異世界プロレス！！～君はウソをつけるか？～

”主人公になりたい”

【アクシデント】

　真剣な眼差しの佐藤　恭平。



　彼の放つオーラに、誰も「お呼びじゃない」とは言えなかった。



　今の恭平に噛みついたら、殺される！！



　それほどまでに危険な状態に見えた。



『こ、これはどういう･･････』



　実況・解説も度肝を抜かれて言葉を詰まらせていた。



　そんなことは無視してツバサを踏み台に、



「ぬん！！」



　リングに上がった。



　さっそく、レフェリーが止めに入る。



「何をしているんだ恭平！！　今すぐにーーーー」


「今すぐなんだい？」



　逆にずいっと食い下がるのは恭平。



　レフェリーは圧倒されている。



「アソコに転がってるガキに、これ以上の無理をさせようってのかい？」


「お、お前･･････自分がやっていることが分かっているのか！？」


「一体全体、何の証拠があるんだ？」



　飄々とした態度で、両手を拡げる恭平。



「俺はカワイイ後輩が『なぜか怪我をしている』のを発見した。『本人の意思を尊重して』ここまで運んだが、アレじゃあどうにもならねえやな？　だから後輩の尻拭いは先輩の仕事だと、こうしてリングに立ってるんだ。むしろ、感謝してもらいたいなぁ」


「お前･･････」


「それとも･･････高い席料払っていただいたお客様に、メインマッチを見せずにお返しするつもりかい？　そんな失礼、あっちゃいけねぇよな？」


「ぐっ･･････」



　そこまで言うと、恭平はレフェリーをグイッとどかし、リング中央へと進んだ。



（思った通り･･････ブチ切れてやがらぁ）



　チャンピオンのアンドリュー・ロドリゲスの顔は鬼の形相。



　その剣幕だけで赤子を殺せるほどだ。