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”アイドル篇”
【リーダーの意地】
しおりを挟む噛ませ犬の意地を・・・・・・挟持を乗せて、トラックのようなタックルをくり出した。
カンは後ろ足を十分に引いていたが、馬力に負けた。
ギャギャギャ・・・・・・と、音を立てて押され続ける。
ドンッッ!!
とうとう・・・・・・壁際。
マズい・・・・・・引けない。
「もらったぁ!!」
ブンッ!!
ガシャァァン!!
よほどの勇気を持っていなければ、ガラスをフルスイングできない。
イブキの拳は粉々になったガラス片によって血だらけになったが、その破壊力を見せつけた。
問題があるとすれば・・・・・・
(消えた!?)
カンを視認できなかったことだ。
教わった体捌きで背後に回ると、カンはイブキの首を裸絞めした。
この技は、完璧に極まったらもう終わり。
解くことなんて・・・・・・
「ヌン・・・・・・おりゃぁぁぁッッ!!」
ブチィ!!
「なんとなんと・・・・・・チョークスリーパーを腕力で解いた・・・・・・」
芥川が思わず賛辞した。
「おるぁ!!」
カンのみぞおちに、無茶苦茶なフォームだが、膝蹴りが当たった。
「オエェ!!」
胃液が口から出そうになる・・・・・・
ボディへの攻撃の、大きな理由はスタミナを奪うことにある。
ガスッッ!! ガスッッ!!
幾度も腹に膝が直撃し、どんどんスタミナが目減りしていく。
息が吸えず、ゆえに脳が酸欠状態になってしまい次の行動が遅くなる。
(ガラ空きぃぃぃ!!)
ガードがゆるりゆるりと下がってしまった。
ビュン!!
強烈なフックが、カンのこめかみにーーーー
「せいや!!」
するり!!
カンの細い腕が蛇のように巻き付いてきた・・・・・・ッッ!?
まさか・・・・・・あのガラ空きは・・・・・・ブラフ!?
「むうぅぅぅ!!」
非力でも・・・・・・人体の痛点さえ知っていれば、相手を痛めつけられる。
セツナと出逢ったあの夜・・・・・・彼女に芥川が教えた、肘の痛点。
肘から指三本分・・・・・・上・・・・・・ッッ!!
ギリギリ・・・・・・ッッ
腕が変な方向へ曲がり始め、関節の悲鳴が聞こえる。
ミチミチ・・・・・・
「ぎぃぃぃ!!」
力では抗えない。
痛みから逃げるように、イブキはつま先立ちになっていた。
それでも・・・・・・タップ・・・・・・すなわちギブアップはしなかった。
ゆえに・・・・・・
バコンッッ!!
肘が逆に曲がるのも当然の結末だ。
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