死が二人を分かつまで

異種格闘技トーナメント篇

【勧誘】

「･･････冬紀」


「そうだ･･････彼女が率いている黒真会もまた、動き出している」


「何かあったので？」


「フフ･･････実はね、一匹捕まえたのだよ」


「ほう･･････『敗北者には死を』がモットーの黒真会を生け捕りに？」


「山崎も本当に意地悪だね。彼に引き渡したよ」


「･･････何か情報は？」



　葉巻を咥えて、そのまま煙とため息を同時に吐く武山。



「ない･･････聞けなくなった」


「？？」


「自害に使うドスは奪ったし、大怪我もさせた･･････これでもう大丈夫だと思ってたんだが･･････次の日に意識が戻ったら･･････死んでしまった」


「なぜ？」


「奥歯にな･･････毒を忍ばせてたらしい。そのカプセルをプチッとな」


「･･････黒真会らしい最期ですねぇ」



　ここであえて遭遇した時の状況を伝えなかったのは、武山のレディー（セツナ）に対する思いやりの精神ゆえだったのだろう。



「黒真会が動けば、当然我々も動かざるを得ない」


「我々･･････とは？」


「白真会･･････最大にして最強の、武力団体さ」



　それと･･････



「君のような強者たちも、動くだろう。丹波なんかは一番早く動いた例だ」


「･･････他の方々も？」


「宇嶋先生は稽古を一時中断･･････警視庁へ頻繁に通い情報を集めているらしい」


「だから『給料はやるからしばらく休みだ』って連絡が来たんですね」


「山崎も指導している警官たちを総動員させて黒真会を追っている」


「ほう」


「丹波は･･････まあ丹波だな」


「でしょうね」


「そこまで動かれちゃぁ･･････私も、な」



　ニンマリ･･････



「君を呼んだのは他でもない･･････お願いがあってのことでね」


「私に？」


「･･････トーナメントに出てはくれんかね？」