異世界プロレス！！～君はウソをつけるか？～

”異世界転生”

【だが断る】

「いざこざが絶えん。人間が魔族を『敗戦国』と罵るじゃろ？　すると魔族が怒る。単なる人間が、魔族に勝てるわけが無い･･････怪我をしては逮捕者が出る･･････するとじゃ･･････差別を受けたから反撃をした。これは不当逮捕だ、と大騒ぎ･･････」


「あらら」


「まあ、魔族が何も悪いとは思わん･･････人間よりも働き者じゃし、力持ちだったり水の中でも呼吸ができる者もおる。仕事に就いている者も多い」


「いいことじゃねえのか？」


「ところがじゃ･･････今度は人間が反発をする･･････魔族によって自分たちの雇用が奪われているとな」



　なんだか、前世でも似たような問題を聞いたことがあるなぁと、恭平は思った。



「次第に『求人！（魔族は不可）』なんてコトになる。するとまたまた差別だと･･････ああ･･････頭が痛い」



　とうとう国王は頭を抱えた。



「金でもばら撒けばいいんじゃねえか？　政治家がよくやりそうなことだ」


「考えもしたが最後の手段じゃよ･･････正直、戦争のための費用は莫大な出費だった･･････国庫は失業者を養う余裕はないのじゃ」


「じゃあ、どうすんの？」


「そこで、君じゃ！」



　ビシッと指を指されたが･･････なんでだ？



「正直、話しが見えないな」


「神の力と魔法によって、君は召喚された！　それは強い人間というコトじゃ！」



　んん･･････？



「まったく分からん」


「その肉体･･････物語っておる･･････歴戦の猛者！」


「照れるねぇ･･････で？」


「神様には次のように祈った･･････ええっと･･････『この戦後混乱状態を収める人材を求む。成功の暁にはクレープ（ホイップマシマシ）を王国が潰えるその日まで捧げる』と」


「･･････クレープ代わりに呼ばれたのか？」



　納得はできないが･･････



「まあまあ･･････神も嗜好にはこだわりがあるのじゃ」


「にしてもクレープって･･････」


「君にはこの混乱を、対立を、偏見を収める力がある！　手を貸してくれんか！？」



　その言葉を待っていたかのように、巨漢の鎧を着た男がヌウッと前に出てきた。



「お前に名誉と地位を約束しよう。感謝するんだな」



　高圧的で見下した態度。



　背丈は二メートルくらい？



　分厚い鎧の下には、さらに分厚い筋肉が想像できる。



　狒々のような顔には、細かい傷が残っている。



　歴戦の兵士といったところか･･････



「まずは私の部下になり、基礎的な規律を学べ。そしたら問題解決のーーーー」



「断る」