死が二人を分かつまで

KAI

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異種格闘技トーナメント篇

【束の間の休息】

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「いや・・・・・・かまわん」



 流石の芥川も豆鉄砲を喰らったかのようになったが、大人しくソファに座った。



 すでに温かいお茶が用意されている。



「・・・・・・お怒りと、聞き及びましたが?」


「ん? ああ、映画のことだろう? あんなのただ、お前を呼び出す口実だ」



 だが・・・・・・



「この私がしごいた役者が、ただただやられ役・・・・・・というのは、少しカチンとくるかな」


「色々と事情がありまして」


「そうだろうとも・・・・・・ああっ! そこそこ!!」



 美女の肘がイイところに当たったらしい。



 痛みと快楽が押し寄せ、武山の顔が歪む。



「オジサマ・・・・・・失礼しますね♪」



 美女のひとりが武山の幹のような太い首に手を回し・・・・・・



 ゴキッ!



 離れている芥川の耳にまで聞こえる音。



 コキコキッッ



「タハァ~効くなぁ!」


「オジサマ内臓が少し悪いわよ。お酒、控えないとね」


「酒がない人生なんて、喘がない女と寝るような・・・・・・」


「セクハラ発言なんてしたらこうよ」



 グギッッ



「かぁ~!! 効くぅぅ!」


「黙っていればダンディーなオジサマなのに・・・・・・」


「ハッハッハ・・・・・・言われてしまった」



 お茶を飲み・・・・・・そして本題に入ろうとする。



「・・・・・・で、何をする気ですか?」


「何だねその言い方? まるで私がイタズラ坊主みたいじゃないかね」


「そのままでしょ」


「う~ん・・・・・・」



 少しの沈黙。



 大人ならば一度は経験したことはある『言い出すことは決まっているのに』沈黙。



 車を買いたい。



 家を買いたい。



 仕事を辞めたい。



 別れたい。



 結婚したい。



 様々だが、大きな決断すらも凌駕する、関係する人物へ打ち明けるときの気まずさ・・・・・・気後れ・・・・・・言い辛さ・・・・・・



 そんな沈黙・・・・・・人生に何度か経験することはあるであろう。



 武山 火山はまさにソレだった。



「言いにくいのでしたら、二人きりになればいいのでは?」


「そういう問題じゃない・・・・・・レディーたちに聞かれても構わん」


「ひど~い! 私たちなんて眼中にないってこと?」


「違う違う・・・・・・そうじゃない・・・・・・」



 ・・・・・・



「・・・・・・動き出すぞ」


「え?」


「全てが・・・・・・だ」

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