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第3章
【近代ヤクザ事情】
しおりを挟む「で・・・・・・早う誰か説明せんかい!! コレはどういうこっちゃぁぁ!!」
隠されっぱなしでいよいよ堪忍袋の緒が切れかけているらしい。
どうどうと抑えるのは柴田が。
暴れないように首根っこを掴むのはクインが。
説明は重里がした。
「この六年で全てが変わったんだよ龍敏。
あの川田組との抗争で勝ったワシら千石組はそのまま神奈川県全てを縄張りにした。
関西に手を伸ばそうにも、関東に進出するにしても、神奈川は通らなきゃいかない『関所』だろう?
関東・関西の大きな組織とも親戚付き合いしてなぁ。今や東と西の交流の間を取り仕切ってるのは、この千石組なんよ」
細々とやっていた千石組が急激に力をつけたのは六年前。
あの事件以降は暴対法がより厳しくなり、東西のヤクザが天下統一のために片方へ進出・・・・・・というような行為はできなくなっていた。
そこで、たとえば西のヤクザは関東にある小さな組に目をつけて政略的な盃をやる。
そうして支部を作り進出の準備をする。など、やり方も変わった。
東とて黙ったままではいられない。西の半グレに話しをつけ懐柔し、シマ荒らしをする。
こういったゴタゴタの、いわば防波堤。
それが今の千石組なのである。
「ほれ見てみろ。その証拠に東から西から、あらゆる団体の幹部がお前の出所祝いに来ているじゃないか」
確かに見てみると、敵対しているはずの組が隣同士になったりしている。
それだけ、千石組が戦略的に見過ごすことのできない存在になっている確かな証拠なワケだ。
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