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”異世界転生”
【呼ばれた理由】
しおりを挟む「・・・・・・用件を言ってもらおうか。さもねえと息ができねえ」
「そうだな・・・・・・仕事を頼みたいのだ」
仕事・・・・・・
「まさか魔王を倒してくれ、なんて言うんじゃねぇだろうな?」
活字は苦手だが、漫画は大好きだった恭平。
昨今流行の『異世界転生もの』の本だって読んでいた。
目覚めると勇者になってて、魔王退治を依頼され、仲間を集めて大冒険にーーーー
なんてのはよくある話しである。
「剣を持つのは初めてだが・・・・・・武器でぶっ叩くのは慣れっこだ。任せな」
「ちょ、ちょっと待て!」
国王は止めた。
「その必要は無い! 魔王は去年倒された!」
・・・・・・
「・・・・・・え?」
「はぁ・・・・・・余の治める『テシペル王国』が率いた人間とエルフの連合軍でな」
「戦争は・・・・・・終わったのか?」
「ああ。魔王を追い詰め、捕縛した。魔王軍たちは条件付きの降伏を申し入れてきて、それを受諾・・・・・・魔王は先々月にギロチンで公開処刑されたばっかりじゃ」
・・・・・・なら、いよいよもってなぜ呼ばれたのか不明だ。
「俺に何しろって言うンだ?」
「うむ・・・・・・魔王大戦は終結した・・・・・・が、終戦後も混乱が続いているのが現状じゃ」
国王はため息を吐く。
「余も歳じゃ・・・・・・戦勝の功労者として有終の美を飾り、引退したかったのだが、そうも言っておられなくなっての」
「何が起こってる?」
「先ほど『条件付きの降伏』と言ったであろう? これ以上の犠牲者は望まないと、その条件を飲んだのは良いが・・・・・・コレがなぁ・・・・・・」
「悩みの種ってか?」
「魔族を差別しないことは前提にあり、さらには魔物たちが住む地域の自治権の保障・・・・・・希少性のある怪物の駆除や退治への罰則に、不平等条約の撤廃などなど・・・・・・たくさんある」
「ちょいと・・・・・・俺の頭じゃあ理解できかねるが・・・・・・なんとなく分かった」
「つまりは、魔王は居なくなったものの、魔族は普通に生活をしておるのじゃ。去年まで殺し合っていた種族と同じ釜の飯を食うこと・・・・・・何も問題が無いと思うかね?」
「ま、ぶん殴りたくなるだろうな」
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