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”栄光と代償”

【まな板のチャンピオン】

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 レフェリーが小声でささやいた。



「社長はすでに知っておいでだ・・・・・・お前にどんな制裁が下るのか・・・・・・」


「・・・・・・」


「同情するよ・・・・・・一時の勘違いで、人生を棒に振るなんてな」


「フフッ・・・・・・」



 ああ・・・・・・そうさ。



 その通りさ。



 想像するだけで背筋が凍る。



 あの『オーガ・秀木』が、自慢の外国人選手アンドリューを壊された。



 しかも、万年脇役のレスラーのガチンコによって。



 怒りも一定を超えると冷静になると聞く。



 むしろ恐い・・・・・・



 冷静に、自身の命令に背いた部下をどう調理するのか・・・・・・それを考えているなんて。



 逃げ出したくもなる。



 だが、もう後戻りはできない。



『最後に!! 新チャンピオンの佐藤恭平チャンピオンに大きな拍手を!! 声援を!!』



 ワー!! ワー!! ワー!!



 この光景を、絶対に忘れないようにしよう。



 たとえ・・・・・・



 


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