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第1章
【家族になろうよ】
しおりを挟む指定された工事現場とは、路地を進んだ先にある大きなビルの建設現場のことだ。
権利はバラスが買っており、遅々として作業は進まない。
なぜならそこで怪しげな取引や集会などをするからであり、人目につかず都合がよいからだ。
さて、一時間後ーーーー
工事現場の骨組みには臨戦態勢のバラスたちが、地を見下ろす形でぐるりと囲んでいる。
いつでも空から強襲できる準備が整っているのである。
工事現場の中央には、クインひとりが仁王立ちしていた。
内心はウキウキワクワクホクホク。
乙女心がウルトラ・バーニング・ハートしているのだ。
それを見てバラスたちは、
「流石はボス・・・・・・戦いの前に笑ってやがるぜ!」
「余裕の表れなんだろうな・・・・・・」
「ひとりで喧風一家に勝っちまうんじゃないか?」
などと、勝手に憶測を建てているのだった。
とーーーー
ジャリ・・・・・・ジャリ・・・・・・
礼服に身を包んだ、今まで見たことのない龍敏が入場してきた。
新調したのだろう。
ピシッと黒いスーツには折り目がつき、革靴もピカピカだ。
黒ネクタイもきちんと首まで絞め、姿勢も正して神妙な顔をしている。
コレはもう間違いない・・・・・・ッッ
お姫様を迎えに来た王子様・・・・・・にはやはり到底見えない。がっつりヤクザにしか見えない。
だが、少なくともクインにはそう見えている。
「よぉ・・・・・・クイン」
「龍敏・・・・・・」
「お前さんに話しがあってきた・・・・・・大事な話しや」
「う、うん・・・・・・」
「回りくどいのは嫌いでな、単刀直入に言わせてもらうわ」
龍敏は頭を下げ、丁寧に言葉を選んだ。
「ワシと・・・・・・家族になってもらえんか?」
クインは頬を紅潮させ、火照った顔を手で覆う。
バラスたちは・・・・・・
「あまりにも馬鹿馬鹿しくて、ボス共感性羞恥になっちまったんじゃねえか?」
「てか、龍敏のヤツ・・・・・・」
「俺たちのボスをやらしい目で見てたんだな・・・・・・許せねえ!!」
そんなことを言っている。
一方で、プロポーズ(のようなもの)をされたクインは、顔がとろけていた。
大きな声で「はいっっ!!」と返事する寸前だった。
しかし・・・・・・
「ワシと・・・・・・兄弟分の盃をしてくれんか・・・・・・?」
「うんうん・・・・・・って・・・・・・え?」
「ワシとお前、この二人が合わさりゃ敵無しや・・・・・・どうや? 悪い話しやないと思うがの」
「・・・・・・」
クインが小刻みに震える。
辱めにあったかのように、ツカツカと龍敏に近づき・・・・・・
バッッチーンッッ!!
「バカーッッ!!」
エルフの腕力で、龍敏は数メートル吹き飛んでいった。
だが、龍敏はすぐに立ち上がり、礼服についた砂塵をパンパン払う。
凜とクインを正面から見ていた。
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