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第3章
【指定暴力団】
しおりを挟む「はぁ? じゃあどないしてメシ食うとるんや?」
「いいか? あの六年前の事件で千石組は警察から『指定暴力団』のレッテルを貼られた。こうなったら大っぴらにシノギはできなくなる。だからこそ多くの若い衆をかかえて、指定を喰らっていない下部組織からの上納金・・・・・・ヤクザ用語だと『アガリ』だったか? それで千石組は潤っているんだ」
「なるほどなぁ・・・・・・そんで一番の稼ぎ頭が、兄弟っちゅーわけやな?」
「・・・・・・違う」
「はぇ?」
「柴田の叔父貴は凄い人だ。たとえ千石組一〇〇〇人が働けなくなっても、三年は食べていけるだけの金を常に親父へ上げている」
「なにで?」
「分からない」
「分からんって・・・・・・」
「人のシノギには干渉はしない。叔父貴が直々に課した掟だ」
ふぅん・・・・・・と、ビールを飲む龍敏は納得していないようだった。
「ワシにはない信条やから、ワシはズケズケ行かせてもらうで。兄弟は何を?」
「ふふん」
自慢が始まるな・・・・・・兄弟となってからの関わりが少なくとも幼馴染みゆえに分かることだ。
「俺様はこういった店を十五店舗持っている! それに仕手戦やインサイダー取引なんかも・・・・・・」
「日本語で頼むわ」
「・・・・・・まあ要するに、インテリヤクザってことだ」
「ほえ~すごいんやなぁ・・・・・・せやけど、クラブやバーのアガリでメシ食うていけるん?」
「俺の頭脳を甘く見ているなぁ?」
真っ白い歯をニマ~と覗かせて、クインはウイスキーをグッと飲み干した。
「じゃあ今から見に行こう!」
「よっしゃキタ!!」
こうして二人は春先の少し寒い夜の街に溶けていった。
「っておい!」
「ん?」
龍敏がタバコを咥えて、ケンが火をつけようとしているのでクインが窘める。
「ここは禁煙区域だ。吸ってるのを警察に見られたら罰金だぞ?」
「ホンマに息苦しい世の中になったのぉ~つまらんなぁ」
「まったく・・・・・・長生きして欲しいんだから禁煙しろってンだ・・・・・・」
「なんぞ言うたか?」
「な、なんでもない!」
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