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第1章
【カチコミ直前】
しおりを挟む場所は移り変わり、桜木町。こんなところいくら探しても恋人は見つけられない。
住宅街から離れた場所。
風俗街のド真ん中に、ガラス張りで『川田興業事務所』と書かれた二階建てのビルがあ
る。
ちょうど深夜二時を超えて、良い具合に人通りは無し。事務所は坂の下にあり、障害物になるものは一切ない。
車から降りた喧風一家とバラスは、そこで待っていた鬼道とその仲間たちに出迎えられた。
「『クインの叔父貴』・・・・・・お疲れ様です」
つい一時間前に無礼に無礼を重ねていた鬼道が、クインに丁寧な挨拶をする。
一方で鼻息荒げて龍敏は、
「鬼道ォ! 準備はできてるやろうな!!」
「へい!! 親父のご命令通り、周りの店には警告して、カタギが巻き込まれることはありません!!」
「よぉし!!」
「なあ・・・・・・きょ、兄弟・・・・・・状況を教えてくれないか?」
クインがたどたどしく尋ねる。
ニヤニヤと龍敏は襟を正して、タバコを吸う。
「子供たちを助け出したことが川田組に知れたら、ヤツらも戦争の準備するやろ。もしくは、『シャドゥ』のジュネルとの盃事を急ぐかもしれん。せやから、先手必勝!!」
駐車していたトラックをバンバンと叩く龍敏。
「コレで一発逆転KOやでぇ!!」
「トラックで?」
「ただのトラックやあらへんで! 見ぃや!!」
隠していた荷台のシートを外す。
すると、そこには大量のダイナマイトが満載されていたッッ!!
「ヒヒヒ・・・・・・川田組の腐れ外道の目ぇ覚まさせたる!!」
「・・・・・・イカれてるな兄弟」
「最高の褒め言葉や!!」
トラックのエンジンが始動し、坂の上から狙いをつける。
他の喧風一家は用意していた木刀や鉄パイプを握りしめている。いずれも目がギラギラと光っていて準備万端。
「よぉし聞け聞けぇ!! 川田組は組員一〇〇人!! ワシら喧風一家の三倍以上や!! せやが爆発したのと同時に突っ込めば、ワシらの勝ち!!」
「やってやるぞ!!」
「行くぞ・・・・・・行くぞぉ!!」
血の気が多いのは、なにも喧風一家だけではない。
積年の恨みのあるバラスたちからも、静かながら、メラメラと燃え上がる闘志が伝わってくる。
モルなどは首をバキバキと鳴らしていた。
「さぁてそれじゃぁ・・・・・・」
シュー・・・・・・
「ン? なんやこの音?」
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