的・・・・・・プロレスのやり方、分かってくれたか?」
「・・・・・・恐ろしや・・・・・・しかし・・・・・・感謝する」
国王は、親衛隊の手前険しい顔のままだったが、小声で礼を言った。
「歳を取った余ならともかく・・・・・・愛しい我が息子の命が心配でしょうがなかった・・・・・・ありがとう」
「いいのさ」
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