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”アイドル篇”
【仕上げ】
しおりを挟む「イブキだ。よろしく」
「神風・・・・・・楽勝ソウダネ」
「ひゅ~! かわい子ちゃんいるじゃ~ん! ラインやってる? あっ・・・・・・北斗ッス」
三人ともタトゥーがガッツリ入っており、髪も妙な形だ。
だが・・・・・・その目は尋常ではない。
ジョーズ・・・・・・サメの目のごとく、光りがない。
瞳孔がバキバキに開き、薬物でもキメているかと疑ってしまうほど。
「こちらの方々はどなたも、ストリートファイトのスペシャリスト!」
ストリートファイト・・・・・・なんて言い方をしているが、要するにケンカだ。
「・・・・・・で、この人たちが何の用で?」
「ズバリ!! 『ネコ・らぼ』のお三方には仕上げとして彼らと戦ってもらいます」
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・はぁ!?
「いやいや!!」
カンが立ち上がる。
「ダメですって!! ケンカ自慢と戦うなんて!!」
「ええ~いいとこ行くと思うんですけどねぇ~」
「・・・・・・ちょっと待てや」
イブキ、と自己紹介した肥満体型の男が異議を唱えた。
「俺らは丹波会長から、芥川道場に道場破りしろって言われて来たんだよ」
「その通り」
「・・・・・・で? その相手がこのアイドルたち?」
「はい。何かお困りですか?」
「・・・・・・舐めてンのか?」
ズイッと芥川に睨みを効かせるイブキ。
「俺らが丹波会長とパイプ作るのにどんだけ苦労したか・・・・・・分かってンのか?」
「他人様の行動なんて分かるわけないじゃないですかぁ~エスパーじゃあるまいし」
「このっ!」
イブキが芥川の襟を掴んだが・・・・・・
「ほいっ!」
ギュルッッ!!
「うわっ!」
ドスン・・・・・・
小手返しで尻餅をついた。
「ね? 貴方がたはお強い・・・・・・そんな『本物』の目玉で見て、私に勝てると思ってますか?」
「チィ・・・・・・」
「無論、どうしてもアイドルと戦いたくない! ってごねるのでしたら私が相手をします・・・・・・これまでの努力が無駄になってもいいならね」
「努力・・・・・・?」
「あの『腕っ節至上主義』の仁侠会に入るために・・・・・・アウトローらしからぬ犠牲を払ってきたのではないですか? 食事に気をつけ、トレーニングをして、そして強いと噂のライバルを倒してきた・・・・・・並大抵の努力じゃない」
「・・・・・・」
「条件は聞いてますよね? すぐそこにチャンスが転がっているのに、今さらそれを諦めるのですか?」
「・・・・・・ああっ!! 分かったよ!!」
三人の目がマジになった。
「このアイドル共ぶっ潰せば・・・・・・俺らも天下の仁侠会だ」
「ええ・・・・・・ですが、油断はなさらないことですね・・・・・・お三方!!」
声をかけられた『ネコ・らぼ』が立ち上がった。
彼らの目にも、マジが灯っている。
「やります?」
「はいっ!」
「・・・・・・やる」
「上等ォ!」
芥川は心底楽しみと言った顔になり、六人を組ませた。
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