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”VSジル公爵篇”
【ジル公爵】
しおりを挟む某邸宅ーーーー
「汚らしい劣等種は排除すべきだ!」
巨大なパーティールームに声が響く。
その声というのは、なんとも耳心地の悪い声だった。
南国に住む極彩色の怪鳥がごとき、甲高くキンキンとした声。
その声の主は太った男。
着飾って威厳を出し、ポマードでテカテカとさせた髪で会場全体に大声で主張をしていた。
「あの魔族などという下等な種族と、一体全体どうやって和解ができるのだろうか!! ナンセンスである!!」
彼が声を張る度に、会場中が拍手に包まれた。
そこに居るのは全員が貴族。
しかも、非常に偏った思想の持ち主であり、危険な人間たちである。
彼ら彼女らはジル公爵の陣営ということをひた隠しにするべく、仮面を被って参加している。
よって、自然とパーティーには不気味な雰囲気が漂っているのであった。
「今日の国内の混乱、そして平民の不満、聞くに堪えない平和主義者たちの声、防衛費用の増加!! 全ては戦争指導者である現国王『パドロ・クリストフ二世』のせいである!!」
パチパチッッ
パチパチッッ
パチパチッッ
「あの愚王とその息子にこの国を任せていれば、必ずや取り返しのつかないこととなる!! 諸君!! 愚かな市民と従順な下僕たちを率いる力を持つのは私だけだっ!!」
パチパチッッ
パチパチッッ
パチパチッッ
「私を信じよ!! 神でも、王でもなく!! この高潔で勤勉な私をだ!!」
とーーーー
「や~だね」
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