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”VSジル公爵篇”

【もう一人の転生者】

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 三人の後ろから、フードを被った男が現れた。



「ハンパねえっス」


「ン?」


「自分から・・・・・・戦わざるを得ない状況を作っている・・・・・・格が違うなんてレベルじゃねえっス」


「アンタは?」



 バッとフードをずらすと、そこには好青年が。



 が・・・・・・



「・・・・・・ひでえ傷だな」


「でしょ?」



 青年の両頬には、深くて目につく切創が幾つもあった。



 職業柄、多くの傷を見てきた。



 ゆえに、判る。



「・・・・・・ネコに引っ掻かれたワケじゃねえな」


「ええ。人為的で悪意のある傷です」



 三人の悪党がまごまごしている。



「アニキ!」


「すんません! すぐに巻き上げますから・・・・・・」


「アホ」



 青年は部下たちを一喝した。



「獲物の品定めもできないのか? バカ共・・・・・・」


「・・・・・・」


「お前が兄貴分か? で、どうする?」



 恭平は首をパキポキと鳴らした。



「スカーフェイスで俺がビビるとでも?」


「いいえ。自己紹介がまだでしたね」



 青年がチョコンと頭を下げた。



「僕は西山 まなぶです。佐藤恭平さん」


「・・・・・・てめえも転生者ってことか?」


「はい。トラックに撥ねられる前の晩まで、テレビで貴方を観てました。ハイエナのキョウヘイ」


「おおっと! お客様だったか!」



 恭平も戯けながら頭を下げる。



「なら、分かるよなぁ? 俺がどんだけ容赦ないか」


「承知です。しかし・・・・・・負ける」


「あぁ?」


「ジル公爵には、どんな悪役レスラーも足下にも及ばない」



 四人の顔は暗くなった。



 何かワケがある。



 そんな予感で、恭平はローブを着戻していた。



「・・・・・・アンタの話し、聞こうか」


「ここではなんなので・・・・・・」



 五名は適当な安居酒屋に場所を移した。


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