死が二人を分かつまで

異種格闘技トーナメント篇

【仏の顔も三度まで】

　芥川が視界から･･････消えた･･････？



「こっちですよ～」



　後ろ！？



　瞬間移動！？



「もう貴方との因縁も断ち切りたいので･･････終わらせましょうか」



　グワシッッ！！



　芥川の両腕が腹部に巻きつく。



　ホールド･･････しかも、アナコンダかのように締め付けられる。



「な、なにをっ！？」


「貴方の最大の弱点･･････見つけましたよ･･････ずばり、恥だ」



　ググッと腰を落とす芥川。



「言い訳も取り繕いも上手いのでしょうが･･････疑う余地もなく･･････敗北していただく」


「何する気･･････」


「それは喰らってからのお楽しみ♡」



　シュッ！



　芥川の息吹が合図となり、一気にレックス・谷の身体が宙に浮く。



（これって･･････まさか！？）



　ぐんぐんと、通常の視界から天井を見上げている状態になる。



（バックドロップ･･････！？）



　ゾーンに入ったらしい。



　景色がゆっくりに･･････コマ送りのように見える。



（プロレスの技･･････ヤラセの大技･･････）



　とうとう、逆さまの『ネコ・らぼ』とファン、そしてカメラが･･････



（どうなる･･････受け身･･････無理ッッ）



「～～～～ショイッッ！！」



　ドゴンッッ！！



　鈍い音が響いた。



　レックス・谷の足はピンとサイドブレーキのように伸び、痙攣している。



　白目を剥き、完全に意識を失うと、そのまま崩れ落ちた。



「よっこらせ･･････」



　ぐったりしているレックス・谷の身体の下から、芥川がやれやれといった顔で這い出てくる。



「久々にいい汗をかきました～」



　妙にスッキリしている。



「で･･････まだ威力業務妨害を続けますか？」



　カメラマンに鋭い視線が向かう。



「いえいえいえ！！　とんでも･･････！！」


「それ･･････まだ撮ってますよね？」


「すぐに消しますので･･････」


「いや･･････もう映ってしまったからには、取り消せない」



　少しばかり考え込み･･････



「コレを見ていらっしゃる方々に、宣伝をしても？」


「は、はい･･････」


「来月･･････空手道白真会の最強トーナメントが行われます。チケットは完売してしまっていますが、ライブ中継もあるので、是非見て下さい」


「だ･･････だそうです皆さん･･････是非見ましょう･･････」


「･･････」


「･･････？」


「･･････なにボーッと突っ立ってんだ･･････このゴミ掃除してとっとと失せろッッ！！」



　芥川の怒号に、カメラマンは即座にカメラを止めると、レックス・谷を引きずって消えていった。