死が二人を分かつまで

KAI

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”アイドル篇”

【天然のドS】

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 互いに金的蹴りを行った。



 そして威力比べとしては・・・・・・レンに軍配が上がった。



「ねえ? 続けられる? お兄さん?」


「ハッ・・・・・・ハッ・・・・・・ハッ・・・・・・」


「だからさぁ・・・・・・」



 ベチィィ!!



 顔面をサッカーボールキックでひっくり返す。



 鮮血が散り、神風の鼻が曲がる。



「ふごぉぉぉっっ!?」


「続けられるのか・・・・・・聞いてるでしょ? 俺が、さ・・・・・・」


「ま・・・・・・待って・・・・・・タンマ・・・・・・タンマ・・・・・・」


「さっきそう言ってたら、あんなことしなかった?」



 ドォン!!



 神風の顔面ーーーーの横の床に重い重い踵落としが、激突した。



(こ・・・・・・殺される・・・・・・)


「で・・・・・・まだやれる?」



 この時ばかりは、レンのお姉様方を撃ち落とす幼さが残る美貌が逆に恐かった。



 次にどんな残虐な行為を行うのか予測できない・・・・・・そんな恐怖だ。



「ま・・・・・・負け・・・・・・負けだぁぁぁ!!」



 神風が声を振り絞った時、アゴの寸前にレンの足底が迫っていた。



「ヒィィィィ!!」


「・・・・・・二度と逆らうンじゃねーぞ? 負け犬兄さん♪」


「一本ッッ!!」



 レンが勝ったが、それよりも神風の精巣が危うい。



 芥川が足早に近づくと「失礼」と言って神風の股間をまさぐる。



「・・・・・・ありゃりゃ、ボールがひとつ、体内に入っちゃってますよコレ」



 潰れていなくてよかったが、玉が衝撃によって体内に入るのは重大な事故と言っていい。



 すぐに取り出さないと、そのまま意識を失う可能性もある。



「助け・・・・・・助けて」


「・・・・・・ていや!!」



 ドン!



 芥川は彼をまず座らせると、その腰を後ろから足の脇で蹴った。



 攻撃ではない。



 応急処置である。



 金的を蹴られた場合、テディベアのように座らせてから腰の後ろを叩くと良い。



 それだけで解決するというワケではないが、やるのとやらないのとでは、大違いだ。



「どうです?」


「はぁ・・・・・・はぁはぁ」


「玉は摘出しました。潰れてません・・・・・・が、念のため今日の帰りに泌尿器科へ」


「は・・・・・・はい・・・・・・」



 神風は四つん這いでハイハイをしながら、イブキが休んでいる壁際まで戻っていった。



 まさに策士策に溺れる・・・・・・



 それにしても、一見クールなレンがあそこまでガッツのある姿を見せるとは・・・・・・



「レンさん。大丈夫です?」


「はい」


「金的蹴られた瞬間に、反則と言えば判定勝ちだったのに・・・・・・」


「・・・・・・勝ちたくなった」


「?」


「痛かった。苦しかった・・・・・・でも、一番は悔しかった」


「ほう・・・・・・」


「だから立ち上がった・・・・・・それだけ」


「クックック・・・・・・ご立派ァ!!」



 レンの根性の勝ちだった。


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