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”栄光と代償”
【今際の際までプロレスラー】
しおりを挟む『ぶっ殺せぇぇぇ!!』
テレビカメラが消えると同時に・・・・・・
「シャラァァァ!!」
ドフッ!!
巨漢へタックル!!
不意を突かれて巨漢は用意していたナイフを活用できずに、地面にへたり込んだ。
「このヤー公!! 脳みそぶちまけろやぁ!!」
とーーーー
パァァァァン!!
爆竹が弾けるような音がした。
すると身体から力が抜けて、背中にお湯をかけられたような温かさを覚えた。
「がっ・・・・・・」
顔を向けると、丸刈りが黒い物を持っていた。
拳銃のポッカリと空いた銃口が・・・・・・こっちに・・・・・・
パパァァァン!!
ベルトで叩かれた気がした。
黒いTシャツの、一部分から色が濃くなってきた。
撃たれた・・・・・・
背中に一発。
腹に一発か・・・・・・
「じゃあな新チャンピオン」
引き金に指がーーーー
「ガァァァァ!!」
「うっ!!」
丸刈りに特攻アタック!
腰に腕を巻き付け、相手を倒すことに成功した。
「この野郎!!」
「ぶっ殺して・・・・・・」
「待ちな」
丸刈りが汗を流しながら、弟分たちを抑える。
「兄貴!!」
「アニキ大丈夫ですか!?」
いまだに密着している恭平の首に手を這わせて・・・・・・
「・・・・・・死んでる」
脈が無いのを確認すると、立ち上がろうとした。
が、
「おいおい・・・・・・マジか」
驚異のクラッチ力。
死しても尚、離さない。
「タコかよコイツぁ・・・・・・」
グイグイと引き剥がそうにも、とれない。
絡みついている指を一本一本、離してようやく・・・・・・
ドシャァ・・・・・・
「ハァハァ」
「ウソだろ・・・・・・死んでるんだよな?」
「・・・・・・」
丸刈りの兄貴が、恭平に近づいた。
事切れた彼の顔に手をかざすとーーーー
スッ・・・・・・
カッと見開いていた瞳を伏せた。
「アニキ・・・・・・」
「・・・・・・仕事じゃなかったらよ・・・・・・親父に紹介してでもうちの組に入ってもらいたかったぜ」
「・・・・・・」
「運ぶぞ」
「へい」
こうして、佐藤恭平は45年の生涯に幕を閉じた。
一瞬の栄光を求めた代価?
それにしてはあまりにも・・・・・・あまりにもである。
プロレスを信じたい。
利害関係も上下関係も古い考えもクソ食らえだ!!
もしも自分が一から作るとしたら・・・・・・
絶対に、最高のエンターテインメントにしてやる・・・・・・
レスラー皆に光が当たる、皆が笑顔な・・・・・・
そんなプロレス・・・・・・
プロ・・・・・・レス・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「これ、目覚めよ。目覚めんかデカブツ」
目を覚ますとーーーー
王宮の中に居た。
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