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”VSジル公爵篇”
【驚きの寝起き】
しおりを挟む国王『パドロ・クリストフ二世』が快適なベッドで叩き起こされたのが朝の七時。
寝ぼけ眼で何事かと質問するとーーーー
「なにぃ!?」
眠気なんてどこへやら。
すぐさま着替え、親衛隊を引き連れて王宮から走った。
馬に乗る?
国民に知らせる?
そんな暇はない!!
焦ったあまりに、王の服のボタンは掛け違っていた。
走って・・・・・・走って・・・・・・
この王都の中央ーーーー
国民や交易商人が必ず通過する、大きな広場がある。
そこへ向かったーーーー
「きょ、恭平ィィィ!!」
叫んだのには二つの意味がある。
まず、恭平に知らせるため。
彼に自分がここに居るということを分からせるための、非常にシンプルな理由だった。
そしてもうひとつ・・・・・・
それは、あまりにも広場に群衆が集まっているため、大声で散らす必要があったからだ。
「王様だっ!」
「国王陛下!!」
「みんな下がれ!!」
人々が進行方向を作る。
その先には・・・・・・
「恭平!!」
タンクトップ姿で、巨大な噴水の縁に座っている恭平が居た。
彼の足下には灰の山。
そして、彼は次の一本を指に挟んで咥えている。
シュボッ!
マッチで火をつけると、葉巻の先端にパッパッと空気を吸って着火していた。
「美味ぇ」
モワァ・・・・・・と紫煙を口から出すと、器用にその煙を鼻で吸い込んで、再度吐き出す。
「あの秀木がハマるのも分かるな。うめえよコレ」
「きょ、恭平・・・・・・」
王はハァハァ息を切らして、膝に手をついている。
「朝っぱらからジョギングかい? オウサマ?」
「お、お主・・・・・・っ!」
初めて国王『パドロ・クリストフ二世』が恭平を睨み付けた。
「これは・・・・・・」
「ン?」
「これはなんじゃァァァ!!」
国王は恭平にではなく、彼の頭上に指を指した。
そこにはーーーー
裸で見世物になっているジル公爵がッッ!!
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