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”主人公になりたい”
【大いなる賭け】
しおりを挟む『それではメインイベンツッッ!! 無差別級チャンピオンのアンドリュー・ロドリゲスVS挑戦者!! 夢野ツバサァァァ!!』
格闘技の聖地、後楽園ホールでの大一番。
『ネオ・プロレス』の年間スケジュールの中でも最も重要な興業だった。
観客は満員御礼。
スポンサーには有名飲料メーカーや自動車会社がずらり。
11月だというのに、熱気で冷房をガンガンにつける必要があった。
『まずはチャンピオン!! アンドリュー・ロドリゲスの登場です!!』
大きい。
形容するならば隕石のような男。
白人で2メートル超えの恵まれた長身に、血管が浮き出ている鎧のような筋肉。まるで鋼鉄だ。
顔もすごい。
目にはカラーコンタクトを入れており左右で色が違う。歯はヤスリで削っていてギザギザ。頭髪もなく、まさにモンスターのような印象。
「ウオォォォォォォゥゥゥ!!」
猛獣かのごとき叫び声をあげながら、リングに上がる。
こんな化け物レスラーに、あのイケメンレスラー夢野ツバサが勝てるのか?
会場中が期待感と畏怖の感情で溢れている。
『さあ!! 立ち向かうのは日出ずる国の侍!! 夢野ツバサァァァ!!』
オォー オォー オォー!!
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・ピタッ
歓声が、声援がなくなった。
葬式のような沈黙。
なぜか?
挑戦者が出てくる入場口。
そこから、血だらけの夢野ツバサが、ふらりふらりと震える足で歩いてきたのだ。
「た・・・・・・たす・・・・・・たすけて・・・・・・」
ドガッ!!
背中を蹴られて転倒。
そのまま気を失ってしまった。
背後に立っていたのは・・・・・・
「きょ・・・・・・」
ショートタイツを履いている、佐藤 恭平だった。
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