死が二人を分かつまで

異種格闘技トーナメント篇

【トーナメント】

「トーナメント？」


「そうだ」


「白真会の？」


「もちろん」


「お断りします」


「なんで！？」



　芥川の返事はそれはもう早かった。



「第一･･････空手じゃないですから」


「そこは大丈夫だ。今回のトーナメントは特殊でな･･････白真会創設五十年を記念して、異種格闘技戦を計画している」


「では･･････他流派は無論のこと･･････別の格闘技も？」


「ああ。投げも関節技も絞めも･･････要はなんでもあり･･････金的と目突きだけは除外」


「･･････またそんな危険な大会･･････炎上しますよ？」


「ええんです～もう燃えまくって燃えまくって、むしろ宣伝効果が上がるってモンです～」


「炎上商法じゃないですか･･････」


「すでに、多くの武道・武術・拳法・格闘技の名選手に声をかけている･･････優勝賞金は一億！！」


「･･････太っ腹」


「そして･･････スポンサーである外国自動車メーカーの高級車をプレゼント！！」


「なんとなんと･･････」


「さらにさらに！　白真会の公式アンバサダーを永年契約決定！！」


「･･････多分それはいらないと思います」


「なんで！？」



　はぁ･･････と、芥川はタバコを立派な陶器の灰皿に潰した。



「で･･････私に出ろ、と？」


「そうだ･･････是非とも出てもらいたい」


「･･････一億と車以外に･･････なんかメリットあります？」


「欲張りさんめ！」



　武山はシガー用の長い灰皿に、葉巻を置いた。



「強いヤツと戦えるぞ？」


「魅力的ですが、人前に出るほどではありませんね」


「無観客でしろってのか？　そいつは無理だな」


「分かってますよ。だから、私は出ません」


「頑固だな･･････」



　ずいっ･･････



　武山が意地の悪い顔になった。



「･･････証明したくはないかね？」


「何を？」


「芥川流がどこまで上ることができるのか･･････好奇心は？　ワクワクは？」