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”アイドル篇”
【足りないもの】
しおりを挟むさて・・・・・・もうあと三日。
丹波が見せてくれた乱舞戦法を下地に、各々が得意とする大技を練習している。
やはり一番の素質があるのは、金髪プリン頭のレン。
テコンドーの基盤があるおかげで、跳び蹴りに回転蹴り、胴回し回転蹴りも体得できたのだった。身軽で、ネコのように跳ね回り、組手相手の新樹が苦戦を強いられることも多い。
次点ではゴウ・・・・・・身長が高いことが不利に働いていることも多いが、天性の運動神経がある。誇れるものではないが・・・・・・実戦経験も豊富なために、セツナと組手をしても怪我せずに生還してくる。
問題は・・・・・・カン。
これと言った得意技がない。
しかし、リーダーたる人物が目立たないのはマズい。
芥川は悩んでいた。
それ以上に悩んでいたのは、カン自身であった。
「はぁはぁ」
「もう少し時間があればいいんですが・・・・・・」
「・・・・・・ダメなリーダーッスよね」
「責めるのであれば、己ではなく責務を請け負ったこの芥川を責めなさい」
「そこまで人間腐ってないですよ・・・・・・」
「うむ・・・・・・」
芥川が事前にもらった台本をペラリペラリとめくって、何かないかと考えていた。
「・・・・・・おっ」
見つけた。
「ラスボスである校長先生を倒す・・・・・・かなりトンデモな設定ですが、そんな終盤のシーンがありますね」
「はい」
「この校長役の俳優さん調べました・・・・・・身長二メートル体重一〇〇キロ。レスリングインターハイ優勝経験あり・・・・・・化け物みたいな方ですね」
「最強の俳優・・・・・・って呼ばれてるベテランさんですから」
「・・・・・・別にいいか」
「え?」
「・・・・・・教えましょう・・・・・・『閻魔』を」
「えん・・・・・・ま・・・・・・?」
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