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”VSジル公爵篇”

【散歩】

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 日が落ちて数刻ーーーー



(マジで異世界に来たのか・・・・・・)



 恭平はサイズが合わないため、魔法使いが着るローブを身に纏っている。足は履いてきたボロボロのスニーカー。



 そんな目立つ彼だが、周囲の環境に内心度肝を抜かれていた。



 白人系・黒人系・褐色肌に黄色人種・・・・・・人種のるつぼだ。



 そこに合わせて・・・・・・異形の存在たち。




 ワニのような頭部の、二足歩行の魔物。



 角が生えている緑色の肌をした怪物。



 翼が生えているがために背中に穴の開いた服の者。



(スゲえ・・・・・・)



 物見遊山に来たワケではないが、それでも興味関心を持つなと言う方が無理だ。



 キョロキョロと見渡してしまう。



「南の湿地地帯特産キノコ!! 食べる度に味が変わるよ!!」


「目玉!! 耳!! 各種取り揃えております!!」


「いざという時のために!! 剣・槍・斧!! なんでもあるよ!!」



 大通り沿いには夥しい数の露天商が、活気溢れる賑わいを見せていた。



 家々はレンガ造りの、中世レベルの建築だった。



 しかし・・・・・・



(ふぅん・・・・・・勝利の代償は大きかったらしいな)



 片腕のない、片足のない・・・・・・もしくはそれ以上失っている男たちが、路上に座り込んでいる。曇り空のようにどんよりした眼で、目の前に置かれた空き缶を見つめていた。



 必ずと言っていいほど、



『私は魔王大戦に出兵し、負傷兵として帰還して参りました。尽忠報国の士として、戦い傷を負って働くことも叶いません。どうかあわれにおもわれましたら、お心付けを恵んで下さい』



 そう書かれた木札を首から下げている。



 退役軍人の受け皿は不十分なようだ。



 もしくは・・・・・・そう言った社会の役割すらも、封建的な社会構造が邪魔をしているのかも。



 少なくとも、あの国王からは邪気を感じなかった。



 だとすれば・・・・・・



 ・・・・・・



 ・・・・・・



 ・・・・・・気がついている。



(王宮から出た瞬間から・・・・・・尾行されている)


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