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”アイドル篇”
【切れない包丁はいらぬ】
しおりを挟む「お疲れ様でした。皆様あと三日ですので、怪我には十分に注意を。仕上げる感覚で、モチベーションを保ってください」
「「「ありがとうございました!!」」」
「では、夜なので気をつけて・・・・・・私は・・・・・・」
芥川は正座から跳ね飛び、走って行った。
「ニコチンタイムに入らせてもらいます!!」
二階に上がり、ベランダへ向かっていった・・・・・・
「・・・・・・タバコ、吸ってなくて良かった」
みんなが頷いた。
・・・・・・
・・・・・・
・・・・・・
「ふぅ~・・・・・・やっぱし六時間越しのタバコは染みますねぇ~」
アイドルを抱え込み一ヶ月近く・・・・・・なかなかに刺激の多かった時間だった。
宇嶋が匙を投げた彼らが、一筋縄ではいかないことは分かっていた。
理解した上で、了承した。
まあ・・・・・・受けてくれればボーナスをはずむという宇嶋の甘言に流されたという側面もあったが・・・・・・
だがしかし、やる気のない子供が三人・・・・・・じゃないとひと目で分かった。
そもそも、このアイドル戦国時代において、本気で生きていない人間が生き残れるワケがない。
心に火が灯っているに決まっている。
問題は、その火を炎にまで燃え上がらせること・・・・・・
たしかに、術技が冴え渡っている宇嶋には手に負えないであろう。
第一、あの年代の武術家は師匠と弟子の関係が今どきとは全く違う。
そりゃぁ師匠の言うことを聞かない弟子なんて、五分で破門される。
芥川流の芥川流たるところは『誰にでもできる』ところにある。
対人恐怖症を患ったいじめられっ子だろうが、人身売買で売られた身寄りのない少女だろうが、キラキラチャラチャラしたアイドルだろうが構わない・・・・・・赤い鉄じゃなくたって・・・・・・構わん!!
徹底的に叩き上げて、見事な業物にしてみせる。
それが、芥川道場。
そう・・・・・・一度、芥川流の看板を背負ったからには撮影協力でも関係ない。
何でも斬れる業物になってもらわなくてはならない。
「ふぅ~」
一本を吸い終わると、灰皿へ潰した。
二本目に火をつけながら、スマホを取り出し操作する。
「あ! 丹波さん~! この間はどうもありがとうございました!」
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